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モブはモブ同士で

お父様に雇うかどうかというのは完全に任せたので、私はお嬢様と優雅に過ごす。

まぁ、優雅とは言ってもいつも通り、暗殺者を懲らしめているのだけど。


「ガーディナ様、もっとちゃんと警備してください!!何回お嬢様を危険に晒せば気が済むのですか!!」

「そうは言われても、我々にも限界というものがございまして…………。」

「お嬢様のためにそんなもの越えるべきです!!殿下に言いつけますよ!?ガーディナ様は役に立たないので返品しますってユリアさんに伝えてもらいますよ!?」

「いや、あのソレは…………。」

「お嬢様の部屋に潜んでましたって言いますからね!!」

「わぁ!?それだけはダメです!!冗談抜きで殺されます!!ステラさん鬼ですか!?」

「お嬢様のためならば鬼にくらいなります!!」


今日も元気な声が庭に響く。


「平和ね、ユリア。」

「そうですね、お嬢様。」

「思うのだけれど、最近ステラとガーディナ様、良い雰囲気じゃない?」

「そうですね。歳も近いようですし、良い組み合わせかもしれませんね。」


学校も終わり、公爵家にまっすぐと帰ってきた私達。

優雅に庭でお茶をしていたお嬢様に暗殺者が仕向けられたのはほんの数分前。

そしてそれに激怒しているステラさんと怒られているガーディナ様。


「そういえば、学園での生活は慣れましたか?」

「えぇ。」

「お友達はできましたか?」

「えぇ、もちろんよ。」

「良かったですね。ソフィアさんは良い人ですし、面白い方ですからね。良い刺激になってるんじゃないですか?」

「彼女は…………とても不思議よね。」


お嬢様の視線がカップの水面に落ちる。


「あの子ったら、いつもニコニコしてて楽しそうなのよ。かと思えば、貴族の令嬢らしく振る舞うし…………、しかも彼女とても所作がキレイなの。この間なんて、先生がとても褒めていたわ。」

「そうなんですね。」


思わずソレに鼻が高くなる。

領地の皆に教えて居るのは私達なので、そうやって評価されると嬉しい。

まぁ、私達くらいの年代はお母様が担当してたから余計かもしれないけれど。

それでも誇らしいことに変わりはない。

王都で通じると証明できたのだから。


「第一貴方は……て、あら?」

「どうしましたか?」


声の方へと視線を向ければ、門のところに居た誰かが何かを渡して引き返して行く。

いや、誰かじゃない。

アレは…………。


「ユリアさん、貴方宛のお手紙だそうです。」

「私に?」


手渡される手紙を見れば、封蝋はコースター家のもので。

今日はお父様が新しい二人の使用人と顔を合わせて、色々と指示を出して居るハズだ。


「…………。」


手紙には、無事に二人とも採用したことと、近い内に邸に顔を出すようにとの内容。

二人が私に会いたいと言っているそうだ。

それから領地に帰るから会いに来るようにとも書かれている。


まぁ、会えないことはないけど放課後ってタイミングが命なんだよなぁ。

王命があるから、私はお嬢様の傍をそう簡単に離れることできないし。

お嬢様、殿下と約束してたりしないかしら。


「どうしたの、ユリア。何かあった?」

「それが……近々領地に戻るから顔を見せに来るようにと…………。」


新しい使用人がどうのって話はするわけにはいかないから、省略する。

別に嘘をついてるわけじゃないから、大丈夫だろう。


「あら、ならちょうど良いわ。今度の休みの日、クロード様にお茶に誘われていて、お城に行くのよ。レオナルド様が迎えに来てくれるそうだから、ユリアは用事を済ましなさい。」

「え、良いんですか?」

「えぇ。ステラも居るし、困らないわ。」

「わかりました。では、お言葉に甘えます。」


お嬢様もステラさんも、出会った頃に比べれば動けるようになってるし大丈夫かな。


「では、レオナルド様が迎えに来るまで見送りさせていただきますね。」

「えぇ、わかったわ。」

「ステラさん、お願いします。お城で何かを仕掛けて来るとは思えませんが……一応、念のため。あ、灰皿持って行きます?」

「遠慮します。あの灰皿重たいですし、目立ちます。隠せません。」

「なんか、ステラさんなら隠せそうですけど……。」

「ユリアさん?」

「確かに。ステラって、何でも出てくるし持ってるイメージがあるものね。」

「お嬢様、さすがの私も灰皿は持ち歩きません。」

「あら、そうなの。」


お嬢様とステラさんのやり取りは気心がしれているのか、他の使用人よりは距離が近く思う。

これも、前にステラさんが言っていた、拾われたというのが関係してるんだろうか。


「それにしても、親子仲が良いわね。」

「まぁ、悪くはないと思います。」


どのくらいの距離感が普通なのかはわからないけど。

お嬢様が仲良しというくらいなのだから、貴族にしては珍しいのかもしれない。


「お嬢様とステラさんも仲良いですよね。」

「そうね。私にとっては姉のような人だから。」

「お嬢様…………っ。」

「あれ、ステラさん泣いてます?」

「ガーディナ様、ちょっと黙ってそこに座りなさい。」

「どうしてですか!?」


ステラさんとガーディナ様の仲の良いじゃれ合いにお嬢さまと顔を見合わせて。


「…………ステラが取られる日も近いかしら。」

「どうでしょう?ステラさんはお嬢様が大好きなのでずっと傍に居てくれそうですが。」


ステラさんの中ではガーディナ様よりもお嬢様っていう図式が出来上がっていそうだし。

そこに好意があっても、お嬢様を優先しそうだ。


ま、正直言うとお嬢様に惚れる可能性のある男は皆モブキャラ同士でひっついて欲しい。

それで、殿下に好意を持ってるモブキャラ女子及びこれから現れるヒロインも別の人間に惚れて欲しいと切に願う。

読んでいただき、ありがとうございます

感(ー人ー)謝

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