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歴史という名のファンタジー  作者: みなと劉
95/255

95話

しかし、ここで注意しなければならないのは、日本語では そのように単純に『ひき肉』のことを『挽き肉』と呼んだりすることはないという点である。また、そのように呼ばれている場合でも、実際には、その中には色々なものが含まれていることが多いのだ。

まず一番分かりやすい例は、餃子である。これは本来的には小麦粉で作った皮で餡を包み、焼き上げる料理である。

そしてこの餃子の場合も、当然ながら、中に色々な具材が包まれている。

例えば白菜であるとか玉葱であるとかニンニクであるなどである。

他にも、キャベツの芯の部分を使ったり、ニンジンのグラッセを入れたりすることもある。これらは全て『挽き肉』の中に含まれているものであり、それらの中から『肉だけ』を取り出したものが すなわち『挽き肉』という言い方をしていることになる。そして、そういう場合には当然、『豚挽き肉』もあれば『鶏挽き肉』もあるし、場合によっては『合挽き肉』なども有り得るということだ。

もちろん 中には豚肉だけを主体にしたものもあり、そのような場合は『豚ひき肉』と呼ぶこともあるが、ここでは便宜上、あえて一般的な呼び方を使っておくことにする。

なお『ハンバーグ』の中には、パン粉をまぶして焼いたものも含まれていて、これが日本におけるいわゆる『洋食屋のハンバーグ』であり、一般的に『西洋風の料理』といえば、この『ハンバーグ』のことを言う場合が多い。

さて、話を戻して

『ハンバーグ』の本来の姿を考えるなら、それは、挽き肉と卵と牛乳を練り合わせながらこね合わせて作るものであって、『肉汁(boule)』やあるいは『フォンドボー(fondobe)』のような煮込み系のソースをかけたりしながら食べる料理、ということになるだろう。

『ハンバーグ』発祥の地というとアメリカでは よく挙げられる話なのだそうだが、このアメリカでも このハンバーグを最初から きちんとした料理として完成させて作った人物は居なかったと言われているのだそうだ。

しかし、そうした中で やがて一人の人物が『ハンバーグ』を発明するに至る。

それが『ウイリアムズバーグ(Williamsburg)のハンバーグ』である。

ウィリアムは 南北戦争が終わってから しばらく経った後、フィラデルフィア郊外の町に住むようになり、そしてそこで自分の家族のために お手軽な料理として ある料理を作り始めた。そして出来上がった料理が大好評となるのだが、その調理法を教えて欲しいとのリクエストに答えたところ、それが瞬く間に全米へと広まっていったのだという。そして その結果が今に伝わるものとして有名なものに あのハンバーガーがあり、そして今では、誰もが知る人気料理となったチーズケーキの『アップルパイ』があるのだそうだ。

この『ウィリアム・ウィリアムズ』という名前の人物については 特に詳しく調べたわけではないのだが、その名前はどこか日本人の名前にも似通っている部分があると思うのは私だけではあるまい。そして おそらくは『ウィリアムズバーグ』というのは、この人物の姓から来ているものであろうと考えられるのだ。

『ハンバーグ』が最初に考案されたとされる国は『フランス』であった。

その起源は古く、一説には紀元前三世紀頃にまで遡り、すでに古代ローマ人の間で食べられていた料理であるとも言われている。

その頃のフランスでは、まだ このような挽き肉の塊を作るための道具というものが存在していなかったらしく、その代わりに 石板のようなものの上で肉を叩きつけてミンチにし、それからパンの中に詰めた料理を作っていたそうである。この『パンに肉を挟んだ料理』というのは 実は 現在でもフランスやスイスなどで普通に食べられているもので、フランスのサンドイッチである『パニーニ』というのは まさにこれの変形料理なのだそうだ。つまり この料理の原型というのは、むしろ『肉料理』というよりは『パンのほう』に より近いものであったということらしい。そして このフランス起源のものを参考にしつつ、さらに洗練されていったものが、今日の『ミートローフ(meat-roll)』と呼ばれる料理だとされているのである。

この『ミートローフ』は 肉に衣をつけて油で揚げるのではなく、挽き肉と野菜などをパン粉と一緒に混ぜ合わせ、それに味付けをして焼いたものである。だから当然、『肉をフライパンで焼く』という作業が必要になり、これが『ハンバーグ』の元になったのではないか、という説がある。

しかし 一方では、肉の種類によって かなり焼き方も違うようで、また『ミートローフ』の場合も地域によっては、生地にはバターを使わず、サラダオイルを使うことが多いようだ。そして、そうすると また別の風味が出るようなのである。

ところで この『ミートローフ』のほうも『ハンバーグ』のほうと同じく、現在では すっかりフランス料理の代表となっているものであるが、それというのも、これはもともと フランスにおいて生まれたものではないからだと言われる。

では 一体 どういうものかというと、実は元々の発祥地は なんとドイツだそうなのである。そしてドイツでは『ミートローフ』と呼ばれていたものを、当時のフランスで、既に宮廷で出されていた『ハンバーグ』という言葉で呼んだことから そのまま定着していったものだということである。しかし『ハンバーグ』のほうは あくまでフランス発祥であるにも関わらず、今では ほとんどフランス料理の代表的メニューとなってしまっているのである。

ちなみに、これは あまり知られていないことだと思うが、ドイツには、かつて『肉の煮込み料理』という意味の『グーラッシュ(Gusshula)』と呼ばれるものがあった。

これは挽き肉と玉葱をスープとワインだけでじっくりと煮込んだ料理であり、肉類としては 羊肉を使っているのが特徴であったが、それと『ミートローフ』との違いというのを簡単に言えば、この料理の場合は、肉以外の材料(玉葱のスライスなど)を入れる場合もあるというところだった。もっとも この点を除けば、作り方自体は同じようなものなのであるが……。

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