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幼馴染で親友

お嬢様と殿下、レオナルド様が馬車に乗り込んだのを確認して見えなくなるまで見送る。


「ユリア嬢とソフィア嬢、よろしければ送りましょうか。」

「私達今から買い物に行くんです!女の子同士の秘密の買い物なので、シノア様はダメですよっ。」

「ごめんなさい、シノア様。せっかくの好意ですが今回は遠慮しておきます。」

「そうですか。それでは、お気をつけて。」

「はい。」


そういって馬車へと乗り込もうと足をステップにかけて。


「……、ユリア嬢。」

「はい。」

「貴方は獲物ですか、狩人ですか。」


その言葉遊びにニコリと微笑む。


「私は、強者が良いです。」

「…………。」

「その二択は、どちらが強者ですか?」


そう問いかければ、メガネを押し上げてニコリと微笑む。

それは、攻略対象らしく、不敵な笑みで。


「気をつけてください。貴女はどうも目立つようですから。」


馬車に乗り込むと、こちらを一切見ずに行ってしまう。


「…………っ。」

「ダメよ。」

「ユリア。」

「大丈夫。」

「…………。」


追いかけようとしたソフィアを引き止め、その手を取る。


「さ、買い物に行くわよ。ソフィアさん。どうやら私は、注目の的らしいから。」

「……いっそのこと、クロード殿下やレオナルド様たちより目立つのはどうですか?キラキラの甲冑とか用意してみます?」

「動きにくそうだから遠慮するわ。」


ソフィアの手を引いて、王都の街を歩く。

学園の生徒はどこにも見当たらない。


「ソフィア、何か欲しいものある?」

「え、私?」

「そ。ソフィア、家の事ばかりでしょ?たまには自分のためにお金使わなきゃ。」

「…………。」

「いつも頑張ってるソフィアに私から感謝の気持ちを込めて、贈り物。」


ニコリと微笑めば、泣きそうな顔をして笑う。


「そんなこと言って。ユリアが一番自分に使ってないじゃない。」

「そんなことないわよ。私はいつも、自分のことばかりよ。」


家族のため、王命だから。

そんな言い訳ばかりして、私はいつも勝手ばかり。


私がしたいからしてることだって、絶対に幸せに繋がるとは限らない。

今回の狩猟大会だってそう。


ただの、自己満足だ。


「あ、コレ可愛い。ソフィアこっち向いて。」


ソフィアの首元に当てて見る。


「鏡見て、ソフィア。」

「………。」

「どう?」

「…………、私には可愛すぎない?」

「何言ってるのよ。ソフィアは可愛いから、ネックレスの方が見劣りしてしまうくらいだわ。」

「…………。」

「あまり気に入らない?」

「ちが……好きだけど、私だけこんな………っ。」

「んー、ソフィア本当に忘れてるのね。」

「え……?」

「もうすぐ貴女の誕生日よ。」

「────」

「ま、ちょっと早いお祝いだけど。当日にお祝いできないかもしれないから。」


いくつかのネックレスを首元にあてていく。

……うん、コレが良い感じ。


「コレください。」

「はいよ。」


会計を済ませて、ソフィアの首元に飾り付ける。


「うん、可愛い。さすが私の親友。」

「……、ユリア……。」


ま、私とアルベルトから勉強熱心なソフィアにブックマーカーを用意してるのは当日まで内緒だけど。


コレは、私からのお祝いってことで。


「よし、んじゃあ次行きましょ。」

「ユリア!」

「ん?」

「ありがと。」


ネックレスをギュッと握りしめふソフィアの瞳は少し潤んでいて。


「大切にしてよ?」

「当たり前じゃない。」


勢いをつけて一歩踏み出したソフィアが、隣に並ぶ。


「大切な相棒がくれたプレゼントだもの。さ、狩猟大会の準備しましょ。服?刃物?」

「服。武器は別に良いわ。張り紙にも書いてたけど、貸出もしてるみたいだから。」

「それじゃあ、採寸してきっちりしたものを用意しなきゃね。」

「必要ないわよ。どうせ汚れるんだから。」

「なら、既製品に手を加えましょ!うん、ソレが良いわ。ね、ユリア。」


足取りがいつもより軽いソフィア。


「そうだね。」


金に糸目はつけるなと言われたけれど、大きなパーティーが控えてるからね。

それに、すぐ汚れる服だから問題ないでしょ。


「ユリア、何色にする?」

「黒か赤ね。返り血が目立たない色が良いわ。」

「アンタがそんなヘマするとは思えないけど……。まぁ良いわ。じゃあ、赤にしましょ。目立つし、安全よ。」

「そうね。」


ソフィアが赤色の服がかけられた場所を物色する。

あれでもないこれでもないと見ている姿は真剣で。

そういえば、邸のクローゼットからドレスを選ぶ時もそんな顔をしてたっけ。


「怪我防止のために袖は長い方が良いわね。」

「え〜。」

「ダメ。どうせ脱ぐんだろうけど、安全面を考慮しなさい。」

「もう……。心配性は治らないわね、ソフィア?」

「手のかかる親友を持つと、苦労が絶えないのよ。」

「へぇ、誰のことだか。」

「誰のことかしらねえ?」


なんて軽口を叩き合いながら、衣装を選ぶ。

時折店員さんに聞いて、揃えていく。

満足行くものを購入し、証明書を発行してもらう。


「帳簿につけるのに使うの?」

「えぇ、そうよ。いつ、どこで、何に使ったか。今までのもちゃんと記帳してるわよ。」

「さすが。」

「さて。それじゃあ、そろそろ帰りましょうか。」

「そうね。良い買い物もできたし。」


コースター辺境伯の王都の邸へと向かって歩き出す。

この格好のままお嬢様のところへ戻ると目立ってしまうからね。

ま、そろそろ気づかれてもおかしくはないと思うけど。


「どんなデザインにする?」

「動きやすいデザイン。」

「わかった。布面積が無くなるくらいにシンプルにすれば良い?」

「ごめんなさい。一緒に考えるのでソレだけはやめて。」


お嬢様はそろそろ殿下との逢瀬を終える頃かしら。

今日はわがまま言って、私用を優先させてもらったから明日から帰ったら頑張らないとね。

読んでいただき、ありがとうございます

感(ー人ー)謝

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