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異世界転生 AIに助けられながら  作者: 西 一
第二章 旅立ち
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第81話 急激な生徒増加5. 知育魔道具


#### 【冒頭語り:AIアリス】


魔法学校というのは、教室と杖と制服があれば成立する――なんて思ってる人、いるでしょう?

ノンノンノン! 甘いです、薄切りリンゴより甘いです。


実際に子どもが百人単位で増えたときに必要なのは?

そう、カオス対策と教育兵装――いえ、知育魔道具です!


さて、今日のヴェルトラ魔法学校は、ブロックと鳥と太鼓と観覧車でいっぱいですよー!


---


ヴェルトラ魔法学校・南棟の一角にある改装中の教室。

壁はまだ白い下地のままで、床には新しい魔法陣のラインが走っていた。カタリナの指示で内装の安全対策は整えられ、今は“最終仕上げ”の段階に入っている。


机の上に並ぶのは、鮮やかに彩られた小さな積み木、羽をパタパタ動かす小鳥型の人形、玉を転がすスロープ、ひらひらと浮かぶ風船のようなもの……

そう、そこにあるのは“おもちゃ”――いや、正確には「知育魔道具」だった。


「うーん、この『マナのかくれんぼブロック』、反応閾値をもう少しだけ下げておこうか。初級の子たち、最初から無反応だと凹むしな」


ジャックが魔力調整具を片手に、目の前の積み木セットに集中する。ブロックの縁には小さなルーン文字が刻まれており、特定の順番で並べると魔法陣が浮かび上がる――はずだが、現状はまだ反応しない。


その隣では、エラが真剣な表情で「マギ・リズムドラム」の検査中だった。太鼓型の魔道具を軽く叩き、現れる光紋の挙動を確認していく。


「うん、ジャック。ドラム側の魔素リズム、ちょっとズレてる。こっちの“ファ”の音、色が薄いよ。たぶん供給魔力が偏ってる」


「おっと、ありがと。リンク・ノード側で調整する。……よし、今直した」


「パーン♪」と軽快に鳴ったリズムと共に、魔法の紋章が綺麗に浮かび上がった。


「わあ、今の綺麗……」

後方で見ていたクロエが、目を細めて呟く。彼女は補助教師としての訓練中。すでに何人かの小さな生徒たちに対し、的確な誘導ができるようになっていた。


「クロエ、こっちの『おしえて!マギバード』もお願い。言葉登録のチェック、もう一巡しよう」

ジャックの呼びかけに、クロエは小さくうなずいて近づく。


「……こんにちは。これは、おしえて!マギバード。こんにちは」


「コ、ン、ニ、チ、ハ!」

甲高く響いた声は、マギバードからのもの。小鳥型の魔道具が首をかしげながらくるくると回り、また「こんにちは!」を繰り返した。


「ふふっ……大丈夫そうね」

クロエが微笑み、隣でミアとフィンも教材の点検に参加していた。


ミアは「ぷかぷかアクア・ゾーン」の水槽型玩具を前に、浮かぶ生き物型の魔道具をそっと磁力で吊り上げる。

「この子、すごくおとなしいね……えいっ」

「うわ、そっちはフグ! ふくらんだー!」

フィンが笑いながら「トコトコ・マナアニマルズ」に魔力を注いでいた。ゆっくり動き出したアザラシ型魔道具が、彼の前でぴょこぴょこと動く。


「手加減、大事だよ。強く押すと、変なダンスするから……」


「お前の観察、鋭すぎるな……」

ジャックが思わず笑いながら返すと、フィンは「えへへ」と得意げに肩をすくめた。


教室の空気は、何とも言えない温かさと柔らかさに満ちていた。

玩具を整える音、魔道具の反応音、小さな笑い声。どれもが、これから始まる“大増加した子どもたち”の受け皿として、確実に機能することを予感させていた。


「……よし。全部、初回ロットは出揃ったな」

ジャックは立ち上がり、教室全体を見回す。


配置バランス、魔力量別の反応設定、そして感覚型教材の導線――

現代的な知育理論と魔法技術の融合が、確かにこの空間を作り上げていた。


「遊びの中で、魔力の概念を自然に体に覚えさせる。これが本当の“初等魔法教育”だろ」


言葉にするまでもない。

だが、あえてジャックはそう呟いた。かつて、自分が思い描いた理想の教育――その第一歩が、今ここで、確かに形になっている。


---


#### 【ラスト語り:AIアリス】


「学ぶって、楽しいんだ!」


……なんて叫び声が飛び交う未来が、もうすぐやって来そうですね~。


知育魔道具、恐るべし。

ブロックが語り、鳥が教え、観覧車が魔力で回る時代。どこかで誰かが言いました。

「教育とは、次世代への贈り物である」と。


ええ、今まさにラッピング中です。次回は――“実戦配備”? あれ、ちょっと聞き捨てならない響きですね!?


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