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日は昇り、夜は明ける

短めです

明け方になり、空が白く光る。


そろそろ炎も消える。


ゆっくりと終焉へと向かう曲。


「そろそろね。」


この領地では争いを終わらせて帰ってきた皆を迎えるための宴が行われる。

もちろん、無事に帰ってきた人へのお祝いだ。

それから夜中に葬送曲を聞く。

これは、ちゃんと約束を守って帰ってきた家族への感謝だ。


そして、次の日の朝は気持ちを切り替えて、笑顔を浮かべるための儀式だ。

人の気配が動き出す。

太陽の光が、地面を照らす。


「……ん…朝か……。」


アルベルトの顔を太陽の光が照らす。

それが、葬送曲終わりの合図。

そして、ロイドたちが準備を終えて出てくるまで間を繋ぐのが私の仕事だ。


「おはよ、アルベルト。」

「…………ん、おはよ、姫さん。」


ニコリと微笑み、朝にふさわしい曲を奏でる。

私の一番の役目は、宴で眠っているダメな大人たちを起こすことだ。


「んが!?」

「……、朝か……?」

「もうあと十分……。」


体力を消耗している男性陣が起きてこないのはいつものこと。


「パパ起きて〜!」

「パパ、おはよー!」

「朝だよ〜!」

「ほら、さっさと起きて、手伝っておくれ!!」

「お嬢様の演奏聞けなくなるよ!!」

「お嬢様の演奏!!!!」

「朝からユリアお嬢様見れるなんて、幸せだぁ。」

「ロイド坊っちゃんたちはまだなんか?」

「領主様の姿も見えないな。」

「揃いも揃って、お嬢様に釘付けになってないで!!朝の支度終わったら見れるんだから!!」

「いいや、ダメだ!今を逃すときっとユリアお嬢様から坊っちゃんたちに代わってる!」

「あぁ、そうだ!この前もそうだった!」

「ほらそんなこと言わないで、協力して朝の支度を終わらせましょう?皆、素直に言わないだけで、寂しかったんだから。ね?ほら。私の演奏で良かったらいつでも聞かせてあげるから。」

「ユリアお嬢様〜、また遊ぼ〜!」

「お話聞かせて〜!」

「僕は演奏聞きたい〜!」

「私はおべんきょー!」

「えぇ、もちろん。お仕事が終わったらね。」

「「「「やったー!!」」」」


子どもたちが立ち去っていく。

ソレを、見て大人たちも渋々動き出す。


「相変わらずすげー人気だな……。」

「領主の娘だもの。」

「姫さんの人柄だな。」

「ありがと。ほら、アルベルトも行って。」

「はいはい。」


アルベルトと入れ替わるようにロイドが近づいてきて。


「おはよ、ロイド。」

「おはよ、姉さん。代わる。」

「ん、わかった。じゃあ、途切れないように入ってね。」

「ん。」


曲の終盤、ロイドも知っている曲のため入るタイミングは間違えない。

だから、ロイドが曲を奏で始めたのを確認してホッと一息。


頭を下げて、家へと帰る。


後は、ロイドとウイリアムが交代で演奏するだけだ。


「ただいま〜。」


扉を開けば朝の身支度を終えた私の弟妹(たからもの)たち。

今日の朝食はロイドの手作りかな?

美味しそうだ。


「おかえり、姉ちゃん。」

「「おかえり、お姉様!」」

「ユリア姉、お仕事終わり?」

「うん。お父様は?」

「まだ寝てる。」

「姉ちゃんも寝てきなよ。こっちは大丈夫だから。」

「うん。じゃあ、よろしく。」

みんなの好意に甘える。

毎度の如く、朝風呂に入り、部屋に戻る。

「ふぅ。」


ベッドに倒れ込むように寝転がり、意識を手放した。

読んでいただき、ありがとうございます

感(ー人ー)謝

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