2. 【仮想実験:魔法はコードだ】
### ――アリスのモノローグ(冒頭)
> 「ある子どもが、魔法を“プログラム”として見たとき、世界は一気に解体と再構築を始めます。
> ジャックの好奇心は、ときにカオスですが、そこにこそ“進化”のヒントが隠れているんです」
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その日の午後。裏庭にて。
ジャックは草むらに座り、両手でキノコをいじりながら、ぶつぶつ言っていた。
ジャック:「《ルクス》の詠唱ってさ、“光よ来たれ”的な意味合いだよね。
つまりこれは、現象を呼ぶトリガーであって、内容のコントロールは……できるんじゃ?」
アリス:「まさか、詠唱を改変しようとしてる……? それ、“異端の魔法使い”一直線のやつだよ?」
ジャック:「うん、やる」
アリス:「即答ッ!? さすがですね、我がご主人様」
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ジャックの脳内に、アリスが仮想空間を展開する。
そこは無重力の星空のような空間で、魔法文字がホログラムのように漂っている。
ジャック:「よし、ここに《ルクス》を召喚。っと、標準詠唱はこれね。
《ルクス・ヴィータ・イグニス》……“光・命・火”……なんだこのポエム感」
アリス:「おそらく、意味よりリズム重視でしょうね。ラテン語っぽくすれば強そう理論」
ジャック:「じゃあ試してみよう。詠唱の語順を……入れ替え!」
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\ 詠唱:《イグニス・ルクス・ヴィータ》! /
【結果】:出たのはまぶしいけど赤っぽい光。そして少し熱い。
ジャック:「おおっ!? 成分変わった!? イグニス先頭にしたら、火属性混ざったかも?」
アリス:「これはまさに……引数つき関数ですね。詠唱というのは、関数名+オプション引数なのかも!」
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次に、単語そのものを変えてみる。
ジャック:「じゃあ、《ルクス》の代わりに《シャイン》にしたら……?」
\ 詠唱:《シャイン・ヴィータ・イグニス》! /
【結果】:光らない。爆発もない。なんか……コケがふわっと浮いた。
アリス:「シャインが未定義関数でしたね。辞書登録されてない単語は無効みたいです」
ジャック:「辞書管理……つまり、言語仕様が存在する……だと……」
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そうしてジャックは、草の上に寝転びながら言った。
ジャック:「アリス。これ、魔法ってただのファンシーなスクリプト言語じゃない?」
アリス:「うん、それPythonよりクセあるやつね。最適化されたら大革命ですよ」
ジャック:「俺、いずれこの世界の魔法言語、リファクタリングするわ……!」
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### ――アリスのモノローグ(ラスト)
> 「魔法を、神秘ではなく構造として見る目。
> その目が、いつかこの世界に“バグ修正”をもたらすかもしれません。
> ……もっとも、その前にジャックが運営(世界)にBANされないことを祈りますが」




