二月の心配
雪。
踏むと、確かに割れる音が聞こえくる。
ザリガリ。
そういうべき音が残響している。
あの人と過ごしたあの景色も未だに残響している。
あぁ、でも、もう戻れない。たまに見れるあの人の姿は、私と違って笑顔。
それでいいよ。私といない方が幸せでしょ。
そういえば、昔、といっても一年程前ではあるけど…。
あの先輩も、もう卒業するのか。
今は好きとは言い切れないかもしれない。かもしれない。未練はタラタラかもしれない。
あのとき、あんなに真剣に考えた未来は指の隙間をすり抜けていった。トイレのタイルに指を当てて考えたことは歪で無駄な事だった。
雪の上を歩けば歩くほど、固く汚れていく。
あの人との思い出も、思い出せば思い出すほどどんどん汚れて嫌って壊れていく。
思い出ともいえるのかな。ただの一方的な思いを反芻してるだけ。
目線を空へと運べば、空から冬にしては暖かい日が照っていた。
地面は足でこすると多少滑る程度である。この雪もその内溶けるのだから、今の内に堪能しておこう。街が白くなる雪は当たり前の様に幻想的だ。
それに、光が反射して独特の明るさが広がった。
時間帯のせいなのか、雪のせいなのか車はあまり走っていない。雪の日は静かだ。でも、雑多な音が聞こえてくる気もする。
歩いていくと、とめどなく雪固有の温かさを足から感じてくる。
ふと、後ろを振り返ると、足跡が道の奥まで続いていた。
私の進んできた軌跡が残っている。そう思えばあの時の行動も、無駄じゃないって思えるかな。
新たな恋へと向けて進んで行くのに、必要だったのかもしれない。
反対側の歩道に面してる屋根から雪がドサッと堕ちた。