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魔道の花形  作者: ロリポップ侍Lv.8
1/2

〜今日も世界は不安定に安定しています〜

20XX年、人類は科学を極め、遂におとぎ話の世界にしかなかった「魔法」を人工的に開発した。

度重なる異常気象の結果、空気中に特異な成分「マナニウム」が発生。それをエネルギーとして利用し、魔法のように様々なものに発現できる装置

CemicalAdvanceRealityDevice

(術学式現実拡張型魔法発生装置)

通称「CARD」を開発。人類は行き詰まった文明を更に発展させることに成功した。

しかし、便利なものが開発されるということは、悪意を持って使う者が現れるのも必然。「CARD」が人々に流布した結果、危険な思想を持った人々に使用され、殺人事件やテロが多発。政府はこの事態を受け止め、CARDを使用して不正CARD使用者に裁きを下す悪質CARD使用者撲滅委員会が発足。

通称「FULLGARD」の誕生である。

この物語は世界的にも珍しい、15〜18歳で構成されたFULLGARD小隊「バスター」の波乱万丈な物語である・・・


「くそっ!ずらかれ野郎どもっ!」


全身黒いツナギの男達が一目散に逃げる。


それを追うようにして、2人の男が追いかける。



「なんなんコイツら?ここらの森でコソコソしてたけど。違法魔力採取?」


「いえ、人数と道具を見る限り密猟のようですね。この森にしか生息しない生物もいますから、それをマニアに売って儲ける算段なのでしょう」


ツナギの男達は急に振り返ったかと思うと、銃口を2人に向けていた。


「撃てっ!撃って撃って撃ちまくれっ!」


無数のアサルトライフルから銃弾がばら撒かれる。


しかし、その弾は全て蒼白い魔方陣に触れた瞬間消えてしまった。


「くそっ!...術式班、攻撃用意!」


合図とともに後ろにいた隊列が一斉に魔法を発動。炎に氷、雷などの属性魔法が一斉に放たれる。


が、今度は橙色の魔方陣の中心に、吸い込まれるようにして消えた。


「ま、このくらい俺と翠川なら余裕のよっちゃんだよね〜」


恰幅のいい男が小さく笑いながら呟く。


「青柳さん...そのあからさまにメンタルから削りに行く感じ止めてくださいよ...ほら、ドン引きしてますよ、向こう」


長身の男が顎で指しながら言う。


「馬鹿なっ!?低級とはいえ、破壊系魔法を組み込んだ弾丸の雨をっ!いともっ!容易くっ!打ち破ることなどっ!」


「くどい!」


身長の低い男が上空から脳天に蹴りを入れる。声も出せぬまま、喚いていた人物は倒れた。


「うっわぁ脳天...しかも上からとか...お前こいつの首に恨みでもあんの?つか殺してないよね赤石?」


「だいじょぶだいじょぶ。多分生きてるから。」


「根拠の無い自身ほど怖いものは無いですけど、今はそういうことにしときましょうか...」


「そういや他の奴らは?俺が蹴り入れた時には静かだったけど」


「そこで寝てるよ。気絶魔法と催眠系魔法の統合陣がよく効いたみたい。ちなもう連絡したから、あとはほっとけばコイツらの回収くるよ」


「ちょっ、あんたいつの間に怖いもの開発してるんですか!」


「だいじょぶだいじょぶ。多分もう使わないから。」


「...あんたもですか......はぁ...」


翠川がおもむろにスマホを取り出す。


「...あ、向こうも終わったみたいです。『それよりご飯食べたい』だそうですけど」


するとその問いに対して、三人とも同タイミングで


「『papillon』だな」

「『papillon』じゃね?」

「『papillon』ですね」


「じゃ、今日は『papillon』にするって送っといて」


「分かりました。...てか、向こうも『papillon』がいいらしいですよ。」

なら話が早いな。んじゃ、とりま帰宅ですかね...ほいっ」


太い指で空をなぞると、薄緑の魔法陣が地面に現れた。


3人はその上に乗り、また太い指が空をなぞると光とともに消えた。





――――――その1時間後、カフェ『papillon』にて―――


「はぁ〜い、リブロースステーキガーリックソースと、さば味噌定食大盛り梅ご飯御膳、ベーコンとほうれん草のキッシュ、魚介のアラビアータ、チョコレートサンデー2つお待たせっ〜♡」


ムキムキで色黒のおねェが、小走りでテーブルに皿を運ぶ。


ざっと50人は入れそうな広さの店に、今は客が6人しかいない。表のドアにはCLOSEの文字が掛かっていた。


ヴィンテージ感のある店内に、小さく流れるジャズが心地よい。


テーブルには6人が男女で別れて席につき、全員が話し込んでいた。


「おっ、来た来た...あざっす、エディさん」


「いいのよ青ちゃん♡あなたの食べ方、すっごくワイルドで素敵だからお肉の量おまけしといたわよ♡」


「マジっすか!?いや〜ホントいつもありがとうございます!」


「いいのよ青ちゃん♡ いっぱい食べて頂戴♡」


「いーなー青柳、オーナーに愛されてて」


「あら、紅ちゃんの御膳もいつも以上に盛々にしといたわよ♡」


「ありがとーオーナー!そういうところが好きだぜ!」


「んっ〜♡ストレートな告白ありがとうっ♡︎みんなもいーっぱい食べ頂戴ね、お代わりもOKよ!」


そう言うと小躍りしながらカウンターに戻って行った。


「......あんた達、毎回よくやるわよね...仕事が終わってすぐだってのに...」


「まぁここの飯うまいのは事実じゃん?日頃の感謝の意も込めてだから、きついとかっていうのは思わんな」


そう言うと青柳は肉にかぶりついた。


「そーそー。つーか桃瀬はオーナー苦手なの?いつも距離とってるけど」


「正直言って苦手ね。いい人だとは思うけど。」


ズバッと言い切ると、チョコサンデーに手を付け始めた。


「私も、今日みたいな疲れた日は苦手になるかも。でも昼間のエディさんは寡黙でいい人よ?」


「柴田、あんた昼にここ来たことあるの?」


「えぇ。ちょうど図書館で読みたい本を借りれた時、直ぐに読みたくなっちゃって。それでここに来てみたらビックリ。あんなに陽気な人だったのが昼間はまるで大違い。寡黙で厳ついカフェのマスターだったわ。」


「いやん!柴田ちゃん!それは言わないって約束したじゃないの!もう!」


「ごめんなさいエディさん。つい話しちゃった。」


「......桃瀬はともかく、柴田もけっこうズバッと言うタイプだよね」


もりもりとご飯と鯖を口に詰めながら、赤石が呟く。


「というか今日どうして集まったんですか?」


「いや、上への報告は済ましてある。今日の話はこれ。」


赤石が1枚の紙を出す。


「えーっと、......『昇格による装備一新のお知らせ』、ですか?」


「うん。お前ら全員今の装備結構使ったでしょ?だからその装備一新のお知らせだってさ。特に青柳と黄山さんのCARD」


「あ...そうです。最近補助魔法が安定しなくて困ってたので...」


「俺も。魔方陣生成から発動までラグがある感じがしてる」


「まぁ、不具合ない他の奴らもまとめて調整するから、また後で研究所研究所(ラボ)に来いってさ」


全員が軽く了承する。


本題が終わり、いつの間にやら他愛のない話をしていたら時計の針が12を超えていた。


赤石が手を叩き、全員に話した。


「じゃあそういうことで、今日はお疲れ様でした!また明日も頑張るぞーお前ら―」


「「「「「は〜い」」」」」


6人が家路に着こうと店を出ると、外はもうとっぷりと夜で満たされていた。




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