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龍神の白  作者: 良さん
邂逅
9/22

龍神、密かな特訓・2 / 真白の報告

(動けぇぇぇぇぇ!!)


龍は苦しんでいた。

全く動く気配を見せない自身の身体。

当初は、身体も暴走するのではと思い慎重になっていたが、全く動かない身体についに全力で抗おうとしていた。


(何だこの身体は!?一体どうなってる?)


真白の身体強化を真似ても動かない。

強化ができている実感があるにも関わらず、びくともしない。


(おかしい……叫び声をあげた時は少なくとも首は動いたはずだ……。それが唸り声くらいしかあげられなくなっている……。瞬きはできる。次は……指を身体強化と平行して魔力でも動かす……。)


それでも一向に動く気配すらない。

傍目には何一つ変わらず、龍はそこに鎮座したままだった。

全力で動いた際に真白に危険が及ぶやも、と思い遠ざけたが全くの杞憂である。


(『何してたんですか?』と聞かれた時になんと答えたものか……ぐぬぬ……。)


龍の特訓は続く-


--


かれこれ半日。

全く成果は無く、龍は半分あきらめていた。


(はーもう何やってんだ俺。このまま化石になるのを待つしか無いかなー。せっかくだからこの世界を見て回りたかったなー。別に真白はもう俺の血で人間やめたくさいし旅にでも出してやればいっかー。俺のことも軽くネタばらししてやって……。あぁ、旅に出た真白を魔力が届く限り見守って旅の疑似体験するのもアリかなー。あ、そろそろ真白帰ってくるっぽいな。よし。)


こちらへ近づいてくるのを感知した龍は、異変に気付く。

真白が、走っていた。


「何故急いでいるのだ、真白よ。」

「りゅう~じんさまぁ~~~~~~~~!!」


身体強化をフルに利用した全力疾走の真白が、土煙をもうもうと上げて帰ってきた。

そして、激突するかのような勢いは少し手前で上へベクトルを変える。


「とぅっ!」

「ぬっ!?」

「聞いてくださいよ龍神様!」

「頭に乗ったまま話すつもりか?」

「帰る前におしっこしてたらですね!」

「花を摘むとか言い換えろ。」

「恵みが!戻ったんです!」

「……。」

「はっ、龍神様が想像してらっしゃる。やめてくださいよ~。」

「…………。」

「すみません。降ります。」

「よし。では改めて詳しく話せ。」

「おしっこの話ですか?」

「おい。」

「失礼、お花摘みですか?」

「言い換えたのは良いが違う。恵みが戻ったと言ったな。」

「ああ、その話ですか!」

「それ以外にあるか!!疲れる……。」

「あんまり遠い話でもないのですが……まぁその、したところから凄い勢いで草が生えてきまして。身長と同じくらいまで一気に伸びたんです。食べられそうな実とかはありませんでしたけど。」


魔力が身体の中をめぐり、それが排出されることで尋常ではない効果のある肥料になったらしい。


「はぁ。酷い目に遭いました。」

「そうか。では今後大地の恵みを取り戻すのは真白の仕事になるな。」

「えっ……ちょっとその……そんなに出ません。」

「……それもそうか。」


顔をやや赤らめる真白。そして発言を後悔する龍。

しばしの沈黙の後、真白が口を開いた。


「とりあえず、ご飯にしましょう。そういえば今日何も食べて無いんですけどお腹減らないんですよね……。」

「そういう効果もあるかもしれんな……まぁ食事は摂れ。成長しないぞ。」

「出るものも出ませんしね!」

「その話はやめろ。」

「ごめんなさい……龍神様、どれくらい召し上がりますか?」

「我は不要だ。」

「ダメですよ!おっきくなれませんよ!」

「十分だろう。」


賑やかなやり取りを繰り返していたが、その言葉を聞いて真白が俯く。


「……誰かと一緒にご飯食べたいな……。」

「……仕方ない。適当に魚でも我の口に放り込め。」


呟かれたその言葉には観念せざるを得なかった。


「やった!」


コロっと表情を変え、花のような笑顔を見せる真白。


(まぁ、いいものが見れたと思っておくか……。)

ブックマークありがとうございます。


ちょっと短くてすみません & 下な話ですみません。

シリアスさんさようなら。

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