頼もしい味方だけど
短めです
空いた食器がさげられ、デザートも食べ終わったあと。
店員もココには立ち入らないように伝え、二人向かい合う。
「そう言えば、ソフィア今どこ住んでるの?というか、どうして貴族になってるの?」
「うふふ、平民でも貴族になれるんだよって領主様が教えてくれてね。アルベルトと話し合って、私が来たの。」
「アルベルトと?」
「そ。出ていく前にアルベルトと話したんじゃないの?王都出立前にアルベルトが二人で話す機会があったって言ってたけど。」
「話したけど、やることがあるから騎士団の入団試験は受けないって話よ。食堂の手伝いとかソフィアの手伝いとかがあるって言ってて…………。」
「…………。」
「ソフィアの手伝いって……貴族になったことと関係ある?」
「さぁ、どうだろう?」
「ソフィア。」
「まぁ、まぁ。ソレは良いじゃん。とりあえず、ちゃんと貴族籍を手に入れて学園に入学してるからさ。領主様がアンタの出稼ぎの手伝いに一人だけ入学を認めろって話を王様にしてたらしいよ。」
思い出されるのは、謁見の間で見たお父様の当主の顔。
あの時、私は先に公爵家へ行く準備があるからとか言われて先に退室したから、何を話したのか全然知らなかったけど。
そっか、そんな交渉をしてたのか。
「で、今私が住んでるのはユリアたちが持ってる王都の別荘よ。」
「…………私も立ち寄ったことがない別邸にソフィアが…………?」
なんだろう、なんかショック。
「昨日、領主様と一緒に王都入りしたの。」
「お父様もこっちに来てるの!?」
「うん。領地の方が今落ち着いててね。帝国も、あれ以来音沙汰なし。まぁ、お互いに被害は大きかったから、また機を見て来るのかもしれないけど。」
「…………。」
「そんな顔しないで大丈夫よ。何かあったとしても、ロイド坊っちゃんもアルベルトも居るんだから。あ、そうそう。今日、ユリアのお嬢様の家に領主様が手紙を出すって言ってたから。」
「お父様が?」
「うん。なんか、王都の別邸の話をしなきゃって。ちなみに、私は王都の別邸に派遣されてきたユリア専属の侍女って設定になってるから、覚えておいてね。」
「は?」
「領地での英才教育のお陰でね。ユリアにご執心の侍女だって思われてんの、私。」
「昨日の今日で一体何したの……?」
領地の皆が私達のことを慕ってくれてるのは知ってるけど、ご執心は言い過ぎだと思う。
というか、お父様やお母様相手ならともかく私にっていうのが間違いだと思う。
名前も出ないモブなので。
「早くお嬢様に会いたいって皆言ってたよ、こっちの人たち。いやぁ、私使用人とかめちゃくちゃ久しぶりに見たけど良いね。というか、アンタのとこのお仕着せ可愛い。」
「そう?どこもあまり変わらないと思うけど。」
「いや、絶対に可愛い。」
真剣な顔をして訴えてくるから、それに苦笑する。
確かにお仕着せ一つでテンションに差が出るのはわかるし、可愛いに越したことはないと思うけど。
「そんな嘘言わなくても、お父様の一声でどうにでもなるんじゃないの?」
「なんか、それだと困るって領主様が言ってたよ。領主様の命令ってなると、私に対する扱いが丁寧になって本来の姿がわからないからって。」
「…………なるほど。王都に居る使用人たちは領地に居た人たちとは別物ってことね。」
「たぶんね。その辺りの詳しい説明も領主様からされると思うから。」
「わかった。」
お父様には色々と説明して貰わねば。
帰ったら手紙が届いてるか確認しよう。
「それじゃあ、帰るとしますか。」
「だね。よろしくね、お嬢様。」
「間違えて学園で呼ばないでよ、ソフィア。」
「はーい。」
わかってるんだかわかってないんだかの返事をするソフィアに苦笑しつつ席を立った。
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