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マッパの祭典、ヒャッハー繚乱の男子たち

下級市民ケンの独断と偏見に満ちたひとりごとが続きます。


 モブ顔の僕のことを同級生の中で覚えているやつがいるだろうか。


 モブ顔のおかげで、数々の災難から免れているのだから、モブ顔も捨てたもんじゃない。


 成績も常に平均点をキープして、最も目立たない立ち位置にいる。


 おかげで商業高等学園定番の「告白」というクソイベントにも遭遇せずにすんだ。


 告白なんてイベント、考えただけで虫唾が走る。「好き」というエゴを他人に押しつける時点で相手を好きになれないよね。


 男ってのはセックスをヤりたがる生き物だが、それは「好き」と同義ではない。


 女子を「好き」になること自体が無理ゲーである。


 イケメンや不良どもは「好き」なフリをしてヤらせてもらってるみたいだけど。彼らもセックスがヤりたいだけで、女子そのものを「好き」なわけではないと思う。


 まあ、それを言ってしまえば、女子だって同じなのかもしれない。僕は女子じゃないから分からんけどね。



 告白イベントの主役はもちろんイケメン男子だ。


 イケメン男子は女子がいる場では好意的な態度を崩さないが、男子だけになると(たちま)ち豹変する。


「あー、臭せえ、臭せえ! ブサイコは近くにいるだけで臭せえんだわ。ブサイコに見られると背筋に悪寒が走るからすぐにわかるぜ。俺がイケメンなのが罪なんだけどよー、こっち見んなよなーまったく!」


 二年仁義組のイケメン帝王ユーイチ様のお言葉だ。


「わかるぜぇ。ブサイコに告白される身にもなれってんだよな。こないだなんかマジで反吐はいたわ。繊細な俺にゃブサイコは耐えられねえんだわ」


 そしてナンバーツーのルッキィ様だ。


「ブサイコに人権なし!」


「だな。世の為人の為、そして俺の精神衛生の為、速やかに目の前から消えてくれ!」


「ギャハハハハ!」


 これが世喪屍鬼(せもしき)商業高等学園の二年仁義組のイケメン帝王とナンバーツーの本音トークだ。




 女子もブサイコには同性でありながら容赦なかった。


「ユーイチが体調崩したのって、テメエのせいなんだって? とぼけんじゃねえ! テメエ、ユーイチのこと視姦してたんだろ?」


 金髪碧眼のギャル・スウに責められてブサイコは涙目だった。


「わ、わたしはただ……」


「テメエのようなブサイコに見られてユーイチは超メーワクしてんだよ。二度と穢れた視線を浴びせんじゃねえぞ、わかったか! 一生俯いて暮らしな! それが(わきま)えるってもんだ」


 これと類似した会話が毎日のように学園で繰り広げられている、これが僕の通う世喪屍鬼(せもしき)商業高等学園の偽らざる姿だ。




 前置(つぶや)きが長くなってしまった。


 さあ、ここからが本番だ。


 マッパの祭典、スタートだぜ!






 二年仁義組の生徒が全員、その日は教室に揃っていた。


 これから朝のホームルームが始まるのだ。


 ドンッ、ドンッ、ドンッ、ドンドンドン!


 ドンッ、ドンッ、ドンッ、ドンドンドン!


 突如ドラムの音が聞こえてきた。


 まるで全盛期のフィル・コリンズのドラム・デュエットのような躍動感あふれるドラミングだ。


 いったいどこから? 連絡用のスピーカからではないみたいだ。


 ドドドドドド、ドンッ!


 ドドドドドド、ドンッ!


 正体不明のドラムの音はどんどん大きくなり、耳をつんざくほどの音量になった。


 生徒たちは手で耳を塞いで耐えた。


 音が最大に達した瞬間、生徒たちの肉体は世界からひきずり出された。


 つまり、教室から生徒が全員消失したのだ。


 後に残ったのは、床に散らばった衣類、メガネ、コンタクト、ピアス、染料、そして陰毛等だった。





 タタタッ、タタタッ、タタタッ、タタタタタタ、ドン!


 ドラム・デュエットが終わり、耳を塞いでいた手をどけて、周囲に目を向けた僕たちが見たものは、円形の広場を囲む石の壁だった。


 なんだここは?


 円形の広場に敷かれた石畳、それを囲む2メートルを超える石の壁、石の壁の向こうには鬱蒼とした木が生い茂っていた。


「異世界召喚だ」


 フツメンが言った。


 僕もそう思った。ただし、まともな召喚じゃない。


 ここはどう見たって密林のど真ん中だ。嫌な予感しかしなかった。




「キャアアアアアーーーーッ!」


 女子の悲鳴を聞いて、男子たちがいっせいにそちらに視線を向けた。


 ギャル・スウを見ると、金髪碧眼だったのが、黒髪黒目になっていた。


「こっち見んな! クソども! あっち向いてろ!」


 そこにいたのは一糸纏わぬマッパな15人の女子どもだった。


 目が飛び出さんばかりになった男子たちは一斉に股間を押さえた。





 女子がマッパならもちろん男子もマッパだった。


 異世界召喚で世界を渡ることを許されたのは肉体と頭髪のみだった。


 腋毛や陰毛はフィルターで弾かれたらしく、男子も女子も、頭髪以外はツルツルだった。


 マッパのJKを見て興奮しない男子はまれだろう。二年義組の男子たちはみな股間を押さえていた。


 みんな見事におっ勃ってるよ。


「野獣!」

「ケダモノ!」

「サイテー!」

「オゾマしいモン見せんじゃねえ!」

「穢れが感染(うつ)る、近寄んな!」

 屹立したそれらを見て女子たちは口々に罵った。



 異世界全裸(マッパ)召喚……なるほど、鎧(服)を脱ぐことで人間の本質が現れる。


 召喚された者たちを見定めるための策略だとしたら効果抜群だ。


 理性的に行動できるか、本能のおもむくままに行動するか。今僕たちは試されているのかもしれない。





 下級市民が、いや、商業高等学園の生徒がマッパで異世界召喚されたらどうなるか。


 これからお見せしよう。


 胸糞悪くなる内容だから、苦手なやつは読まないことをお勧めする。





「おいおい、何隠してるんだよ、女子ども」


 不良男子ゴッディがニヤニヤ笑いながら女子に近づいた。


 隣には相棒のマージュもいた。


 勃ったモノを隠しもせずに二人はマッパな女子の前に立った。



「テメエら男子は何するかわかんねえだろーが」


「おめえら女子はこう言いてえのか? 男はみんな強姦魔だと」


「違うってのかよ!」


「否定はしねーよ! 男は生まれた時から皆強姦魔だぜぇーーっ!」


「ヒャッハー! 俺を止められるものなら止てみろーーっ!」


 不良どもが振り返って煽った。


「そんな隅っこでおっ勃ってねえで、おまえらも遠慮なく()てまえーーっ!」


「行け、行け! GO!GO!」


 マッパで異世界転移して、目の前に「マッパの女子(エサ)」をぶら下げられて、理性を保てというほうが無理がある。


 あっという間に男子たちは欲望の波に飲まれていった。


「男には犯罪(ダメ)だとわかっていても()やらなければならないときがある」


「俺、これから()らかしちゃいます! 異世界で性の本能開放しちゃいます!」


()あ! 犯あ! 犯あ! 我慢は人の為ならず!」


「異世界で女子を強姦りまくれ!」


強姦るならやっぱ異世界でしょ!」



 不良、イケメン、フツメン、キモメンたち、モテ男も非モテ男も二年仁義組の男子がはじめて一体になった瞬間だった。



 まさに無法地帯、酒池肉林、淫乱豪華な祭りの始まりだ。


 出会って一秒で挿入、彼らはまさにそんな状態だったのだ。





 パンパンパンパン!


 肉と肉がぶつかり合う音が響いた。


 ドピュ! ドピュ!


 男子が次々に射精していった。


 ピクッ! ピクッ!


「チョーきもちいい! 中出しサイコー! 強姦サイコー!」


「サイテー! 死ね! ゴミ! クズ! インキンタムシ野郎!」


「そんなこと言っちゃっていいのかなー? 輪姦(まわ)しちゃうよ」


「誰も言わないなら俺が言ってやるぜ。虐めチョーたのしーっ!」


世喪屍鬼(せもしき)商業高等学園園長曰く、わが学園では虐めを推奨しております! 世喪屍鬼(せもしき)商業高等学園バンザーイ!! ギャハハハハ!」


 異世界では、元の世界での常識は通用しない。監視の目もなければ、警察もいない。


 しがらみから解放された下級市民どもは、自らの欲望のままにはっちゃけた。




 パンパンパンパン!


「うおおおおおおおおおおぉぉぉぉーーっ!」


 ピクッ! ピクッ!


「これはクセになりそうだな」


次の話では女子たちの猛反撃が始まります。

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