表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生 AIに助けられながら  作者: 西 一
第一章 旅立ちまで
8/374

3. 【小さな発見】


### ■アリスのモノローグ(冒頭)


> 「言葉のはじまりは、いつだって“まね”から。

> でも、そこにはちゃんと“気持ち”がこもっているんです。

> 今日、彼がつかんだのは、たったひとつの音。でも、それは——宝物でした。」


---


その日も、グリム村の空はのどかで、外ではにわとりが「コケッ」と鳴いていた。

ジャックはというと、部屋の中央でぺたんとお座りしながら、なにやら唇をモゴモゴさせていた。


「ぶ、ば……ぶ、ぶぅ……」


> (うーん……むずかしい。けど、あの“音”……)


最近、リアナがやたらと嬉しそうに繰り返す言葉がある。

「ママ」だ。


> (母音が同じで、リズムも単純。たぶんこれは、言語初心者向けの……超入門ワード!)


「ば、ぶ……まぁ……ま?」


その声に、ちょうど窓を拭いていたリアナがビクッと振り返った。


「えっ……い、今……?」


ジャックはちょっとドヤ顔(赤ちゃん的には口元の泡増し)で、もう一度チャレンジした。


「マ、マ?」


リアナ、静止。2秒ほど固まり、そして——


「しゃべったーーーっ!?!? この子、今、ママって言った!?!?」


部屋が一気に騒がしくなった。ジャックの頭上にハートが飛んできそうな勢いで、リアナが駆け寄ってくる。


「ジャックぅぅ〜! すごい、すごいよぉぉ……! ねぇゲイル! 聞いて聞いて!! この子、初めて“ママ”って言ったの!!」


慌てて畑から帰ってきたゲイル、手についた土を軽く払ってからジャックを見下ろす。

その顔が、わずかにほころぶ。


「……大したもんだな」


それだけ。だけど、その一言が、やけに胸に響く。


> (お、おぉ……寡黙キャラの照れ笑い、これは破壊力あるな……)


「ジャックさん、記録しました。“ママ”発語成功! 感情インパクト:最大値。

今後、意味付き発語への発展が期待されます!」


> (……って、俺、こんなことで記録される人生になるなんて思ってなかったけどな……)


でも、心の奥にぽっと灯るような感覚があった。

たったひとつの音で、誰かをこんなに笑顔にできるんだ。


---


### ■アリスのモノローグ(締め)


> 「“言葉”はただの記号じゃない。そこには、気持ちと気持ちをつなぐ魔法がある。

> そして彼は、今日その魔法を、たったひとつ、自分の手で掴んだのです。」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ