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剣術大会開始

マーシャル・タールグナーが、事あるごとに話しかけてくるせいでまともに殿下との時間が取れなかった……!!

つうか、アイツ絶対に私達の行動を監視してる。


「ユリア様〜!」

「ソフィアさん。どうしたんですか?」

「剣術大会、エントリーしましたか!?」

「えぇ、抜かり無くエントリーしました。」


公務で学園には居ない殿下とお嬢様。

シノア様がついてるからと言われてもマーシャル様の件があったから渋っていれば、副騎士団長が護衛を買って出てくれたから心配いらないと殿下に苦笑されてしまった。

副騎士団長の顔は知らないから、あんまり任せたくなかったんだけどなぁ。


「ユリア様、絶対に優勝してくださいね。応援してます。」

「ありがとう。」


なんだ、ソフィアは出ないのか。

少しだけ、楽しみにしてたんだけどなぁ。


「マリア様とクロード殿下、今日の剣術大会の予選は公務で不在ですよね?」

「えぇ、そうよ。」

「明日の本戦にはいらっしゃるのですか?」

「その予定だと聞いてるわ。」

「わかりました、任せてください。」


ソフィアの手が、私の手を包み込む。

真剣な瞳。

何か、あったな。


「何があったの?領地?王都の方?」

「調べていたあの件、少し厄介かもしれない。報告したこととはまた別に新しい情報が出てきた。今、ガゼルを使って調べてもらってる。私はこれからそっちと合流するから、傍を離れるわ。詳細が分かれば報告に来る。ね、ユリア。一人にしても平気?」

「私は大丈夫。それより、お嬢様や殿下を気にしてあげて。いくら副団長がついてるとは言え、安心はできないわ。」

「わかった。」

「お願いね、ソフィア。」

「任せて。気をつけてね、ユリア。」


ソフィアの手がゆっくりと離れ、立ち去って行く。


「…………はぁ。」


本当なら剣術大会なんか出ずに、お嬢様の傍に居るべきなんだろう。

だけど、私をあの二人から引き剥がすのが目的なら、ソレに乗るしかない。

だからこそ、陛下も副団長を派遣してくれたんだろうけど。


「ユリア嬢。」

「レオナルド様。」

「いよいよですね。」

「はい。」

「クロード様も、参加したいとおっしゃられていたのですが……。こればかりは仕方がありませんね。」

「そうですね。レオナルド様は、気がかりではないのですか?」

「私が心配して気をもんでも、解決しませんから。それに、殿下の剣の腕は確かですよ。」

「騎士であるレオナルド様に褒められるなんて……殿下はお強いのですね。」


まぁ、メインヒーローだから当然か。

スチルの中にも、ヒロインを野盗から救うっていうシーンがあったし。

町中を一人で歩いてて、絡まれてるところを助けられるんだったかな。

ん〜、ちゃんと思い出せない。

スチルの画像はバッチリ鮮明に覚えてるんだけど……。


「ユリア嬢、どうか怪我のないように。剣術大会は騎士の腕の見せどころですから、手加減をしてくれるような人物も少ないと思います。」

「それでしたら心配いりません。真剣ではないと聞いてますから、間違えて斬り殺すこともないでしょう?なので、手加減は無用です。」


斬り殺す心配も斬り殺される心配もいらないから、安心して振るうことができる。


「ユリア嬢は、どうしてこの大会に出場しようと思ったのですか?」

「あれ、殿下に聞いてないですか?優勝したら百二十カラットの宝石……金貨三百相当の値打ちがあるものがいただけると聞いたからですよ。」

「…………え、それだけ…ですか?」

「はい、それだけです。皆様にとっては端金かもしれませんが、私にとってはとても大切なお金です。」


領地の整備で前金の金貨三千は使いきったとお父様が言っていた。

おそらく、この王命達成でもらえる金貨二千も領地の整備に消えるだろう。

だったら、ココで手に入れた金貨三百は家族の為に使いたい。

弟たちに美味しいものを食べさせてあげたいし、新しい服も買ってあげたい。


「売るのですか、宝石。」

「当然です。」

「…………。」

「なので、レオナルド様。今度宝石商を紹介してくださいませ。百二十カラットの宝石をも良い値段で買い取ってくれるような凄腕の商人が良いです。王都でやり取りするつもりなので、王都に出入りできる商人なのが一番の条件ですが。侯爵家ですし、お知り合いくらい居るでしょう?」

「……えぇ、そうですね。その時は、ユリア嬢のご希望に添える商人が居るかあたってみます。」

「ありがとうございます!」


よし、これで換金の心配はなくなった。

あとはとっとと今日の予選を勝ち抜いて明日の本戦で優勝するだけだ。


「そろそろ始まりますね。」

「はい。頑張りましょうね、レオナルド様!」

「はい。」


予選を勝ち抜いて、明日の本戦で優勝する。


今この間にもマーシャル・タールグナーが何かを仕掛けているかもしれない。

さっさと予選を終わらせて、ソフィアたちと合流しないと。

明日は殿下とお嬢様も学園に顔を出す予定だと聞いてるから、心配はいらないだろう。

流石に敵も騎士団長や王侯貴族、騎士の卵たちが集まってる場所で何かを仕掛けてはこないだろうし。


「…………っし、やるか。」


来年はヒロインが居るから、私が優勝できる可能性なんかないに等しい。

なんせ、攻略キャラたちはヒロインの応援一つで優勝してしまうのだから。

だから、レオナルド様。

申し訳ないけど、今年は負けてくださいな。

読んでいただき、ありがとうございます

感(ー人ー)謝

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