表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
歴史という名のファンタジー  作者: みなと劉
80/255

80話

例えば……誰かを愛したいという欲求は、その人自身の欲望であり、愛されることは相手の利益になることであり、そこに善意はあるのだ。しかし 愛してはいけない人を愛してしまえば、それは自分の身を滅ぼすことに繋がってしまうし、相手を傷付けることにもなりかねない。その人の人生を滅茶苦茶にしてしまうような事態に陥ることもあるだろう。

『愛の誘惑』というものがあるが、あれは 一種の悪魔のようなものであり、あの誘いに乗ったら 取り返しのつかないことになってしまうのだということだけは……理解してもらいたいと思っている。愛は人を盲目にするという言葉もあるくらいだし、もし愛する人が悪に染まっていそうな場合は……まず間違いなく疑うべきなのだ。

愛というのは『善行』だと言われているが、それと同時に『邪な感情』であるという面も持っているのだ。

そして その愛の対象となっている人物のことを、第三者が客観的に観察することで、その人の行動や心理状態などが読み取れたりする場合があるということを知っておいてもらいたいとは思う。……というわけで、愛についての考察はこの辺りにして、今度は……神からの贈り物とでも言うべきもの……『罪』について考えてみよう。まず最初に……聖書に出てくる有名な言葉をいくつか引用して、そこから感じたことなどを語っていくことにする。

神が与えたもうたものは、愛と善と悪。愛と善は隣人に与えよ。悪と悪行は捨て去れ(1:4)

『汝の隣人を己の如く愛せよ』という聖書の言葉は有名だが(他にも同じような内容の文章はあるが)、『悪』という言葉が出てくるのは

この『1:5~7』の部分だけだ(「第一章 創世記 第1節」)。そして『神が与えたもうたもの』というのが この『善』と『悪』なのだ。また、これらの単語はギリシャ語の名詞形なので、ここでは それらを総称して『愛』と呼んでいるのだと考えてもらって構わない。ちなみに この新約聖書には、次のような言葉がある。『あなたがたは、神の霊によって導かれているのでなければ、何をすることもできません。肉から出た者、すなわち偶像礼拝者は神の国に受け入れられないのです。神の国はそのような者たちの決して入ることができない所なのです』(ヨハネ17:15-17,18:25-25)

この聖書の言葉の意味を分かりやすく言い換えるのであれば……神の国の住民は

『善良』な者であり、彼らは 善意の人であるということになろうか。また、この世に存在する人々は

『偽りの幸福』しか手に入れることができず(『6:9』)。彼らの人生が幸福に満ちたものになることは決して無い(1011)とも言い切っているのだ。……つまり、神が『善き者』に与えたもうたのは『善なる心』だけであり、その『善の心』を持っていない者達は、たとえどんな理由があったとしても、どのような悪事を犯したとしても、その罪を許されることはなく、その者の『救い』は 永遠に訪れないのだということになる。だから、この世の人々の『救い』は 永遠ではないのだということだ。

『メタトロンと十二天使』と呼ばれる絵に描かれている、ある男性の身体に宿った『光』こそが『神が与えたもうた愛』だという説があるらしいのだが、この説について あまり賛成できない。何故なら、この男性が誰を愛しているかというと、その『愛』は自分と同じ男性に向けられたものだったから(「第二章 エノク書 第2節」(その『メタトロン』という名前は、この男性の『肉体』の名として伝えられているようだが、その由来に関しては諸説あるらしく、名前そのものに意味は無いという説もある。そして、その名前を付けられた『男性』については、『アダム』という名の人物だったらしい。そのことについては、次の『エデン』の項目を読んでもらうと分かると思うが、この話は かなり複雑な内容になっているので、とりあえず今は触れないでおくことにしよう。

神話上の『メタトロン』について簡単に説明すれば、彼は 太陽の化身とも言われており、天使達の長であるとも言われている。この『神の子』が『光』に関係しているのは、その『メタトロン』が光の権化とされているからであろうが、このメタトロンが司っていたのは 主に『知恵』だったそうだ。

彼は その知識の全てを使い、地上の人々を助け、その行く末を照らし続けていたという。……が、そんな彼にも 唯一無二の親友と呼べる人物がいたのだ。

彼の名前はルシフェル。そして この二人の間に交わされていた約束こそが、後に語り継がれることとなる有名な話……『バベルの塔』の逸話なのだ。

旧約聖書では 天高くそびえ立つ塔のことを『バベル』と呼んでおり、それが建てられることとなった理由は、人間の傲慢さによるもの……と語られている。

『メタトロン』を支える『12人の天使』についての説明の中で『ミカエル』『ガブリエル』という名が出ているが、これら『三位』は

『熾天使』とも呼ばれていて、この三人には特別な力が与えられていたのだ。

『ラファエル』という『大天使』がいるが、この『癒し』の力を持つという『大天使』が持っていた能力が『神からの祝福を受け持つ』というものだったそうで、その力を用いて人々を治療したりもしていたらしい。

そして もうひとり……『ガブリエル』という『天使』にも、その名の由来になったと言われる『智恵の炎』という不思議な力が与えられていた。その『神への信仰』から生まれたという炎は、あらゆる悪しきものを焼き尽くす聖なる焔だと言われている。

そして 最後の一人……『ウリエル』の能力は『火を司る』ことであり、彼もその例に漏れず、火に関する力を生まれながらに持ち それを自在に操ることができたのだ。その彼の手に握られている『松明』こそ、神の与えたもうた『愛』の象徴だという説が唱えられているが、そのことについては この先に触れることになるだろう。

話を元に戻せば、そのように強大な『力』を与えられた『メタトロン』であったが、ある時、その彼が親友のルシフェルと喧嘩をしてしまい、仲違いしてしまうことになったという。その原因は……神の怒りを買ったからだという説が有力なのだが、実は違うという説もある。

それは……『メタトロン』が神に逆らって悪の道に堕ちてしまったからだと言うのだ。

この『堕落』の原因については 様々な説があるのだが……『神が与えたもうた愛と知恵』を失い、自分の快楽のために 人を殺めるようになることで『罪』を犯してしまい、神との決別を決意した結果

『悪魔』に魂を売り渡したのではないかと言われてもいるらしい。

つまり、この世に蔓延る全ての悪は、このメタトロンによるものだと……

そして、そんな彼の姿を悲しく思ったルシフェルが、彼を元の姿に戻すため、その身を『メタトロン』から切り離し、新たな肉体を与えたのだという説が信じられているというわけだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ