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歴史という名のファンタジー  作者: みなと劉
75/255

75話

このことで、一益は、他の誰よりも有利な立場に立ったといえる。一益は 秀吉に取り入ることができ、さらに 滝川一族を自分の一族として抱え込むことができた。

これで……ようやく……信長の死によって発生した混乱が収拾される。

そして……秀吉は 織田家の天下を引き継ぐことになる。一益は 自分の一族の力を結集し、それを秀吉に売り渡す。

それによって……一益は 滝川一族の代表という立場を手に入れたのだと思う。

そして 滝川一族の中でも もっとも重要な位置を占めることになる。

秀吉の舅である滝川氏綱や 信長の甥・津田信澄とともに 三傑と呼ばれるようになるわけです。

これが 滝川一益という人物の実体でした。

彼のような考え方は 決して間違ってはいないし、賢い選択をしたと言えるでしょう。そして 実際に 成功したのだしね……。

『歴史読本』は、このように 一益の人物像を要約していたのでした。

『戦国武将列伝2 織田信長』(学研・吉川弘文館)の 森成利の項目では、次のように紹介されています。

**

***

織田家中の出世頭といえば、丹羽長秀と佐久間信盛であった。信秀の側近として重用され、信長の信任も厚かった二人だが、信秀の死後は、それぞれ羽柴秀吉、柴田勝家と肩を並べて活躍する。

特に、『平家物語』の愛読者だった長秀は、源義経の郎党、佐々木高光に擬して、……平敦盛を討とうとする義経を遮二無二に制止したのは、実は長秀でした。

長秀には平氏の血が流れています。

敦盛を憎む理由があったのですが、長秀は 平家への忠義を貫いた。

その行動は立派ですね。

私なら、義経を庇って討たれてしまうだろう。

そして、義経のために、死力を振り絞って奮戦する。

だが……結局、敗北してしまうのだ。

長秀が生き残っていたら、おそらくは……源氏の武将として活躍したに違いない。信秀が生きていたら、彼を抜擢したであろう。

信勝の与力ではなく、もっと上の地位を与えたかもしれない。信長にとっては、信勝よりはずっと優秀な家臣なのである。その彼が、なぜ 信忠に殺されたのか? それこそが問題だ。長秀が 信長に対して不満を持っていたとは思わない。しかし、信長に何か進言をして、その結果 殺されたのではないか、と思われる節があるのだ。

それは、信長が……信勝に殺されてしまったように、信長が……その死後に、何者かの手によって暗殺されたからではないか?そんな噂もある。

もし そうだとしたら、犯人は誰なのか? 信長には 後継者がいなくなってしまったからである。つまり……後継者を指名する前に、信長は亡くなってしまった。それで……誰が後継者となるかで、家中は揉める。

しかも……後継者を決める前に、信長は亡くなってしまう。信長の跡継ぎ問題は紛糾するし、信長の親族たちは、それぞれ 思惑を持って動き出すのだ。そこで……信長の後継ぎ候補の中で、一番有力と目されていた信雄が、真っ先に暗殺されてしまう。信雄は 信長の猶子であり娘婿でもあった。それが、いきなり 殺される。

そして……次は、秀吉が疑われる。秀吉は、信長の娘婿であり、養子にもなった。そして……信長の実子の茶々を娶っているから、後継者の最有力候補になったわけだ。しかし、これも 殺害未遂事件が起こる。秀吉の妻である寧々が襲われて負傷するという事件が起きているのだ。この襲撃犯は……信長が派遣した間者ではないかと疑われた。秀吉と寧々とは夫婦仲が悪く、秀吉と茶々との確執を知っていたから……

秀吉が後継者最有力候補になりかけたが、秀吉は、信長の後継者に指名されることはなかった。なぜなら、秀吉も、やはり……信長によって殺害されてしまうからだ。

これは……後継者に指名された人物が殺害されたために、他の候補者たちが疑心暗鬼となり、殺し合いを始めたという例だ。秀吉が殺されたことによって、かえって……後継者問題に拍車がかかってしまったわけだ。

そして……最終的に……秀吉の正室の淀殿までも殺害されることになってしまったのである。

こうした状況の中にあっても、秀吉だけは、無事に生き延びることができた。なぜなら、秀吉だけが、後継者に指名されなかったからだ。

だから 秀吉が生きている限りは、後継者問題が持ち上がることはなかったし、信長の死去に伴う混乱もなかった。

だから……秀吉が生き残ったというのは、不思議な感じがするが、事実はそうなのだ。

秀吉が生き残ったおかげで、後継者争いが起きずに済んだのだった。

この謎を解く鍵は、信長が後継者を指名していなかったことだ。信長が 後継者を定めないまま、先に亡くなってしまっていたから、誰を後継にするかで、もめたのであって、秀吉は生き残ってしまったが故に、信長の急死が生み出してしまった後継者問題で 最も疑わしい人物にされてしまったという事情にある。

秀吉が犯人ではないのは、明らかだ。なぜなら、秀吉も、そして 妻のお市の方も、信長の姪に当たるのだから……。秀吉は、甥でもないしね。

だが……秀吉が疑われるのも、仕方がないと思う。秀吉と信長との間には、血の繋がりがあるし、秀吉と茶々の間にできた子は 秀吉の養子になるし、信長の子と秀吉の養子との子供は 皆、同じ父を持つ兄弟ということになる。秀吉は、義理の伯父でもあるし、血縁上の叔父でもあり、さらに言えば……舅にもなるのだ。その立場を利用して、秀吉が犯人だと目されるのは、当然だと思う。それに、犯人でないとしても、怪しい行動をしていなければいいのだし、ましてや……

秀吉には……前科がありますからね。それは、妻のお市の方の不義の子だという疑いを持たれたことです。だから……妻のお市から疑われてしまうのだ。……まあ 秀吉の場合は、本当に お市の方が関係しているかどうか分かりませんけどね。

お市の子でないという証拠もないわけだし……。

でも 普通に考えて、そんなことはありえないでしょう。だって、あの時はまだ 茶々が生まれてもいない頃だし、子供が生まれるには早すぎるのだから。お市には 側室は一人もいなかったのです。……つまり 秀吉とお市との間に限っていえば、そういう関係は絶対にない。しかし、お市は 夫の秀吉が、信長の娘と結婚して、自分の兄になったという事実だけでも耐え難い屈辱を感じてしまうのだ。それで……秀吉のことも憎んでいた。だから 秀吉のことを憎んでしまうのである。

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