第2話 第七人工惑星
第七人工惑星は、恒星カインの周りを公転する巨大な正六面体の宇宙建造物である。居住しているのは、メトシャエル系の人類種が約二億人。
僕たち第一小隊が乗船した、小型の兵員輸送艇は高速で宇宙空間を航行し、第七人工惑星へと向かった。
「そんなに緊張しなくていいよ」
隣に座った大島優歩軍曹が、新兵の僕に向かって微笑みながら言う。その直後に、小隊長の福原ハル香中尉が、
「五分後に宇宙港に到着する。客員は武器に弾薬を装填して、下船の準備をせよ」
と、指示を出した。
その後、予定通り、第七人工惑星の宇宙港に到着すると、パワードスーツを着装した小隊が兵員輸送艇から下船する。
宇宙港では、制服を着たメトシャエル系の中年男性が出迎えて敬礼した。
「私は惑星警察のイラド警部補です」
彼らメトシャエル系人類種は、僕たちと変わらない外見をしていたが、やや背が高く、スマートでスタイルが良い。
ハル香中尉は、やや素っ気ない態度で、
「武装勢力は何処にいるのですか。人数は?」
と、イラド警部補に質問する。
「五、六人程度ですよ。場所は」
そう言いながら、イラド警部補は右手を挙げて、警察のバスを呼び寄せると、こう言った。
「このバスで案内しますよ。再開発地区に潜伏しているようです」
イラド警部補と第一小隊を乗せたバスは、宇宙港から出発して、五分ほど走り、目的地の再開発地区に到着する。
バスが停車すると優歩軍曹が小隊に指示を出した。
「さあ、早く降りて」
僕は優歩軍曹の後に付いてバスを降りたのだが、その時、小銃の銃床が優歩軍曹のお尻のアーマーに、
カツンッ、
と、当たる。
「何、お尻を突っ付いているのよ、変態」
ジロリと優歩軍曹に睨まれ、僕は慌てながら、
「違いますよ、当たっただけです。すいません」
否定しつつも、ペコリと頭を下げた。
こうしてイラド警部補の案内で、小隊が再開発地区に入ると、ハル香小隊長が、
「皆さん、この付近で戦闘になる恐れがあるので、速やかにに退避して下さい」
と、道路工事をしている作業員たちに通告したが、その言葉に彼らは反発したようだ。
「なんだよ、突然来て偉そうによ」
「せっかく整備した街を壊す気か」
だが、その作業員に、優歩軍曹が銃口を向けて怒鳴り声をあげる。
「黙れ、命令に従わないと撃つぞ!」
「止めなさい軍曹、相手は民間人だ」
それをハル香小隊長が制止した。