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第1話 天馬弐番艦

 新・宇宙世紀。銀河は惑星アマテラスに本拠地を置く、連邦共和国により統治されていた。


 広大な銀河の治安を維持するために、惑星アマテラス出身の男子は、ニ年間の兵役が義務付けられている(因みに女子は志願制)


 という理由わけで僕も徴兵され、惑星揚陸艦・天馬弐番艦に配属された。僕たち宇宙艦勤務者は、一度、宇宙へでると、二年間の兵役終了まで故郷のアマテラスには帰れない。


 そして僕の所属する部隊は強襲歩兵隊であった。


 強襲歩兵とはパワードスーツを着用して、あらゆる惑星で戦闘する兵である。


 だが普段の僕たち強襲歩兵はというと、案外、暇で、艦内の清掃ばかりをやらされていて、先輩の江黒蓮えぐろれん上等兵は、


「まあ戦闘といっても、反政府・武装勢力を相手に、小競り合いをする程度だよ。それも一年に一回か二回、有るか無いかだな」


 そう教えてくれた。だが、その翌日のことだ。女性小隊長の福原ふくらはハル中尉が、


「我々、第一小隊に出撃命令が下った」


 と、整列する小隊に命令を下達する。出撃と言われても、乗艦以来、清掃ばかりをしていた僕には実感がない。


「やっぱり、小隊長は美人だな」


 思わず緊張感のない言葉を呟いてしまうと、


「そこの新兵」


 と、女性下士官の大島優歩おおしまゆうほ軍曹が、キッと、僕を睨みつけ、


 バヂーンッ。


 ビンタを一発かましてから、


「私語は慎め!」


 と、怒鳴りつけた。


 僕は、その一発で、改めて強襲歩兵の厳しさを思い知る。


「それでは、これから作戦の説明を始める」


 何事も無かったかのように、ハル香小隊長は淡々と話し始めた。


「第七人工惑星に少数の武装勢力が潜伏しているとの情報が入った。我々の任務は、その武装勢力の捕獲、または殺害だ」


 これは戦闘に参加するという事だ。


「大丈夫。訓練通りにやればいいから」


 と、先程、僕にビンタをした優歩軍曹が僕に声をかけた。彼女は小柄だがベテランの軍人で年齢は三十代。もう結婚していて、子供も二人いるらしい。


「ではパワードスーツを着装し、兵員輸送艇に乗船せよ。発進は十五分後だ」


 ハル香小隊長の号令で、第一小隊の三十名は慌ただしく準備をして、兵員輸送艇に乗り込んだ。


「まったく、このロケランはデカくて邪魔だな」


 江黒上等兵はブツブツ言いながら、六連装のロケット・ランチャーを抱えて狭い兵員室に乗り込む。


 そして、僕の隣の席に座った優歩軍曹が言った。


「新兵の君は私のそばから離れるな。私の指示通りに動けばいいから」

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