第11話 激戦
惑星マーズの全域に、空挺部隊が降下して、各地では激しい戦闘が続いていた。
そして衛星軌道上では、艦隊戦が始まったようだ。空の彼方で爆発が起こると、撃沈された艦船が墜落してくる。
ドカアアアァァァァーン!
至るところで爆発が起こり、戦闘は激化した。
「敵よ、皆、気を付けて!」
と、小隊長の福原ハル香中尉が声を上げると同時に、前方の建物の陰から、
バババババーン、バババババーン。
激しい攻撃を受ける。
この辺りの武装勢力は、昆虫から進化したエイリアンの種族らしく、それを見たハル香小隊長は、
「インセクト族よ」
と、言った。奴らはバッと宙に舞うと、羽でブンブンと飛び回り、四方八方から銃撃してくる。
体は小さく、その数は十匹ほどだが、なかなかに手強い。
「このハエ野郎が!」
戦いの先頭に立つ大島優歩軍曹が、飛び回るエイリアンにけて、
バババババッ、バババババババババーン。
小銃を連射する。
「ぐあぁっ」
「うぎゃあ」
空中で撃たれたエイリアンが二匹、墜落すると、地面でピクピクと痙攣した。
だが、その時、突如、
ギャラギャラギャラギャラギャラ。
キャタピラの音が響き、一両の戦車が姿を現す。敵の援軍なのか?
「ヤバいな、こりゃ」
そう言いながらも、江黒蓮上等兵はロケットランチャーを構えて、
シュゴオーン。
ロケットを発射する。
ドカーン!
敵、戦車に直撃。爆発炎上した。それを見た小隊の仲間が、
「よし、やったぜ!」
と、歓声をあげが、最前線の優歩軍曹が、
「後続が二両、まだ来るよ」
そう、言った直後に、
バゴォーン。
後続の戦車が砲を発射。
「うぎあーっ」
小隊の通信兵が吹き飛ばされ、彼の手足はバラバラになり、辺りに飛び散った。
側にいた小隊長の福原ハル香中尉も、
「きゃあっ」
爆発の衝撃で倒れる。僕は、急いでハル香小隊長に駆け寄り、
「大丈夫ですか、小隊長!」
と、声をかけ、彼女の身を起こしたのだが、
「み、右肩が、脱臼したみたい」
ハル香小隊長は痛みに耐えながら言った。これでは銃は使えないだろう。
「僕が小隊長を守ります。動けますか?」
「大丈夫よ。走ることなら何とかなるわ」
敵味方双方の激しい銃撃戦の中、僕は小隊長を庇いながら走り、
「小隊長、あの建物の陰にかくれましょう」
二人は近くの遮蔽物に身を隠す。