表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/108

11話08




 なかなか答えが思い浮かんできません。例の事件を参考にと言っていたくらいですし、何か関連性があるとは思うんですけど……難しいですね。うーん、さっきの事件のキーワードでも思い出してみましょう。ピアノ線、おかもち、生首、キャノピー。こんな所でしょうか。ここから料理の改良に使えそうなアイデアが出るかと言えば……出ませんね。強いて言えば生首くらいです。


 スープを作る際、豚の頭も入れるとかどうでしょう……なんだか、急に魔女の鍋みたいな雰囲気になってきちゃいましたね。ならばイモリも入れたほうが健康的な……気もします。


 そんなこんな感じで脱線した思考を進めていたら、手元の【癒やし中華】は空になっていました。だって、美味しかったんです。しょうがないですよね。


「さて、両者……食べ終わったみたいだけど、答えはわかったかい?」


 (アタシ)は首を横に振りました。コムさんも同じく首を振っています。


「おやおや、わからなかったのかい。しょうがないねー、まったく。それじゃ……ヒントでも出してあげようか」


 と、笑顔のまま語る一丸さん。


「あの事件の時はさ……ほんと肝が冷えたんだよ。あのバカ娘が殺しをやっちまったんじゃないかってね」


 何度聞いても、最初にそこを心配するのはどうかと思うんですけどね。それにしても……肝が冷えたですか。あ……わかった。


「ひょっとして、肝……ですか?」


 (アタシ)とコムさんは同時に解答を口にしました。要はハモったんですね。


「そうそう。あん肝をペースト状にしてね、そいつをスープに合わせたのさ。肝は栄養も豊富だし【癒やし中華】にはピッタリなんだよね、味の深みも増すしさ。そうしてウチには、新たなメニューとして【冷えた肝の癒やし中華】が加わったんだよ」


 そう言い終わると、豪快に笑う一丸さん。なるほど……肝が冷えるという慣用句、それを実際に味わってみれば……なんとも奥の深い味になるんですね。今回の物語も最初はどうなるものかと思ったのですが……実は、料理同様に奥が深い【謎】だったのかもしれません。


 うん……夏に相応しい【謎】でしょうね。


 そうして……今回の【謎】は美味しく完食されたのでした。




 第10話 『肝を冷やし中華』 了





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ