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プロローグ下

いきなりだが俺の恩恵として貰ったスキルというのは、

一体全体どういうものなのかを説明しよう。



スキルとは神もしくは神に等しい存在、例えば竜王とか精霊王とかが

自分の認めた相手に与える恩恵のようなものと、血のにじむような

努力の末に獲得することのできるもの、自分のジョブすなわち職業に

ついた瞬間自動的に付与されるものと、色々種類がある。

魔法もスキルと同様で基本的には努力して才能があれば高いレベルの

物が才能がなくともある一定のラインまでは育つような仕組みになっている。



次にスキルと魔法の違いを説明しよう。

これは簡単で魔力を使うか使わないかの違いである。

一部のスキルだと魔力は必要になってくるが基本的には必要としない。



白いじじいが異世界に送る際にスキルや魔法の説明をせずに送ったのは、

多分こういうことだろう。


”ワシが説明してもよく分らんじゃろ。

だったら自分の身をもって体験した方が早いじゃろ”



という物であると思う。実際に聞いてないから事実かどうかは

分からないけどあれでも神様だ決して忘れていたとかそんな

理由ではないはずだ......。



話を戻そう、つまりスキルとは努力次第ではいくらでも付ける

事が出来て才能さえあれば極めることだってできる物なのだ



ここで俺が一度目の転生で備わっていたスキルを確認しよう。



 NO NAME


 Lv1


 スキル一覧


 言語理解 LvMax


 残機10


 苦難 LvMax


 女運マイナス



この四つであるそうこの四つなのである。

自分のステータスは頭の中で思い浮かべるだけで出てくるから

鑑定のような特別なスキルは必要無かった。

名前がNO NAMEな理由は仮にも転生な訳だから赤ん坊から始まり

まだ名付けられていないからである。Lv1なのも同じ理由。



スキルの説明は大体じじいがしてくれたから大まかには分かっていたが、

詳細を調べたらとんでもないものだった。


まず言語理解これは転生先で使われているすべての言語を理解することの

できる物で人間の話す言葉から動物や魔物といった人外とものも理解する

事の出来る物であった。勿論その世界で失われたとされる言語も理解することが

出来たので、現地で手に入れた魔法の効率のいい育て方にすぐ至ることができた。


次に残機10、これはじじいが言うとおりこのスキルを所持した状態で死んでしまった

場合すぐさま記憶とスキルと魔法を所持したまま別の世界に転生されるというもの。

体験してみて分かったがこれは中々にチートじみていたなんせ次の世界でいきなり

俺TUEEEEができるのだから! そんな風に思っていた時代もありました。

実際にそんなことをしようものならすぐ国に呼び出され最前線に送りこまれて

切った張ったのどんちゃん騒ぎに突撃ですよ。ちなみに殺人に対する恐怖は

一度目の世界で、盗賊を撃退したときに踏ん切りがつきましたよ。

慣れってこわいよね? そんで、転生されるたびに残機の横の数字が

減っていきゼロになるとこのスキルも消えるみたい。残機ゼロになった瞬間

人生が終わるのでどうでもいいけど。


そしてやってまいりました一番の厄介ごとの種、苦難LvMaxさんですよ。

いやー軽く見てたね苦難ていっても大したことないんでしょって思ってた

あの時の自分を助走をつけて殴り飛ばしてやりたい。なんたってこのスキル、

所持者に死なない程度の苦難を与えるってもんなのよ。しかもこれを残機が

無くならない限りずっとですよ奥さん。全然お買い得じゃないね、むしろお金を

払ってでも返品してやりたかったよこの野郎。このスキルのせいで自分が強くなるたび

苦難の難易度が上がるし、難易度が上がるけど絶対に苦難ではしなないしもう嫌に

なっちゃうね。


ん、一番ひどいのは女運マイナスじゃ無いのかって馬鹿言うな! 女運マイナス

先生はな、女の子と遊ぶところまでは大目に見てくれる優しさがあるんやぞ!

まあ、その先の恋人やもっと深い関係になろうとした瞬間

”あ、○○君は友達にしか見えないから変な期待しないでね”

って真顔で言われるのと、恋人ができないならそういう大人のお店に

行けばいいのではないかと突撃しようものなら苦難先生とコンビを

組んで全力で阻止しにかかるってくらいの厳しさしか持ってない優しいスキルやぞ!

あ、泣いてないですよこれは汗だから涙じゃないからね?



そんな感じにスキルに振り回されながら俺は、751年の月日を過ごし

今まさに最後の残機1が消えようとする瞬間を迎えていた。

これまで過ごしてきて色々なことがあった。



四度目の転生で目立たないように生きていたのに、いきなり鑑定のスキルを

持ってまーす。って国から派遣された鑑定士が村人一人一人鑑定していって

結局俺の持ってる高レベルの魔法の事がバレて、他国と戦争してる真っただ中に

放り出されて敵将討ち取るまで帰ってくんなっていわれるし。



六度目の転生の時なんて身体強化のスキルを上げたいなって言ったばっかりに

戦い方を教わっていた師匠に大きな荷物を持たされて、富士山よりも高いんじゃ

ないかと思われる山を登らされて、世界で一番固いとされているアダマンタイトの

原石を目の前に投げ出され

”身体強化の力だけで割ってみろ。割れるまで山から降ろさない”

と真顔で言われた日にはあとはやるしかないよね。

結果割れるに至る精度になるまでに三年、その次に出されたアダマンタイトと

世界で二番目に固いミスリルを合わせって作った盾を師匠が構えて

”ワレ”

の一言ですよ。その訓練のおかげで身体強化のスキルはLvMaxまで行けたが

盾を割るのにさらに九年かかってしまっていた。

あの山籠もりはまさに地獄を現実世界に持ってきたような体験だった。



段々と意識が薄れてきたいよいよ最後の時が近いようだ。

この751年間辛いことが終わったと思ったらまた辛いことが

向こうからやってくる散々な日々だった。

楽しかったことなんて数えるほどしかなく、

異世界生活をエンジョイしたなんてとても言えないものだった。

もしも、かなうのならもうちょっと異世界というのを

普通に楽しんでみたかったな。






俺の思考はそれを最後に停止した......。







停止しているはずなのになぜか俺の意識は無くならない。



いったい何が起こっているんだ。体の感覚は無いけれど

この精神のみで立っている感覚覚えがあるぞ。



俺はそう思い自分がいるこの白・い・空・間を

見渡していると突然後ろから声をかけられた。



「おお、やっぱりまた会うことができたの。」



そこには、そこには白い靄がかかった

物体が立って(?)いた。




「あああ!! 俺を異世界に転生させた白じじ!!」



「白じじいとはなんじゃ!? 751年生きていても

 その失礼な態度は変わらんのじゃ!?」



そう目の前にいたのは、俺に苦難と女運マイナスのスキルを

付与したあの白いじじいもとい神様がいた。




「まったく開口一番にワシを愚弄しなければ気が済まんのかお主は。」


「んな事どうでもいいんだけど、今どういうじょうきょう?」


「んなことって。はあ、まあいいわ今の状況を説明してやろう。」



心底疲れた雰囲気を醸し出しながら語りはじめた。



疲れた雰囲気を醸し出していたのにその話は長かった。

もう校長先生のあいさつ並みに長かった。

説明があまりにも長かったので要点だけをまとめると、

じじいは俺の異世界生活をちょくちょく覗いて、

俺がどのような苦労をしていたのか見ていたそうだ。

そして自分が思っていた100倍はつらい目にあっている

俺に対して同情の念をいだいて今俺に選択肢を与えに来たそうだ。



「という解釈で間違ってないか?」


「間違ってないかって、そんな友に話すような感じで...。」


「何を今さら俺とじじいの仲じゃないか。」


「そこまで仲良くはなかったはずなのじゃが!?

 はあ、これ以上この問題で論争していた所で時間の

 無駄じゃな。話を戻すぞ。」



どこか諦めたようにじじいは選択肢を提示した。



「まず一つこのまま普通に天国に行き、魂のみの存在として

 生きていくか。これは聞き方によっては辛そうに聞こえるが

 天国は平穏と安全が約束された所じゃ、これまでみたいに

 トラブルに襲われることはないじゃろ。」


「次に二つ目お主が転生する前にいたあの世界じゃ。」


「ちょっと待ってくれ、それは一体どういうことだ?

 元々人口が増えすぎたから転生させるみたいな流れじゃなかったのか?

 それが今になってなぜあの世界に戻れるとは一体どういうことだ?」


「うむ、そう思うのも無理もないことじゃが今回は状況が状況だからの。

 先も言ったように苦難は本来あそこまで辛いものではないのじゃ。

 お主はそれに耐えてこれまでの人生を過ごしてきた。だから今回の処置は

 お主に対してのワシらからの褒美であり謝罪の気持ちなのじゃよ。」



驚いたワシらという事はじじいだけの意見じゃないってことだ。

どうやら俺の行動を見ていたのは目の前のじじいだけじゃないようだ。



「なるほど....。さっき二つ目と言っていたが三つ目四つ目があるのか?」


「あるにはあるのだが、聞いても無駄だと思うぞ。」


「それはなんでだ?」


「三つ目と言うか最後の選択肢はな、もう一度今までとは別の異世界に

 転生し直すというものじゃ。」


「!? それは本気で言っているのか?」



俺は少し俯き震えながらじじいに確認をとった。



「その反応が普通じゃろうな。あそこまで辛い目にあったのじゃからな。

 今の発言は忘れてくれてよい。さあお主は天国と元居た世界どちらを

 えらぶ?」



そんなの初めからその選択肢を聞かされた時点で決まっていた。

だから俺は迷うことなくじじいに答えてやった。



「そんなの決まってる。俺は異世界を選ぶに決まっているだろ!」


「お主正気か!? あそこまで辛い目にあったのになぜその

 結果になったのじゃ。それに先ほども震えておったじゃろ。」



どうやらじじいは俺が気が狂ったのではと思っているようだが、

俺はいたって正常だ。少しわくわくしているが。



「じじいこそ何を勘違いしてやがる。俺は元々異世界にあこがれてたんだぜ。

 今回は変なスキルのせいで苦労もしたし辛い目にもあったが、それは俺が

 あのスキルを引いたせいであって異世界のせいじゃねえ。残機10が消えた

 今、自由に異世界を旅できるチャンスが目の前に転がっているなら

 飛びつかなくちゃそれは俺じゃねえ!」



それにつらかったけど決して一人じゃなかった。行く先々の世界で友は

ちゃんとできたし苦難が終わればまた苦難が来るけど、一時の楽しい

時間だってちゃんとあった。



「お主のその瞳確かに狂っている目ではないの、じゃったらワシはもう何も言うまい。

 しかしお主の人生は次の一度きりで終わりじゃ。後悔の無いように生きるのじゃぞ。」


「ああ勿論だぜ。」


「ふむ。ならばこれはワシからの選別じゃ遠慮せずに持っていくがよい。」



そういいじじいが転生の魔法陣と共に何かを飛ばしてきた。

俺の体が少し光るとすぐに光はおさまった。

そして俺は何とも言えない浮遊感を味わう。



「スキルの内容はあちらについたらわかるじゃろ。」


「こんなことしてもいいのかよ。明らかに俺を贔屓したこういだぜ。」


「なにお主に今付与したスキルは先ほどいった褒美と謝罪の念を込めた

 物じゃ。誰も文句は言わんから安心せい。」


「なるほどな。なら遠慮なく貰っていくぜ。

 ありがとな神様。これからも元気でな。」


「なんじゃ、いきなりかしこまって気色悪い。」


「人が素直に言ってるのにひどくねえか!?」


「冗談じゃ冗談。お主も達者でな。」


「たく....。ああ元気でな。」




それを最後に魔法陣は俺を包み込み俺を異世界へと転送した。




待ってろよ異世界!! 今度こそ楽しみ抜いてやるぜ。











ーー-ー----------ーーーーーーーーーーー




「行ってしまっての。しかしあんなひどい目にあったのに

 異世界に連れてってくれとは面白い坊主だったの。」



そう一人の男神がつぶやいていると、背後に綺麗な羽衣を

纏った女神があらわれた。



「創造神様。リリティルの世界の王国が勇者召喚を行い、

 ガイアの世界の学生計39名の召喚に成功しました。」



創造神と呼ばれたものは、その報告を受けその女神に問い返した。



「ワシも今しがたリリティルの世界に件のガイアの世界の坊主を

 送ったところなのじゃが。」


「ああ、あの残機10を引き当ててしまってとんでもなく運がお悪い

 少年の事ですね。しかしあんな目に会いながらそれでも異世界に

 行くとは面白い方ですね。」


「ほんとにその通りじゃな。してその坊主と学生たちはどれ位の誤差で

 召喚されるかわかるかの?」


「はい。おおよそ17年だとおもわれます。

 しかも召喚されるのは少年の同級生になるはずだった生徒たちです。」


「ほう。それはまた面白いことになるの。

 はてさてあの坊主は苦難のスキルがなくとも

 いろいろなトラブルに巻き込まれてワシたちを

 飽きさせてはくれない面白いやつじゃの~。」



創造神は上機嫌にそういいながらその場を後にした。





















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