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庭園茶会終了

庭園茶会は無事に終了。


「はぁー、つっっっかれた!茶番すぎるわ。」


王城の与えられた部屋で堅苦しいドレスから動きやすい服へと着替える。


「ある程度、ユリアたちがどう答えるかも考慮したうえでの質問でしょ?」

「完全にね。じゃなきゃ城内からあんなに視線を感じることも無いでしょ。アレ、陛下たちと茶会に招待された令嬢たちの保護者でしょ。」

「おー、さっすが姫さん。御名答。」

「おかえり、アルベルト。お父様の代わりに来ていたロイドは?」

「ロイド坊っちゃんなら、王都の邸に送り届けてきた。」


ソファに三人揃って座り込み、息を吐き出す。


「終わったなぁ。」

「終わったわね。」

「うん……。よし、城下に美味しいもの食べに行くか!」

「「賛成!」」


そうと決まれば、早速……って。


「この気配は、ギル様ね?一体何の御用なのかしら。」

「居留守使う?」

「そうしたいのは山々だけど、無理でしょうね。」


アルベルトに頼んで開けてもらえば。


「こんにちは、ユリア様。公式に的に婚約者として認められましたね。おめでとうございます。」

「ありがとう、ギル様。どうにも仕組まれている感じが否めないけれど、受け取っておくわ。」

「主がお呼びです。お越しいただけますか?」


ニコリと微笑むギル様。

今現在、皇太子はすでに陛下に挨拶を済ませて帝国へ帰る段取りをしていたハズ。


「まさか、邸の方ですか?」

「えぇ。婚約者様と二人で話したいことがあると。」


あぁ、そうか。


「わかった。アルベルトとソフィアはこの部屋をいつでも出られるように片付けておいてくれる?」

「わかった。」

「お願いね。私は両陛下に辞去の挨拶して来るから。ギル様、その後でよろしいですよね?」

「はい、もちろん。いつお越しになっていただいても構いませんので、皆さんとお過ごしください。」

「寛大な処置ね。」

「日程を詰めましたので。」


日程を、詰めた……?


「ギル様、詳細は。」

「申し訳ありません。ソレは、主にお聞きになってください。」

「わかったわ、ありがとう。」


ギル様が一礼して立ち去って行くのを見送り、謁見の間へと向かう。


アポ無し訪問だけど、今更か。


「おや、ユリア様。いかがなされましたか。」

「マルクル様。今日ココを立とうと思いまして。両陛下にご挨拶をと。」

「きょ、今日ですか?せめてもう一日……いや、一週間……。」

「マルクル様。」

「……はぁあ。いえ、まぁ……こうなることは、わかっていました。このお茶会が最後だろうと、予想しておりましたから。」


少し悲しげに微笑むと、先導して歩き出す。


「オズワルド様がお見えにならずにロイド様がお顔を出したのが何よりの証拠。すでに、婚約者として成立しているユリア様には茶番に映ったことでしょう。ロイド様も淡々とされておりましたから。」

「……私は、別に王都が嫌いなわけではありませんよ。」

「それはようございました。さぁ、こちらで両陛下がお待ちです。」


マルクル様が開いてくれる扉の向こう側には、両陛下と殿下が居て。


「急な来訪にも関わらず、ありがとうございます。」

「堅苦しい挨拶は良い。座りなさい。」

「はい。」


促されるまま長椅子に座れば、侍女が紅茶を注いでくれる。


お礼を言いつつ手に取れば。


「何の警戒心もなく手をつけるのは変わらぬな、ユリアよ。」

「今の私を亡き者にするメリットが王家にありませんから。」

「そこの侍女が何かを企む可能性もあるぞ?」

()は王室の影でしょう。」


そう口にすればピタリと動きが止まる。


「殿下がマリア様につけていた方なのは気配でわかります。それとも、王妃様の前で言わないほうが良かったですか?」

「……いや、良い。だがなぜ、男だと?」

「私、弟が多いので。それくらいはわかりますよ。」


視線を彼に向け、ニコリと微笑む。


「最終的にどちらにつくのか決めていただけて良かったわ。懸命な判断をしたわね。」


カップを置いて、両陛下に視線を戻す。


「お時間をあまり取らせるのも申し訳ないので、本題に入りますね。私、本日を持って実家に帰らせていただきます。」

「む……むぅ……。」

「あらあら。」

「ユリア嬢、エルディラン殿と話はされたのか?」

「この後、詳細を詰めるために話す予定ですよ。なので、ご安心を。この婚約がどんな結末を迎えようとも王国から帝国に婚約者として令嬢を送り出したという事実は消えませんから。」

「…………っ。」

「王命でくだされた政略結婚に、ソレ以上の意味をもたせるつもりはありませんでしょう?」


おかわりの注がれたソレを一口。


あぁ、王妃様の改良した茶葉はやっぱり美味しい。


「のう、ユリア。そなたを不敬罪で咎めることもできるのだぞ。わかっているのか?」

「えぇ、わかっておりますよ。ですが、今現在、皇太子の婚約者である私がこの城内で不審死を遂げれば、誰を敵に回すのか、考えて発言なさったほうがよろしいですよ、国王陛下。」

「…………。今ココで斬り捨てられる覚悟はあるか、ユリアよ。」

「えぇ。」


カップをゆっくりと置いて、ニコリと微笑む。


数多(あまた)の命を奪ってきたのです。己の命を奪われる覚悟もなく戦場にたてましょうか。でも……そうですね、大人しく斬り捨てられるつもりは毛頭ありませんので、相応の犠牲も覚悟していただいているのであれば、私は構いませんよ。」


ね?


王室の影である彼に微笑めば、たじろいで。

私から離れようと一歩後退する。


「王家を潰す気か。」

「良いですね、ソレ。どこぞの腹黒宰相にしてやられるところだった王家の代わりなんていくらでもいるでしょう。そうですね、今現在の立場をそのまま反映するのであればラチェット様なんてどうですか?麗しい想い人も居ることですし、将来安泰です。」


ヒロインは性格に難ありだが、スペック高めなのは間違いない。


まぁ、ラチェット様が素直に玉座に座るわけないんだけど。


「先程の茶会で女王陛下に試されているのを陛下たちは観察されておりましたね。アレじゃあ不満でしたか?」

「む……。」

「父上、もうよろしいのではないですか?ユリア嬢相手に……いえ、コースター辺境伯相手に無意味ですよ。」

「……………………うむ。すまない、ユリア。オズワルドには内緒にしてくれ。」

「お父様ならすでにご存知のハズですよ。」

「え。」

「だって、あんなお茶会が開かれた後ですよ?こうなることは、予測できました。」

「…………ワシはオズワルドに殺されるんじゃ……。」

「あらヤダ。本当オズワルドのことになるとダメダメなんだから。ね、ユリアさん。貴方はココで様々なことを学んだわ。そこで聞きたいのだけれど……クロードは、良い国王になると思う?」

「はい。」

「────」

「殿下が殿下である限り、マリア様がマリア様である限り。この国は、良い方向に変わると思いますよ。」

「……そう。それが聞けただけでも安心ね。」

「…………ユリア。」

「はい、陛下。」

「辞去を許可する。」

「ありがとうございます。それでは、御前失礼します。」


さて、待ちくたびれているだろう皇太子の元へ行くとしますか。

読んでいただき、ありがとうございます

感(ー人ー)謝

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