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異世界転生 AIに助けられながら  作者: 西 一
第一章 旅立ちまで
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第1話『誕生 - 無垢なる始まり』【1. 意識の断絶】

……あれ? 俺、死んだ?


そんな疑問が頭に浮かんだ次の瞬間、視界が真っ白になった。


いや、厳密には“視界”って言うほど見えてない。眩しいのか、目がまだ開かないのか、なんかもう、ぜんぶぼやけてる。しかも、耳に届くのはうわんうわんと泣き声の大合唱。どこだここ。保育園か?


違う。

泣いているのは……俺だ。


え? 俺、泣いてるの? 勝手に? 自動再生? ちょっと待って、何この赤ちゃんモード。


――そうだ、思い出した。


俺の名前は、らく はじめ。三十ン歳、元ITエンジニア。ブラック企業を辞めたあと、趣味で開発していた音声AIをいじってたら、いきなり心臓がキュッとなって、そのまま……。


そのまま、気がついたらこれだよ!


動かない手。上手く開かない目。まともに言葉も出せない口。ハードウェアが完全に赤ちゃん。


……いや、転生したってこと? マジで? あの“お約束”ってやつ? 異世界?


そんなことを考えていたら、誰かが俺を優しく抱き上げた。温かくて、ちょっとミルクっぽい匂いのする女性の腕。うわ、柔らかい。赤ちゃん補正でめちゃくちゃ安心する。


だけど、何か言ってる声が――


「◯△◆*〜、◆◯◇〜〜!」


うーん、言葉がまったく分からん! 英語ですらない! 聞いたことない言語! 周波数おかしい!


それでも、その声はどこか優しくて、あったかくて――なんだか、泣きたくなった。いやもう、実際泣いてるけどな、俺。勝手に。


身体は赤ちゃんでも、中身は大人。つまり、俺は「中身おっさんベイビー」というやつだ。なんだそれ。思春期にもほどがある。


しかも状況が状況だ。異世界? 転生? 言葉通じない? 泣いてる? 赤ちゃん? これ、冷静に考えてホラーじゃね? 目も開かず、言葉もわからず、知らない場所で知らない人に囲まれてるって、完全にホラーの導入じゃん。


「……うわー、どうしよう」


と内心で頭を抱えても、現実は変わらない。俺はもう、生まれたばかりの赤ん坊だ。


その事実を飲み込むには……うん、ちょっと時間がかかりそうだ。



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