朝起きて一番にすることは
下級市民ケンの独断と偏見に満ちたひとりごとをお楽しみください。
朝起きて一番にすることはオナニーだ。
目覚めると勝手におっ勃っているのでたいした手間じゃない。
一発キメてスッキリして登校する。
これをやっておかないと後でとんでもないことになる。
満員電車の中で女に欲情したりしたら目も当てられない。
「危機管理は万全に」が僕のモットーだ。
女というだけで欲情してしまうような男にはけっしてなりたくないからね。
僕の住む田舎の町でも朝の通学電車は人がギュウギュウの満員状態だ。
なんだろう、みんな同じ時間に通学して同じ時間に帰宅しなければならないみたいな集団心理というか同調圧力は。
こんな無駄で不快なことをよく続けられるなーって、感心してしまう。
そういう僕も三つ先の駅にある高校へ通うために毎日満員電車に揺られてる。
はーーっ。
まったく朝から憂鬱だ。
ある程度時間が自由になる人種は上級市民と呼ばれる人たちに限られているのだから仕方がない。
僕のような下級市民は黙って集団の中に埋没するしかないのさ。
僕の通う高校を紹介しよう。
高等学校数あれど、世喪屍鬼商業高等学園は一味違う。
仁義、隷痴、親倭、敬性なんてアホみてえなクラス名をつける学校だ。
二年仁義組ってなんだよ。ヤクザの学校かよって思ったね。
敬性組はまだわかる。セックス上等って意味だよな。
冗談みてえな商業高等学園に通ってる理由は、普通科高校に入るには偏差値が低かったからさ。
商業高等学園には、ゲスな商人の子供とか、不良とか、勉強が苦手なオタクとか、なんの取柄もないクズとかそんなやつばかりしかいない。
とにかく賤しく浅ましい人間どもの巣窟だ。高校生の掃溜めといっていい。
つまり、ここにいるのは下級市民ばかりってこと。
滑稽なことに、下級市民が集まれば、その中でヒエラルキーが再定義される。
下級市民の中において、上級、中級、下級と階級分けさられるのだ。
学園内でのみ効力を発揮するスクールカーストってやつだ。
人に見下される側が人を見下す側に華麗にジョブチェンジってわけさ。笑っちゃうだろう?
商業高等学園で上級市民だと粋がっていても、一歩学園の外に出ればゴミくず同然の下級市民、問答無用でボコボコにされてしまうのがオチなのさ。
商業高等学園名物を知ってるか?
「童貞狩り」だ。
「童貞狩り」は商業高等学園に通った男子ならみな経験があるだろう。
「童貞狩り」はその名の通り、童貞をあぶりだすイベントだ。
【童貞か否か】を不良どもがクラスの男子ひとりひとりに聞いて回り、童貞だと答えると、イケメン+不良+全女子が一丸となって童貞をバカにする。
童貞は、商業高等学園において侮蔑の対象なのだ。
童貞の有無に関わらず、少し考えれば、いや考えなくても、クズはクズのままだと分かるはずだが、そんなことも理解できないのが商業高等学園に通う下級市民どもというわけだ。
童貞の数は7人。仁義組の7人の童貞と呼ばれている。
処女はちなみに3人だけだった。
童貞率46.6% 処女率20% 二年仁義組の統計である。
僕? もちろん童貞だ。だが上記の7人の中には入ってない。
モブは統計には反映されないのだ。
なので厳密にいえば二年仁義組の統計は間違っている。
まあ、そんなこと気にする下級市民はひとりもいないけどね。
次の話ではいよいよ異世界に転移します。マッパだぜ!