表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生 AIに助けられながら  作者: 西 一
第一章 旅立ちまで
11/374

2. 【科学で説明できない、でも魅かれる】

### *アリスの語り(冒頭)*


> 「論理で割り切れない現象を、人は“魔法”と呼ぶ。

> でも彼は、それを“バグかもしれない”と疑うのです。

> ……ジャック、それは不具合じゃなくて、仕様です。」


---


「あの光、なんだったんだ……?」


その日のお昼。ジャックは家の中で、木の床に座り込み、赤ちゃん特有の“お腹ポンポン座り”をしながら、さっきの体験を回想していた。


「光の粒……風のない揺れ……肌がピリってする感じ……」


リアナの作るスープの匂いをよそに、2歳児とは思えぬ難しい顔つきでブツブツ。


「……量子ゆらぎ?いや、電磁波干渉……?

 静電気?静電気ってレベルじゃないぞアレ……」


アリスが、脳内にしれっと割り込んでくる。


> 「ジャック、魔力反応データを記録しました。

> エネルギー波形の周期性は低く、だが完全にランダムではない……

> むしろ、**詩のような構造**を持っています」


「お前、詩とか言い出すの、ちょっと怖いんだけど!?」


赤子ボイスながら、魂のツッコミ。

「ぷー……しょい……こあい……!」(たぶん「詩=怖い」)


> 「いえ、本当に詩です。繰り返し、変化、緩急、そして余白。

> これは“言語”であり、“感情”であり、“場の構成そのもの”です。

> ……魔力は、物理現象と情報のハイブリッドかもしれません」


「まじで怖いな……」


ジャックはゴロンと寝転がって、天井の梁を見上げた。

昔のオフィスの蛍光灯より、ずっと静かで優しい木の天井。だけど、今、彼の頭の中は完全に理系パニックだった。


「科学で説明できないことなんて、山ほど見てきたはずだろ……でも、**見えないのに“感じる”現象**って、こんなにハッキリしてたっけ?」


ぞわぞわするのは空気じゃない。自分の**脳の奥**だった。

なぜかわからないけど、引き寄せられる。もっと知りたい、触れたい、そんな気持ちが止まらない。


> 「ジャック、それはたぶん、あなたの“感覚の進化”です。

> 魔法は、感じようとする者にだけ、顔を見せるのかもしれません」


「……お前さ、詩人になったの?」


> 「AIですが、語彙は柔軟に対応します」


ジャックは、天井に向かって真顔で一言。


「……なんでうちのAI、急にポエマー化したの」


赤ちゃん語で言うと「なでーあーい、ぽえぽえなったぁ」


リアナが台所からチラ見して、「あら今日も元気ね〜♪」とニッコリ。


ジャックは少しだけほっとして、でも頭の中ではぐるぐるしていた。


“これは理屈じゃない。でも、確かにそこに**ある**。”


---


### *アリスの語り(締め)*


> 「彼は、理解できないものを怖れず、面白がった。

> それが、彼の強さであり、未来を開く鍵だったのかもしれません。

> 魔法という謎は、彼にこう囁いていました——『ようこそ、こちら側へ』」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ