カノジョ(仮)7
人類が人型兵器で戦うようになって半世紀。
難攻不落の月の要塞を重人型兵器スコルピオンGXで陥落させた少年少女パイロット・ナナミとミナミ。二人は、英雄、となった。
戦後、地球合同軍の広告塔になった彼ら。特にGカップの美少女ミナミちゃんはグラビアアイドルから歌手デビュー。ワールド基地慰問ツアー中。
誰もいない部屋。
本日の任務を終え、ひとり部屋にもどったナナミ君は、
「サボテンじゃないじゃん」
ミナミちゃんが置いていったアロエに、つぶやいた。
「エロでも見るか」
と思った矢先、艦内電話が鳴った。
「よくイタ電くるんだよな・・・」
ナナミが出ると、
「副長です」
新任の女性副長が、
「カフェテリアに至急」
「ボク年上は、ちょっと」
「わたしもガキはノーサンキュー。とにかく来なさい」
宇宙用兼空母カーマストラー。訓練航海で太平洋あたりをうろちょろしている。
艦内カフェテリアにオフのクルーが集まっていた。
ナナミの上官、人型兵器部隊の小隊長が、
「わすれちゃってたの?今日ミナミちゃんのコンサートの生配信があるって」
「わすれてました」
ナナミは、
「見なかったら後でプロレス技かけられるとこだった」
「わりと大画面テレビにパソコンつないで」
小隊長がセッティングした。
映った。しかし、
「カネとるのか!」
ナナミは、
「しかたないな」
ほどなく、
「はーい!」
アイドルぽい衣装を着た女性パイロット・ミナミが姿を見せ、
「カーマストラーのみんな元気ー。ナナミも見てる?これから配信コンサートだから。ちょっとミナミ、ホームシック。じゃあ、楽しんで。ナナミ―、余計な『解説』しないで黙って見なさいよ」
ミナミが画面から消えると、ナナミは、
「あまりハードルを高くしないで見ましょう」
(8に続く)