始まりの時
それは突然だった。バットで殴られたような頭部への衝撃の後、異世界へと転生していた。
その日もいつもと変わらない日常の筈だった。
2020年、その年も始まり皆が一様に日々を過ごしていた。彼は田崎真司どこにでもいるようなしがないバイト暮らしの日々で、あの日が来るまでは【戦争】という言葉を馬鹿にしていた一人にしか過ぎなかった。
(そして現在2023年)
二年間続いた東亜国とフェリテ共和国との戦いはこの頃激しさを増している。
《ニュースをお伝えします。我が東亜国とフェリテ共和国との戦いは連日混戦を極めております。当初フェリテ共和国が推す展開も我が東亜国の懸命の交戦によりその戦力差はほぼ互角となっております》
突如として休憩時間にニュースを聞いているとき非常呼集の館内放送が流れた。
『非常呼集、非常呼集。領空侵犯共和国軍機がボーダーラインを通過。スクランブル機が上がった。直ちにα、β隊はハンガーに集合』
我が東亜国は合衆国の支援を受けており駐機場にはB-1Bランサー5機がスタンバイしていた。さらに格納庫には発進準備を整えたF-15 FXが30機待機している。
「さあ、ショータイムだぜ!!F-15イーグルが俺を待っている。特殊兵装のB-1Bとランデブーだ」
井上伍長は意気込んでいた。田崎も
「俺はB-1の方、ケツを守れよ」
と言い放った。
この東亜国はフェリテ共和国からの急襲を受けて部隊が壊滅しかかるという窮地に陥っていた。しかし、合衆国の支援を受けて土壇場のところで危機を脱し互角に戦えるようになっている。