学生の敵
色々あったことも落ち着いて、お父様も領地に帰って。
約半年先のパーティーの準備に時間を使えるなと考えながら、お嬢様護衛任務との並行を考えていたのに。
「え?何て言いました?」
「パーティーの前にテストだけど、大丈夫かと聞いたのよ。」
「…………テスト……?」
聞き慣れない言葉に首を傾げる。
いや、聞き慣れない言葉というのは違うな。
前世、嫌と言うほど聞いた言葉だ。
「あら、貴方忘れてたの?もうすぐ年に二回のテストよ。」
「…………嘘ですよね?」
「嘘ではないわ。え、ユリア。貴方本当に忘れてたの?」
「いや……忘れてたというか、知らなかったというか……はい。」
いや、でも、うん。
あったよね、テスト。
ヒロインと一緒にお勉強スチルあった。
シノア・ワイナールとマーシャル・タールグナーはこのイベントが必須。
マーシャル・タールグナーを攻略する時は一発目のテストで赤点を取り、補習授業を受けるのが好感度あげるために必要な行為だ。
「テストってどんな感じで出るんですか?」
「入学試験の時と同じだと聞いたことがあるわ。出題傾向さへ押さえれば難しいことはないわよ。」
入学テスト、受けてないんだよなぁ。
ヒロインも特別入学だったから、そんなのなかったし。
「今度クロード様と一緒に勉強するんだけど、貴方も参加する?」
「え!いや、流石にお二人のお邪魔はできません!」
「でも……。」
「ご心配なく!付かず離れずの距離で傍におりますから。それに、今のところ躓いてはないですし。」
「…………それなら良いのよ。」
「はい、ありがとうございます。お嬢様。」
殿下とお嬢様の邪魔はする気はない。
何より私は無事に卒業できれば良いから、プレッシャーもない。
お嬢様は殿下の婚約者として上位には居なきゃダメだし、殿下もそう。
メインキャラは大変だな、本当。
こういう時だけはモブキャラで良かったと思うよ。
「お嬢様、殿下からお手紙が。」
「クロード様から?」
嬉しそうに声を弾ませ、ステラさんから手紙を受け取るお嬢様。
「ユリアさん、貴方にも手紙です。」
「私にも?ありがとうございます、ステラさん、」
差出人を見れば、ソフィアの名前が書かれていて。
何かあったのかと封を切れば、マーシャル・タールグナーからテスト勉強のお誘いをされたという内容で。
もちろん断ったらしいが。
このタイミングでマーシャル・タールグナーの接触は怪しすぎるだろ。
「ね、ユリア。」
「はい。」
「貴方も来るわよね?私の護衛だものね?」
「???」
やばい、聞いてなかった。
「来るわよね?」
「もちろんです、お嬢様。」
「良かったわ。明日からよろしくね。」
「はい、お嬢様。」
そう返事をする私にお嬢様は、ニコリと微笑んだ。
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