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白き海の底に沈む。そして世は全て事もなし。

下級市民ケンの独断と偏見に満ちたひとりごともついに最終回。


 ここまで来たらもう引き返せないぜ。


 マッパの祭典の行き着く先を、一緒に見届けようぜ。




 最終戦争(ラストステージ)が幕を開けた。


 戦いは熾烈を極めた。


 また一人犯され。


 また一人キャンタマを潰された。


 一進一退の攻防が続き、力尽きた生徒たちが石畳の上に倒れ伏していた。


 赤き血と白き液体が混ざりあう石畳の上に立っているのは、8人の男女だけだった。


 ちなみに男子はあっちの方も勃っていた。高校二年生の男子の性欲は無尽蔵なのだ。




 イケメン帝王ユーイチ

 ナンバーツー・ルッキィ

 不良王ゴッディ

 相棒マージュ


  VS


 エース・モモ

 ギャル・スウ

 ギャル・るう

 ギャル・リツ




 ラストマッチのゴングが鳴り響いた。


 ゴッディとマージュが猛然とギャル・るうとギャル・リツに襲い掛かった。


「くんなっ! 触んじゃねえ!」


「女子なんて組み伏しちまえば、なーんもできねえんだよな!」


「貧乏男子の分際で! 金返しやがれ!」


「これが俺っちの駄賃(チンチン)だ、受け取れ!」


 パンパンパンパン!


 パンパンパンパン!


 不良男子が奏でる肉の二重奏が石の壁に反響した。


「これが異世界、これが召喚、これが中出し、これがセックスゥーーッ!」


 恍惚とした表情でゴッディとマージュが雄叫びを上げた。 


「うおおおおおおおおおおっ! 超きんもちいいいーーーーっ!」


 ドビュ! ドビュ! ピクッ! ピクッ!


 ドビュ! ドビュ! ピクッ! ピクッ!


 ギャル・るうとギャル・リツが絶叫した。


「「モモオオオォォォーーーーッ!」」


 ドガッ! グシャアアアッ


 白き泡と白き液体を盛大に飛び散らせながら、二人の不良男子は、白き海の底に沈んだ。


「ギャル・るう、ギャル・リツ、あなたたちの勇気を無駄にはしない」


 ふたりのギャルの屍を乗り越えて、エース・モモは次の獲物に向かって歩き出した。




「おらっ! おらっ!」


 ナンバーツー・ルッキィはギャル・スウの顔面にパンチを叩き込んだ。


 負けじとギャル・スウもルッキィの顔面にグーパンを入れた。


「俺はおめえみてえな女子が大っ嫌いなんだよ!」


「奇遇じゃん。あーしもテメエはでえっきれえだよ!」


 互いの口元は切れ、血が滴り、顔はパンパンに腫れていた。


「せめてもの情けだ、俺の腕の中で逝かせてやるっ!」


 パンパンパンパン!


 ルッキィが腰を動かし、肉と肉が激しくぶつかり合った。


「殴って犯して蹂躙して! これだぜこれ! 俺が求めていたものは! 真の快楽はここにアリ!」


 パパンパンパン、パパンパン!


「ルッキィ、逝きまぁーーーーすっ!」


 ドビュ! ドビュ!

 ピクッ! ピクッ!


「終わったぜぇ……、全て世は事も無し」


「終わっちゃいねえよ! 必殺オヤジゴロシ!」


 柔らかいカラダを折り曲げ、ルッキィのケツのアナにギャル・スウは人差し指を突き刺した。


「ウホホホオオオォォォーーッ!」


 へんてこな叫び声を上げて飛び上がったルッキィのキャンタマを360度捻り上げた。


「ンガガガガアアーーーッ!」


 もんどりうって倒れたルッキィを、エース・モモが確実に潰した。


 グチャアッ!


 二年仁義組のナンバーツー・ルッキィが起き上がることは二度となかった。


 ギャル・スウの腫れ上がった顔にはうっすらと笑顔が浮かんでいた。


「ギャル・スウ、あんたは最後の瞬間まで勇敢だった」


 モモは顔を上げ、鋭い視線をそいつに向けた。


「よくぞここまで辿り着いた、エース・モモ」


 二年仁義組のイケメン帝王ユーイチは、尊大な態度でエース・モモを迎えた。




「ユーイチ!」


 モモは人差し指をユーイチの股間に突き付けた。


「テメエのキャンタマだけはここで潰す!」


「すばらしい気概だが、潰されては困るな」


 ユーイチは視線をそらしてぼそりとつぶやいた。


「俺じつは、好きな子がいるんだよね」


「それが何か?」


「明るくて活発で、笑顔がチャーミングで、フィールドでは誰よりも輝いていた。俺の視線はたちまちその女の子に釘付けになってしまった」


 ユーイチは視線の先にいる女の子に甘い声で告げた。


「君だよ、モモ」


「え!?」


「気がついていたかい? 俺の目はいつも君の姿を追っていたんだ。いつかこの思いが、君に届くように」


「じょ、冗談はよせ!」


「本気さ。どれほど夢みたことだろう。俺の隣で微笑む君。ふたりで共に歩む未来。星空の下でささやく愛の言葉。モモ、俺にはもう君しか見えない」


 ユーイチは両手を広げた。


「君が、好きだ」


 マッパでこんなセリフが言えるユーイチはさすがイケメン帝王としか言いようがなかった。






 エース・モモに一秒だけスキが出来た。


 一秒あれば挿入には十分だった。


 パンパンパンパン!


 肉が肉を打ち付ける軽快な音が響き渡る。


 モモの背後からユーイチは攻め立てた。


「ギャハハハハ! チョロいぜ! 嘘を真に受けるんじゃねえよ!」


「き、きさまーーっ!」


「男子には恋愛感情なんてねーんだよ!」


 パンパンパンパン!


「恋愛するフリをしちゃいるが、男子にあるのは性欲だけ。恋愛感情なんてカケラもねえっての!」


 パンパンパンパン!


「あると思ってるやつは性欲と恋愛感情の違いを説明できんのかよ! 絶対無理だろ!」


 さすがだ。イケメン帝王ユーイチ様。僕がつぶやくことがなにもない。


「その身に刻め! この俺様の名を!」


 ユーイチはさらに激しく腰を動かした。


「俺の勝ちだ、モモオオオォォォーーーーッ!」


 パンパンパンパン!


「うおおおおおおおおおおっ!」


 天上の頂きに達しようとしたその瞬間、狙いすました一撃が放たれた。


「ここだァ!!」


 渾身の力を込めたノールックのヒールキックがものの見事に的中した。


 グシャッと大きな音をたててキャンタマは潰れた。


 ドピュ! ドピュ!


 大量の白き液体を空中に巻き散らしながら、ユーイチは白き海の底に沈んだ。


 ピクッ! ピクッ!


 一方、モモも力尽きて赤き血の海に沈んだ。




 愚かな戦いの幕は閉じた。


 あたりに漂うのは赤き血の匂いと、白き液体の臭い。


 視界に広がるのは死屍累々とした二年仁義組のマッパな男女たちだった。




 石畳の上に魔法陣が現れ、光を放ちだした。


 再びドラム・デュエットが奏でられ、音量は次第に大きくなっていった。


 ドラム・デュエットが終わり、光が収まると、二年仁義組の教室に戻っていた。




 何が起こったかって?


 異世界召喚でクーリングオフされてしまったのさ。


 召喚する側の人たちも、学校は選んだ方がいいって学んだことだろうよ。


 むやみやたらな召喚は危険なのだ。


 とくに世喪屍鬼(せもしき)商業高等学園の生徒はお勧めしない。




 学生たちはよろよろと起き上がり、床に落ちていた衣服を身に付けていった。


 ふらつく足取りでみんな教室から出て行った。


 キャンタマを潰された男子たちはこの後キャンタマの再生治療を受けるだろうし、強姦された女子たちは妊娠の心配をしなければならないだろう。


 これからみんな大変だね。


 クラスメートが全員出て行き、教室には僕だけが残った。


 詰めていた息を吐きだした。


 はーーっ。


 モブでよかったってつくづく思ったよ。




 気を抜いてしまったのが致命的だった。


 教室のドアを開けて入ってきたタンニンとバッチリと目が合ってしまったのだ。


「ん? ケン、おまえひとりか? 他の連中はどこにいったんだ?」


 そういえば今はホームルームの時間だった。


「さあ……、僕も急用が出来たんで帰ります」


「まてまてまて!」


 ガシッと襟首をつかまれてしまった。


「職員室まで来い! 知っていることを全部吐け」


「ええええええっ!」




 職員室に連れていかれて、タンニンから厳しい追及を受けた。


 仕方がないので、二年仁義組の異世界転移マッパの祭典を、レポートにして提出した。


 すると大きなため息をついたタンニンから、


「おまえには妄想癖でもあるのか?」


 ってあきれられてしまった。


 独断と偏見に満ちてはいるけれど、嘘は書いてない。ほんどだぜ。


 だけど、全然信じてもらえなかった。


 商業高等学園の教師のレベルの低さガーッ、ってまたつぶやきそうになってしまったぜ。




 二年仁義組の女子の処女率はゼロパーセントになった。


 童貞率は残念ながらゼロにはならなかった。


 妊娠した女子はいなかった。おそらく世界を渡るときに体内の異物は排出されたのだろう。


 男子たちのキャンタマは、まあご愁傷様としか言いようがない。


 この事件の後、女子と男子の断絶は決定的となり、三年になるまでの一年間、お互いに口を利くことは一度もなかった。


 僕の提出したレポートは闇に葬り去られ、世喪屍鬼(せもしき)商業高等学園の生徒が、異世界でしでかしたことは無かったことになった。


 学園、マスコミ、警察や役所、家族親戚知人全てが無関心だった。


 だから、ここで僕がつぶやくことにした。


 下級市民のひとりごとなんて、誰も信じないってわかっちゃいるけどね。


以上、下級市民ケンのひとりごとでした。

こんな拙い作品を読んで頂きありがとうございました。


下級市民ケンのつぶやき。

「女子のカラダは魅力的だ。

 オフクロのカラダを見ても勃起しない男子たちも、女子のカラダを見れば勃起する。

 ムスコは実に正直だ。

 性欲が膨れ上がったときにオフクロの裸体を想像してみるといい。たちまちしおしおのへにゃんこになっちまうこと請け合いだぜ」


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