4. 【父のぽろりと、未来の兆し】
### ――アリスのモノローグ(冒頭)
> 「物語の鍵って、案外ぽろっとこぼれるものです。
> 大人の本音、酔っぱらいの呟き……。
> それが未来を変える起爆剤になるなんて、誰も思わないんですけどね。」
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夜。
グリム村の空には星がまたたき、虫の声がささやくように響いている。
ジャック家の裏庭。
焚き火の前で、ゲイル父ちゃんが木の椅子にドカンと腰かけて、木製ジョッキ片手にゴキュッ。
ゲイル:「……ぷはーっ、今日もいい汗かいたわ……」
隣には小さな椅子。そこにちょこんと座るのは、4歳児にして思索魔なジャックくん。
手には自作の“魔法ノート”を持ちつつ、父ちゃんの独り言を観察中。
ゲイル:「そういやなぁ……昔、じいさんが言ってたんよ。
“魔法は道具になる。手足になる”ってな」
ジャック:「……道具になる?」
ゲイル:「そ。みんな呪文だ儀式だって言ってた時代に、
“日常で使える魔法を考える”なんて、そりゃ異端者扱いや。
じいさん、村じゃちょっと浮いてたなぁ……でも、おれは好きだったぞ、あの人」
ジャックの目がキラーンと光る。
ジャック:「それ……未来だよ。すごく、いいよ」
アリス(脳内):「これは……伏線、ですね」
ジャック:「アリス、メモっとけ。後で“道具としての魔法”シリーズ作るぞ」
アリス:「すでに特設フォルダ立ててます。仮タイトル『便利魔法大全』でよろしいですか?」
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そんなほっこりした時間の中、ふと、夜風が吹いた。
木々がそよぎ、焚き火が少し揺れる。
その瞬間——
どこからか、かすかに聞こえたのは……“詠唱”。
不思議な響き。
優しく、けれど力強く、空気の奥で誰かが紡ぐ言葉。
ジャック:「……今の、聞こえた?」
アリス:「はい、波形的には“詠唱”。
でも通常の魔力波とは違います。……これは、記憶の向こう側の響きですね」
ジャックは立ち上がり、そっと夜の空気に耳をすます。
ジャック:「……まるで、呼ばれてるみたいだな」
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そしてそのまま、ぽつりとつぶやいた。
ジャック:「俺、じいちゃんの後、継ぐのかもな」
アリス:「はい、それ決定事項で処理しておきますね」
ジャック:「早っ」
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### ――アリスのモノローグ(ラスト)
> 「未来への扉は、いつも小さく軋む音とともに開きます。
> それがただの“父のぽろり”だったとしても——
> そこに気づける子どもがいれば、それはきっと希望の兆しになるのです。」




