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それは来年起きるスチルイベントの一つ

最近、学園の中が少し浮足だってるなと思っていれば。


「剣術大会?」

「えぇ、そうよ。」

「毎年行われる学園の行事で、これには騎士団団長や時間のある貴族が顔を出すことの多いイベントでね。ココで目をかけてもらえたら、将来を約束されたも同然だから騎士を目指している者たちにとっては大切な行事なんだ。」

「なるほど。」


いつもの学園での休み時間。

今日も殿下とお嬢様の逢瀬を守りつつ、二人の護衛をする。

ちなみにソフィアは調べることがあると言って別行動中だ。


「騎士団団長に目をかけてもらえば入隊を約束されたも同然だし、優良貴族に目をかけてもらえても将来安泰。どちらに転んでも騎士を目指す殿方にとっては、良い話なのよ。」

「なるほど。殿下は出られるのですか?」


確か剣術大会が行われる日までに、殿下のヒロインに対する好感度が他の攻略対象に比べて高かったら殿下のスチルが手に入るイベントだった気がする。

ちなみに、剣術大会でスチルが出るのは殿下とレオナルド様だけ。

シノア様とヒロインの幼馴染は、剣術大会には出ないのでスチルはない。


「…………。」


ヒロインの、幼馴染…………?


「ユリア?」

「!」

「どうしたの?」

「いえ、なんでもありません。それで、殿下は出場なさるのですか?」

「出たいのは山々なんだけどね……、その日は公務が入ってるんだ。」


学園の催し物で、一部キャラのイベントスチル。

剣術大会。

学園の中で行われる公式行事で、学園所属の者なら年齢性別身分問わず参加できる。


「マリアもその日は私と公務だから、ユリア嬢がつきっきりにならなくても大丈夫だろう。」

「まぁ、私もご一緒して良いのですか?」

「もちろだ。君は私の婚約者だからね。」


ただの学校行事スチルイベントじゃなかったんだなぁ、この行事。

正直、来年のヒロイン入学までイベント行事は下見感覚だったから、二人が出ないならそこまで興味もわかない。

だけど、イベントスチル関係なしに剣術大会は見てみたい気もする。

というか、ソフィアが見たがると思う。


「そういうわけだから、ユリア嬢は一日ゆっくりしてもらっても良い。」

「わかりました。」

「あぁ、レオナルドは出ると言っていたから応援してあげてくれても良いぞ?」

「え?公務について居なくて良いのですか?」


レオナルド様って殿下の護衛だよね、確か。


「先程言ったように、コレは騎士になる人間の大切な催し物と思ってくれ。それに、レオナルドが傍に居ない代わりにシノアが傍に居る。身の回りの心配はいらない。マリアのことは私が守る。」

「クロード様……。」


思い切り頭脳派のシノア様だけなのは少し不安だったけど、お嬢様が傍に居るなら公爵家の護衛も王家の影も傍に居るだろうから大丈夫だろう。


「可能な範囲でステラさんを連れて歩くようにしてくださいね、お嬢様。」

「もちろんよ。」


そう言いながらカップを口元に持っていき。


「貴方は出ないの?」

「出ませんよ。男女の力の差なんて歴然ですし。たかが学校行事でしょう?」


それに、騎士になりたいわけじゃない。

部外者の参加が認められるならアルベルトに声をかけるところだけど。


「そうなの。てっきり豪華商品に釣られて参加を決めてるのかと思ったわ。」


ピクリと手元が止まる。


「豪華商品、ですか。」

「えぇ、そうよ。」

「ちなみにどのような?」

「えっと確か、今年は…………。宝石、だったかしら。」

「宝石?」


なんだ、宝石か。

ピンキリの価値だし、特別欲しいってならないわね。


「およそ百二十カラットの大きな宝石で、研磨も終わってる悪趣味な宝石だって聞いたわ。」


前言撤回、多少興味は湧いた。


「それだけ大きかったらそれなりの値段がする品物ですよね?」

「そうね。少なくとも金貨三百枚の価値はあるんじゃないかしら。百二十カラットなんて、私達公爵家でも手に入れられるかどうかの代物だし。」

「ソレ、どうやったら参加できますか?」

「当日に参加者ブースに行って署名をすれば出られるわよ……て、出るの?」

「出たいです。お嬢様のお傍を離れることになるのは大変心苦しいし契約違反かもしれませんが、出て良いですか?」


まぁ、殿下が離れてても良いとは言ってたけど。

一応雇用主はお嬢様だから、お嬢様の許可は得ておかないとね。


「貴方、宝石に興味あったの?」

「いや、宝石自体に興味はありませんがその宝石の価値には大変興味があります。」


金貨三百枚の価値がある宝石。

どんな宝石かも知らないし、買い取ってくれる行商がいるかもわからないけど…………。

手元に資金源がゼロなのは避けたい。

それに、領地では無理でもココ王都ならなんとかなるかもしれない。


「はぁ……仕方がないわね。良いわよ。」

「本当ですか!?」

「その代わり、ちゃんと優勝して来なさいよ。」

「もちろんです!ありがとうございます、マリアお嬢様!」


金貨三百枚の価値がある宝石、狙いに行くわよ!!


「レオナルドも倒して優勝を狙うのか?こんなこと言いたくないけど、無謀だし危険だ。出ない方が良いのではないか?」

「大丈夫ですよ。使うのは真剣ではないのでしょう?」

「まぁ、木製の剣だが…………。」

「なら大丈夫ですよ。なんとかなります。」


それにどちらかと言えば、女相手だと油断して挑んでくる男性陣が重症にならないかが心配だ。


「ふふふ、さすがユリアね。頼もしいわ。」

「心配じゃないのかい、マリア。」

「心配よ?でも、ユリアが大丈夫だと言うんだもの、大丈夫よ。ユリアはクロード様や陛下が私の為につけてくれた優秀な護衛ですもの。」

「…………あぁ、そうだな。でも、レオナルドが負けるのは少し複雑だな。」


殿下が苦笑し、お嬢様が楽しそうに笑う。

二人の穏やかな会話を眺めつつ、頭をフル回転する。


来年入学するヒロイン。

今現在私が出会ってる攻略対象は三人。

クロード・カルメ、王太子でマリア・セザンヌの婚約者。

レオナルド・ドナウ、王太子の護衛騎士。

シノア・ワイナール、王太子の側近候補。

あと出会ってない攻略キャラは二人。


「あ、いたいた!ユリア様〜!マリア様〜!クロード殿下〜!」

「ソフィアさん。」


駆け寄ってくるソフィアに視線を送れば、ニコリと微笑んで。


「新しい先生が来るって噂を聞いたんですけど、何か知ってますか!?すっごくカッコいい人らしいですよ!」

「まぁ、そうなの?」

「こんな時期に……?少し不自然なタイミングね……。」

「最近体調が芳しくない教師が居ると聞いている。もしかしたら、その代理の先生が来るのかもしれない。どの教科の担当教師かわかるかい?」

「えっと……確か、古代文明と医療の先生だとか。」


それに思わず目を見開く。


「名前は……マーシャル・タールグナー様って言ってた気がします。」


それは、気の所為じゃなければヒロインのクラスの担任をつとめ、攻略対象として存在する先生の名前だ。

攻略対象という位置づけなのに一番ムズイ。

先生と生徒という禁断の恋を実らせる為にやたらと難易度の高いキョラだからだ。

同じ生徒同士よりも恋に落ちづらい。

でもイケボでイケメンで大人の包容力が半端ないから超人気キャラではあった。

そうか、学園の中で見かけないから来年ヒロインが入学してくるタイミングで赴任してくるのかと思って油断してた。

お嬢様と殿下の中を横恋慕するようなキャラじゃないとは思うけど一応警戒しておこう。

マリアお嬢様がクロード殿下以外を選ぶことはないだろうけど、ね?

読んでいただき、ありがとうございます

感(ー人ー)謝

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