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戦慄! 蹴撃の男子根絶作戦!

下級市民ケンの独断と偏見に満ちたひとりごとは止まらない。


 世喪屍鬼(せもしき)商業高等学園の男子の興味の対象は言わずもがなのセックスだ。


 二年仁義組の男子どもは女子とヤることしか考えてない。


 美術部員は裸の女の絵や彫像を見てオナり、運動部の連中はどうやってマネージャーを輪姦(まわ)そうかいつも話していた。


 オタクたちは2次元の世界にトリップしてオナニーに勤しんでいた。


 学園の生徒たちは、「この世の事象は全てセックスに繋がる」と考えていると言っても過言ではない。


 勉強も、運動も、知的好奇心も、セックスの前ではチンカス以下だった。



 男子もひどいもんだが女子もたいがいだ。


 二年仁義組の女子が興味があるのはオシャレと推しと他人の悪口だ。


 オシャレと推しは分かるとして、息を吸うように他人の悪口を言う。まるで悪口を言わなければ生きていけない生物みたいに。これが下級市民女子の生態だと言えばそれまでだが。


 他人の不幸は蜜の味ってよく言うけれど、きっと他人の悪口を言うのは気持ちがいいのだろう。それこそ麻薬みたくさ。


 女子どもから感じ取れるのはラリった薬中を彷彿とさせる気色悪さと、底知れぬ意地の悪さだ。


 いやぁ、恐ろしい。近づきたくねぇ。


 二年仁義組のヤりたいだけの男子と悪口言うしか能がない女子は案外お似合いなのかもしれねえな。




 さて、商業高等学園の生徒どもの胸糞悪い話はまだまだ続く。


 苦手なやつは引き返してくれよな。







 イケメン帝王ユーイチとナンバーツーのルッキィは異世界でも絶好調だ。


「オラオラオラ!」


「この鬼畜! 強姦魔! ドヘンタイ野郎!」


「女子の罵りが心地いいねーっ! 強姦が捗るぜっ!」


「や、やめてぇ……」


「おまえのようなブサイコが俺のようなイケメンに言う言葉は、ありがとうございます、だろうがああっ!」


 パンパンパンパン!


「ひいいいーーっ!」


 ドビュ! ドピュ!







 いったい誰が予想しただろうか。


 これから始まる女子たちの猛反撃を。


 男子たちを奈落の底に突き落とす、世にも恐ろしい攻撃を。




 ドガッ!


 ブシューーッ!


 腰を動かしていた男子が、突然口から白い泡と、下から白い液体を吹き出して、ぶっ倒れた。


「なっ、なんだ! 何がおこったんだ!?」


 男子たちの動きが止まり、ひとりの女子に視線が集中した。


「エース・モモ!」


 行動不能になった男子を見下ろす女子サッカー部のエース・モモの姿がそこにあった。


「恐がらないで!」


 エース・モモは叫んだ。


「頑丈に見えて男子のカラダはけっこう脆いものよ!」


 近くにいたキモメンを女子から引き剥がし、股間のボールを蹴り上げた。


 グシャーッ!


「ギエエエェーーッ!」


 キモメンは奇声を上げ、泡と白い液体を吹いて気絶した。


 やつのキャンタマはエース・モモの黄金の右足によって無残にも潰されていた。


「みんな、キャンタマを狙って! キャンタマさえ潰せば男子は行動不能に陥るわ!」


「わかったわ!」




「やるじゃん」


 ギャル・スウがニヤニヤしながらやってきた。


 二年仁義組の女子の二大派閥、金髪のギャル派と黒髪のモモ派。


 犬猿の仲の二つの派閥は、ふだん教室ではお互い目も合わせなかった。


「あーしの経験から言うと、こうやると効果的じゃんね」


 ギャル・スウはキモオタのキャンタマを掴み360度捻り上げた。


「グゲオオエェーーッ」


 まさに七転八倒! キモオタは苦痛のあまりころげまわってもだえ苦しんだ。


「これをやるとどんなガタイのデカいオヤジでもイチコロじゃん」


 そこへエース・モモの右足が容赦ない追い打ちをかけた。


 グシャアアアッ!


 キモオタは完全に沈黙した。


 ギャル・スウとエース・モモは、お互いの顔を見てニヤリと笑った。


 二年仁義組の女子の二大派閥、金髪のギャル派と黒髪のモモ派が手を組んだ歴史的瞬間だった。



「クイッっと捻って、ドーンよ! みんな!」


「クイッ、ドーンね!」


「行動不能なんて生ぬるいし、完璧に不能にしてやろうじゃん!」


「まずは弱男から狩っていくわよ。複数人で囲んで、数的優位にもっていくのよ」



 フツメン、キモメン、弱男たちは慌てて逃げ出したが、高い石の壁に囲まれた広場にはどこにも逃げ場はなかった。


 弱男はあっという間に女子に取り囲まれて、抵抗する間もなくキャンタマを潰された。


 気絶した弱男は泡を吹き、ムスコから白い液体が吹き出していた。


「やだ! 気色悪い!」


「鶏と卵じゃん。気色悪いから弱男なのか、弱男だから気色悪いのか」


「さあ! 休んでいる暇なんかないわよ! どんどん潰すわよ!」


 エース・モモとギャル・スウを先頭に女子たちは次々と男子を追い込み、ブタを屠るように淡々とキャンタマ潰しの作業をこなしていった。




 女子たちによる「男子根絶作戦」は実に効果的だった。


 男子を一人ずつ孤立させ、複数の女子で取り囲む。


 キャンタマを掴んで捻る。


 クイッ!


 そこへエース・モモが的確に黄金の右足を振り抜く。


 ドーン!


 グチャ! (キャンタマが潰れる音)


 流れるようなチームプレイだ。


 その結果、半数以上の男子が白き液体の海に沈んだ。


 マッパな男子には、モモの蹴撃を防ぐ手段は皆無だった。





 残った男子はイケメン、不良など一筋縄ではいかない連中ばかりだった。


「おいおいおい! セックスに対して暴力で対抗するなんて野蛮だなあ、女子って」


 我らがイケメン帝王ユーイチは、動揺を一切見せず、長い髪をかき上げた。


「テメエらが強姦するからだろうが!」


 ギャル・スウが吠えた。


「例えばさ、言論に対して暴力で対抗したらそれはもう人間失格だろ。セックスに対してはセックスで対抗するのが礼儀ってもんだぜ」


「セックスで蹂躙されたくなければ、セックスで蹂躙しろってか。へっへっへっ!」


 ナンバー・ツーのルッキィがいやらしい笑い声を上げた。


「セックス、セックスって、テメエらの脳みそはキャンタマの中にでもあんのかよ!」


「その通り! キャンタマこそが俺たちの頭脳だぜ! ヒャッハッハッ!」



「衝撃の事実だわ。男子は人間じゃなかったなんて」


「しょせんケダモノ。唾棄すべき存在じゃん」



 不良王ゴッデイと相棒のマージュが下半身を見せつけるように前に出た。


「先に暴力を振るったのは女子どもだからな、やり返される覚悟は当然あんだよな」


「俺っち、女だからって容赦しねえんだわ」


「女を殴っちゃいけねえってさんざん言われて育ってきたけどよ、実は男って女を殴りたくてたまんねえんだぜ」


 ボキボキと指を鳴らすゴッディと、その横でウォーミングアップをするマージュ。


「久々にリミッター解除しちゃいますかね」




「ゴッディ、マージュ! テメエらうちらに借金があんだろうが!」


 そう叫んだのは、ギャル・リツとギャル・るうだった。


「10万円払うからヤらせてくれって言って、そんときの10万円が未払いのままじゃねえかよ!」


「なんのことかな~?」


 ゴッディとマージュはすっとぼけた。


「この、サイテーヤローどもが!!!」


「ゲスのキャンタマ引きちぎってやんよ!」


「二度と女抱けねえカラダにしてやっからな!」


 ギャル・リツとギャル・るうは怒り心頭だった。


「クソ男子ども、よーく聞くじゃん」


 ギャル・スウが声を張り上げた。


「あーしらは世界で一番価値が高い人間じゃん。オヤジどもはあーしらが欲しくてたまんねえんだとよ。いくらでもお金をつぎ込んでくれるほどに。その意味がわかるよな」


「ほーんとドスケベオヤジときたら、笑いが止まんねえよな」


「あーしらはテメエらが気安く触っていい相手じゃねえんだよ! クソ男子ども!」


「スウの言う通り! 貧乏人はお断りぃ!」


「チンチン洗って出直しな!」


 そこへエース・モモも加わった。


「男子なんか恐れるに足りないわ! キャンタマ(ボール)は蹴られるために在るんだから!」


「全集中でいくわよ! 最後は必ずモモがキメてくれる。捻ってドーンよ!」




 このメチャクチャなやり取りこそが、商業高等学園の醍醐味と言える。


 ちなみに僕は、祭典(セレブレーション)には参加してないよ。だってモブだもん。


 モブはモブらしく、気配を消して、見ているだけさ。


 虐めも、恐喝も、暴力も、犯罪も、いつだってモブは見ているだけなのさ。


 けっして近づかない。関わらない。声かけしない。


 二年仁義組の異世界転移マッパの祭典の行き着く先を、最後まで見届けることが僕の唯一の役目だと思っている。


 ラストステージは間もなく開演だ。下級市民たちがナニを得てナニを失うのか、この目にしっかりと焼き付けるぜ。


次回は最終回!

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