表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/12

最終話 激戦のあとに

 激しい戦闘の中、僕は負傷した小隊長の福原ハル香中尉を庇いながら、遮蔽物へと身を隠した。


 バババババーン、バババババーン。


 パワードスーツ姿の僕は、必死に敵の昆虫型エイリアンを撃ち落とそうとしたが、弾は当たらない。


「逃げるのが上手い奴め」


 弾を撃ち尽くし、弾倉を交換する僕。その横で、


「私ね、実はアイドルを目指していて、タレント養成所に通っていた事もあるのよ」


 ハル香小隊長が場違いな話を始めた。その話を聞いた僕は、


「それが何故、職業軍人に?」


 と、質問する。


「実は、家族が自爆テロに巻き込まれて、皆、死んでしまった。だから復讐のために、士官学校に入校したのよ」


 そう語るハル香小隊長は悲しい顔をしていた。


 その時だ。上空で、


 ドゴゴゴゴオオオォォォォーン!


 大爆発が起こり、惑星揚陸艦・天馬弐番艦が炎上する。敵からの集中砲火を受けたのだろう。


「弐番艦が轟沈した!」


 狼狽する僕。さらに、次の瞬間。


 ドカアーン!


 戦車砲の一撃で、遮蔽物が破壊され、吹き飛ぶ、僕とハル香小隊長。


「小隊長、無事ですか!」


 僕は、地面をゴロゴロと転がりながら、大声で叫んだ。


「大丈夫よ」


 ハル香小隊長は身を起こしたが、その刹那、


 ドゴーン!


 次の戦車砲で、一瞬にして、木っ端微塵にハル香小隊長。


「な、なんて事だ」 


 呆然とする僕に向かって、


「逃げろ、逃げるんだ!」


 大声で叫ぶ、大島優歩軍曹。だが、しかし、


 ドゴーン!


 砲撃音が響き、僕の視界が真っ暗になった。



「・・・・・・・・・・・・・・・」


 どれほどの間、眠っていたのだろう。目を覚ました僕は、思わず声をあげる。


「ここは、何処だ?」

「救助艇の治療室よ」


 応えたのは、頭に包帯を巻いた優歩軍曹だった。


「惑星マーズでの戦闘には勝ったわ」


 そう言った優歩軍曹が微笑みかける。


 優歩軍曹の話によると、ハル香小隊長は勿論、即死だったようで、小隊の半数が戦死したという。江黒蓮上等兵は惑星マーズで行方不明になったらしい。


 そして、治療室で寝かされている僕は、


「み、右足が無い!」


 戦闘で右足を失ったようだ。


「でも命は助かったのよ。これで君は惑星アマテラスに帰れるわ」


 

 その後、僕は輸送船に乗り換え、故郷である惑星アマテラスに向かった。その船には補給基地に転属する優歩軍曹も乗っている。


「これで優歩軍曹は、お子さんと暮らせますね」

「ええ、旦那も来月から、基地勤務になるのよ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ