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龍神の白  作者: 良さん
邂逅
8/22

血と魔力と

理由は一つしか無い。


龍の血液。


根拠は全く無いが、もしかしたら薬となるかもしれないと思い飲ませたが、魔力が扱えるようになるとは。

扱えるようになった、と言っても無意識に力となって出ているようで、それでいて暴走のようなことも特に起きていないらしい。


「えーい!」


ドン!


「楽しいですー!どーん!」


どーん!


真白はかなり自在に魔力を扱えるようになっていた。

と言っても、魔力による物理現象を引き起こせる程度だ。

魔力感知も教えてみたが、龍の存在しか感じ取ることはできなかった。


(同じ魔力だから感じ取れているといったところか。)


だが驚くべきことに、龍が運ぶことができなかった台車すら、真白は運ぶことができるようになっていた。

それも、自分の手で。


「なんだかとっても元気になりました!こんなに重いものも持てますよ!」

「身体強化、か。まぁ病的に白かったそなたにはちょうどよかろう。」

「うーん……!」

「……何をしている?」

「いえ、龍神様を持ちあげられないかと思いまして。」


腹の下辺りに手を差し込み、持ち上げようともがく真白。


「いくらなんでも無謀だ、やめておけ。それに上げてどうするつもりだ?」

「龍神様をお外へ連れていけるかと思いまして……!」

「ハァ……。それはもうよい。外で薪でも拾って来い。」

「承知しました!行って参ります!あ、台車使いますね。」


--


ガタガタ……。


「初めてのちゃんとしたお仕事です!頑張ります!」

「ほどほどにな。」

「はい!……あれ?龍神様、どちらに?」

「念話に距離は関係ない。我が魔力が及ぶ範囲ならな。」

「おお、流石龍神様です……。では、働きぶりをとくとご覧ください!」

「いや、我はやることがある。付きっきりで見ることは無い。」

「えぇー。」

「随分と馴れ馴れしくなったな……。」

「そそそそんなことは!……ちょっとあるかもしれません。」

「あるのか……。まぁいい。ある程度薪を集めたら、あとは自由にしていい。日が落ちる前頃に戻れ。」

「集めたら戻りますよ?」

「いや、しばらく戻るな。危険が及ぶやもしれん。」

「えっ、やることって危ないことなんですか?龍神様をお守りしなくては……。」

「よい。危険があるかはやってみなくてはわからんのでな。あまり遠くには行き過ぎるなよ。」

「はい……。お気をつけて。」


太陽が頂点に差し掛かり、陽の光を全身に浴びる。

白い肌に白い光が当たり、まるで真白自身が光を放っているかのようだ。


「はぁ、お日様が暖かいです。……あれ、いつもより眩しくありませんね。ま、いいです。いっぱい集めますよー!」


いつもと少し違う陽光の感触に違和感を覚えながらも、森の中へと足を踏み入れていく真白だった。


--


「本当に何にもいないですね……。枯れ木も多いです。葉っぱのついてる木はあるのに木の実とかも全然無いし……。」


落ちている枯れ枝を拾いつつ、頻繁に目につく枯れ木から、魔力で枝を圧し折る。


「葉っぱは食べられないんでしょうか……えいっ。」


あむっ、ペッペッ


「苦ッ!うぇっ。うぅ……。食べられたら恵みが無いなんて言いませんよね……。」


独り言を呟きながら、薪を集めつつ初めての一人での山歩き。

だが、動物の影は形も見えず、木の実なども無い。

葉をつけている木は一種類しか見当たらず、地面の草も枯れたものばかり。


「うーん。龍神様は関係ないと言っていましたが……あれは草も枯れちゃいますよ……。」


一年前の龍の咆哮。それは当然真白も耳にしていた。


「すっごく怖くて……震えが一日止まらなかった……。あの声の主と会うと思ったら怖かったですけど、優しい龍神様でよかったです。でも恵みと関係無い、っていうのは……無いですよねぇ……。あの声にも、きっと何か力があったんだと思いますけど……。力?」


と自分で呟いたところで、真白の脳裏にある考えが浮かぶ。

力と言えば、つい先ほど身に付けた力があった。


「魔力の声……で、木とかがこうなったのなら、魔力で戻せたり……?できるかな……。」


すぅー 『わぁっ!』


ドンッ!


と、声を浴びせかけた部分の地面が一部えぐれて吹き飛ばされた。


「あぁ……そんな器用なこと無理でした……。そうですよね。そうなっちゃいますよね。うぅ……。」


涙目になる真白。


「すんっ……はぁ。余計なことはやめておきましょう。あぁ、帰る前に小用は済ませておかないと……。」


拭った涙の雫が落ちた場所の草が緑を取り戻したことは、この時の真白は気づいていなかった。

それよりももっとわかりやすいことが起きたために。


「きゃあっ!なんですかこれ!いっぱい草が生えてくる!待って待って待ってください!」


原因の直接描写は誠に勝手ながら、割愛する。

ブックマークありがとうございます。


初めてのR15要素……?

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