表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/231

手紙とポーカーフェイス

短めです

公爵家での生活は変わらない。

ステラさんがお嬢様の身の回りの世話をし、私はただ部屋の隅に立っているか、片付けをしているかだ。


今はちゃんと、片付けの仕事をしている。

あとで料理長にまかないをもらいに行こう。


「ユリア。」

「はい。」

「今日、辺境伯から手紙が届いていたわよ。」

「ありがとうございます。」

「私やお父様宛のものと一緒に入ってたから私が預かっていたの。コレよ。」

「ありがとうございます。」

「早めに目を通すようにと言っていたから、今読んで構わないわ。貴方の領地に何かあったのかもしれないし。」

「そうですか?では、遠慮なく。」


ソフィアが領地の方は問題がないと言っていたし、お父様も王都に来ているみたいだから心配ないだろうけど。

内容は気になっていたので、ありがたく封を開く。


公爵家に出す手紙だからか、紙が上質だ。

それに少しだけ領地でとれたライムの香りがする。


「…………。」


手紙を持つ手に力がこもり、クシャリと紙の端が折れる。


「ユリア?どうしたの?」

「…………なんでもありません。いつも通りの日常が書かれているだけでした。」

「それなら良いのだけど……。何かあったなら言うのよ?お父様や殿下にお願いして、領地に戻れるようにしてもらうから。」

「ありがとうございます。でも、本当に大丈夫ですよ。ただ、予想外の内容でちょっと感情的になっただけですから。」


そう、全然予想していなかったの。


手紙の内容が、



────殿下に伝えてあるから従うように────



たった一言、たった一文。


何を伝えてあるのかも書かれていないその手紙。

いや、もはやコレは手紙と呼んで良いのかすら怪しい。


「さて、お嬢様。少し休まれたようですしお風呂に入る前に軽く特訓しましょうか。」

「え。」

「ちょっとユリアさん!夕食後は特訓しない約束ですよ!」

「大丈夫です。避ける特訓ではなく、ポーカーフェイスの特訓なので。」

「あぁ、なるほど。それくらいなら……。」

「私は王妃教育を受けてるのよ?他の令嬢に比べれば、優秀だと思うのだけれど。」

「殿下が関わると感情的になるように見えるのは気の所為ですか?」

「…………否定はしないわ。」

「お嬢様…………。」

「では、お嬢様。表情筋の準備は良いですか?三回勝負です。お嬢様が笑わなければ勝ちです。ステラさん、カウントお願いします。」

「いえ、今回は私がお嬢様の対戦相手をつとめます。」


その申し出に目を瞬く。


「良いのですか?」


淑女としてあるまじき行動ですとか言ってたのに。


「私は拾われて貴族になった身。ユリアさんほど表情筋は柔らかくないですが、そういう遊びなら負けません。」

「………わかりました。では、私がカウントを。ステラさん、手加減しちゃダメですよ。」

「望むところです。いきますよ、お嬢様。」

「えぇ、負けないわよ。」


こうして、ポーカーフェイスを鍛える特訓……、にらめっこが幕を開けた。

読んでいただき、ありがとうございます

感(ー人ー)謝

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ