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歴史という名のファンタジー  作者: みなと劉
94/255

94話

だから この場合も、本来は単に『フォン』で良いはずなのだが、それが いつしか ややこしいことになってしまったのだろう。

いずれにしても、これらのことから、日本における『ハッシュドビーフ』は西洋の『ビーフストロガノフ』のようなものであると言えなくもないようである。

さて、このように『ハッシュドビーフ』にも『ハヤシライス』同様に色々なヴァリエーションがあり、その一つ一つの料理の作り方についても、それぞれに特徴があるようだ。

ここでは代表的な料理として、最もよく知られているものにだけ触れることにする。

まず初めに紹介するのは、ご飯にかけて食べる『かけ飯ハッシュドビーフ』である。

『かけめしはっしゅどびーふ』と読む。この料理の特徴は、その名称に示されているように、ハッシュドビーフをご飯にかけるというものである。

しかし ここで誤解してはならないのは、その言葉は「ごはんにかける」という意味で使われているということである。つまり

『ハッシュドビーフ』とは『肉とじゃがいもの入ったトマトのシチューで、パンに載せたり、あるいはライスにかけたりする料理』であるというのが本来の意味であって、決して それだけを食べてしまうようなものではないということだ。

この『かけ飯ハッシュドビーフ』が日本で広まったのは つい最近のことで、それまでは全く知られていなかったらしい。そのきっかけはテレビであるらしく、その料理が紹介され、これが一気に日本中に広まることになったのだという。

この『ハッシュドビーフ』を、ご飯に かけて食べる食べ方を提案したのは、テレビ番組のプロデューサーをしていた男性であると言われている。彼はある日、この番組の中で、ハッシュドビーフの残ったソースを使って作ったという お手軽な料理として、『かけ飯ハッシュドビーフ』を紹介してしまったのだそうだ。それを目にした他のテレビ局のスタッフなども真似をして作るようになり、そのレシピはすぐに広がっていって大流行したのだと、そのテレビ番組に出演していた料理研究家の女性が話していたのを私は聞いたことがあった。

この『かけ飯ハッシュドビーフ』は瞬く間に全国に広がり、今ではすっかりメジャーな料理として定着することになったのである。

この『かけ飯ハッシュドビーフ』は『ハッシュドビーフ』と同じような味わいでありながらも、ハッシュドビーフよりも簡単に調理できる上に とても美味しく食べられるということで人気があるのだそうである。

そして『かけめしかはっしゅどっびーふ』という名称は、これを考案したプロデューサーの名前にちなんで付けられたものであると言われている。

(参考資料:ウィキペディア日本語版『はり重』)

そして もう一つの代表的な料理と言えば、これは ほとんどの方がご存じであろうと思われる、あの有名な食べ物、カレーである。

これは もちろんインドから伝わってきた料理で、この料理については今更語るまでもないかもしれないが、それでは、その『ハッシュドビーフ』が何故、日本に伝わったのかについて説明しておかなければならないだろう。

それは、日本の料理人によって 初めて伝えられたものであると一般的には言われているのだが、実を言うとそうではないのだそうだ。

このカレーの発祥の地とされている国の一つがインドのベンガル地方であるということは広く知られている。そして実は、そのベンガル地方の料理の中に『カレイの煮込み料理』と呼ばれるものが存在しているのだそうだ。

この『カレイの煮込み料理』には、その名の通り 魚を使うのだが、これを いわゆる洋風の味付けにしたものが『ハッシュドビーフ(Hasched'abbey』と呼ばれているのだそうだ。そして日本でも昔から こうしたものが『はんばぐ』と呼ばれていたことはよく知られているが、これもこの『ハッシュドビーフ』と同じ料理を指すものなのだということであった。つまり『ハンバーグ』というのは本来は、この言葉の意味だったということになるのである。だから『ハッシュドビーフ』を単に日本語で言えば そのまま

『ハンバーグ』という意味になってしまうわけだ。

さて、このように、同じ言葉でも、その使われ方に地域や時代などによって違いがあるというのは よくあることだが、それはこの料理にも同じことが言える。

『ハンバーグ』の歴史

『ハンバーグ』とは元々は どういったものを指す言葉だったのかと言うことを少し考えてみよう。

まず最初に考えられるのは、これはやはり そのまま『ひき肉』のことであったのではないか、というものだと思う。

つまり『挽きつぶす(handle)』という語から派生したもので、肉を細かく引き裂くという意味で使われたのではないかということである。

この『ひき肉』という言葉そのものは日本語には無いものだ。そして英語においても『ハンドロー(hamdro)』や『ミートローフ(meetroadough)』などの語があるが、いずれも それぞれ『肉の塊』や『肉料理』を意味する言葉として使われている。つまり、英語で『挽き潰す』を意味するのは、そのまま『ハンダク』(handcook)という動詞になっているのである。だから、英語では『挽き肉』のことを単に『ハンダクス』と呼ぶことも多いようだ。

一方、フランス語においては、この『ハンダクス』に相当する語は あまり知られていないようである。

フランス語でも、単に肉のことを『ジヴ・ドフィス』と言い、『挽き肉』のことも同じように『ジヴ・オック』と言っているだけである。しかし よく考えると この二つは似ているようで微妙に異なっていることが分かる。というのも、英語のほうは、例えば『牛肉の細切れ』『鶏の骨』などのことを指す場合もあるのに対し、フランスの場合は、それらの『肉片』そのもののことを指しているからである。『肉』をただ『肉』と言った場合、『牛の肉』なのか『鶏肉の肉』のことか、どちらになるかというので区別していると言っても良いだろう。

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