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テストの結果

テストを終え、今日はテストの結果が貼り出される日。

この世界ではテストの成績が大々的に貼り出される。


「あ、居た居た!ユリア様!テストの結果見ました!?」

「いえ、まだ確認してないけど……。」

「じゃあ、見ましょう!今すぐ見ましょう!!私の成績も見てください!!」


ソフィアに背中を押されながら、掲示板の前に進む。


「あそこ!」


ソフィアに指で指し示された方を見れば。


「…………は?」


四位、ソフィア・ローゼン


「は?嘘でしょ。」

「いや、コレがマジ。」

「ソフィア、貴方……。」

「……?」

「すごいじゃない!!四位なんて!!本当におめでとう!!頑張ったかいがあるわね!あぁ、お父様たちに自慢しなきゃ!アルベルトもきっとすっごく驚くわよ。」


ソフィアが四位なんて!!

学び舎での成果……、いや、お嬢様たちとの勉強会が実を結んだわ!!


「ちょ、ユリア…!素が出てる…っ!!」

「っと、ごめん。」


慌てたように抑えられて、素直に謝る。


危ない、私達の関係はまだバレてないし秘密なんだった。


「いや、私もだけど!ユリア様、貴方です!問題は!!」

「え!?そんな成績悪かった!?」

「違います!落ち着いて、上からよく見てください。」


上からって……、そりゃあ下位じゃないとは思うけど……。


一位、ユリア・コースター

二位、クロード・カルメ

三位、マリア・セザンヌ

四位、ソフィア・ローゼン


「ん?」


四位、ソフィア・ローゼン


三位、マリア・セザンヌ


二位、クロード・カルメ


「んん?」


一位、ユリア・コースター


「なんで!?」

「なんでって……決まってるじゃないですか。ユリア様の成績が良かったからです。」

「いやいやいや!なんかの間違いでしょ!?」


だって、原作!!

原作の展開的に外れてる!!


ヒロイン入学前とはいえど、テストの話はヒロインと攻略キャラの間で繰り広げられる貴重な会話!!


“ずっと首席だったんですね、すごーい!”

“ありがとう”


なぁんて、会話が繰り広げられるんですよ!!

そんなフラグ、バッキバキにへし折るんですけどね!!


「ユリア嬢が首席か。流石だな。」

「で、殿下!」

「マリア、キミもすごい成績だね。よく頑張ったね。」

「こ、これくらい当然ですわ。」

「うんうん、自慢の婚約者だよ。」

「…………っ。」


殿下に頭を撫でられて真っ赤になるお嬢様。

正直に言おう、めちゃくちゃ可愛い。


「でも悔しいな。今回も首席だと思ったんだけど。やっぱり入学式の時とは変わるね。」

「クロード様が総代をつとめたのは誰がなんと言おうと実力ですわ。彼女が殿下よりも上の順位なのは、あれだけ一生懸命勉強していたんですから、当然とも言える事実。まぁ、少々気に食わないのも事実ですが…………。」

「ま、マリア様……?」

「マリア、私のために怒ってくれてありがとう。確かに悔しいけど、大丈夫だよ。」


後ろから思い留めるようにお嬢様を抱きしめる殿下。

なんか、スキンシップがいつもより大胆だな。


「く、クロード様……っ。人前で何を……っ。」

「テストも終わって明日から長期休みだろう?浮かれてるんだよ、私も。テストの素晴らしい結果のご褒美に、ちょっとした遠出でもしようか、マリア。」

「と、遠出……?」


目を瞬いて見上げるお嬢様に殿下がニコリと笑う。


「そ。詳しい話は後でね。」


殿下がゆっくりとお嬢様の身体を放せば、腰が抜けたのか、驚いたのか、お嬢様がこちらに身体を傾けるから慌てて支える。

数歩退がった私をソフィアが支えてくれたおかげで、転ぶことはなかったけど。


「あ、ありがとう。助かりましたわ。」

「いえいえ。怪我がなくて良かったです。」


それにしても、遠出かぁ。

殿下は公務があるってガーディナ様が教えてくれたから、お嬢様もその関係で連れて行くのかな?

となると、私もついて行くことになるだろうから……。


うん、やっぱり学園生活中の里帰りは厳しそうだな。

諦めよう。


「あれ、そういえばシノア様やレオナルド様は……。」

「あぁ、二人なら…………。」


殿下の視線を追えば、空気が重苦しい二人組。


「テストの結果に思うところがあるらしい。しばらくそっとしてやってくれ。」

「なるほど、わかりました。」


教室に戻ろうと促してくる殿下にうなずき、歩き出す。

もちろん、殿下はお嬢様の手をしっかり握りエスコートしている。


それを微笑ましく見ていると、袖口を引っ張られて。

視線を向ければソフィアが掲示板を指し示していて。


五位、シノア・ワイナール


「シノア様、そう落ち込む順位でもないと思うけど……。」

「もう少し下見て。」

「下?」


十一位、レオナルド・ドナウ


「わ、レオナルド様、シノア様の鬼特訓(スパルタ)授業受けただけあるわね。」

「レオナルド様は十位以内を目指してたみたいよ。シノア様は三位以内。」

「え、アレじゃあ不満ってこと?」

「殿下の側近としては足りないって落ち込んでるみたい。」

「へぇ……て、なんで知ってんの?」

「ん?聞こえた。」

「なるほど。」


まぁ、私とソフィアというモブキャラが出張ったばかりに彼からの順位までもがズレてしまったのね。

ごめんなさい。


でも、ヒロインと殿下のウキウキ会話テスト編はなくなったから、良っか。


「お二人とも?何してるんですの?」

「!」

「なんでもありません!マリア様、殿下と遠出なんて良いですね〜。」


ごまかすように話しかけながら、近づく。


「……、そ、ソフィアさんは何か予定がありますの?」

「はい!私も領地に帰る予定です!」

「そうなんですの。ぜひゆっくりしてきてくださいな。」

「はい!マリア様もクロード殿下と仲良く過ごしてくださいね!」


ソフィア、領地に帰るのか……。


だったら。


「ユリアさんは領地に戻られるのですか?」

「いいえ。私は王都でやることがあるから。」


ソフィアに皆へのお土産託しておくか。

読んでいただき、ありがとうございます

感(ー人ー)謝

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