対決 大海蛇
真白を背に乗せた龍は、沖でその動きを止めた。
そして、海の中へ向けて魔力による探知を始めた。
(どの程度まで探知できるかも兼ねて、実験と行くか)
一気に魔力を広げ、海中の探索が始まる。
そして、一瞬でそれは完了した。
(とてつもない情報量……だが、問題なく処理はできているな。そして、デカい)
範囲は、この星のおよそ半分。
海の中に限るが、その全てを魔力で覆い尽くし、龍は大海蛇を捕捉した。
体長、およそ100メートル。
龍の10倍以上の体躯が足元を泳いでいた。
「真白、この下だ」
「わかりました!では、海から出してください!」
「当然のように言いおって。屏風から虎よりはマシだがな……おっと、向こうから来おったな」
海面に向けて浮上してくるのを感知し、注意を促す。
海面から飛び出すまで、10秒。9、8……
「とうっ!」
龍の背から海面に向けて飛び降りる真白。
両手を組んだまま振りかぶり、力を込める。
「いつどこから来るかわかっておるのか!?」
「その辺の調整はお任せします!」
3、2、1
上空からははっきりと見える巨大な影。
それに向けて、振り下ろされる両手。
それが海面を叩くのと、影が海面から盛り上がるのは、同時だった。
バガアァァァァァァァァン!!!!!
水を叩いたとは思えない程の轟音。
そしてそれに見合うだけの巨大な水柱が立ち上った。
「しょっぱっ!げぇっほ!」
「派手にやったな……拾うか」
海中に沈む前に、真白を回収する龍。
叩きつけられた衝撃で水蒸気化した水分と落ちてくる水柱で真白はずぶ濡れになっていた。
全力を叩きつけられた海はえぐれ、海水が勢い良く流れ込んでいた。
真っ赤な、海水が。
「はぁ、助かりました。で、どうでした?」
「頭から三分の一ほどを吹き飛ばしたか……」
真白に吹き飛ばされてなお巨大な蛇の身体が、海面上を漂っていた。
(見せ場の一つも無かったな……まぁ)
その身体は、尻尾から消えていった。
(第二ラウンドがあるか)
更に巨大な大海蛇が、もう一匹の亡骸を全て飲み込んでいった。
「二匹目!?」
「ああ。さっきのよりデカいヤツだ。つがいだったのかもな」
「えぇ……なのに食べちゃうの……?」
「なんだ、自分が食べたかったのに、か?」
「違いますよ!……あれ、美味しいんですかね?」
「知らん。食べたければ仕留めてこい」
「むむ、となると吹き飛ばしちゃダメですよね……どうしようかな」
と、呑気な会話をしていると再び海面が盛り上がり、大海蛇が海から飛び出した。
その眼は龍を捉え捕食せんと、先ほど自分の身体の半分程度の体積を飲み込んだ口を開けている。
「おっきいなぁ……」
「何を食べればあそこまで育つのだか」
「あれくらい大きくなれるかな?」
「なりたいのか?」
「だって、いくらでもご飯食べれそうじゃないですか」
「その代わり、あの大きさにあうような料理は存在しないぞ。食器も無いな」
「あぁー、そっかぁ。あの、龍神様?」
「どうした?」
「食べられちゃいそうなんですけど、避けないんですか?」
大海蛇は龍のいる高さまで飛び上がり、既に口の中に捉えていた。
あとは顎を閉じるだけで、捕食が完了する。
「なに、真白に食われる側の気持ちを知ってもらおうと思ってな」
「え!?やだやだやだ!すっごくわかりました!好き嫌いとかしません!」
「まぁ、そなたは元々しないだろうが、な」
その顎は閉じられる事無く、大海蛇は宙に浮いたまま停止していた。
ブックマークありがとうございます。
大変お待たせしました。サボりすぎました。
忙しかったのは事実なんですが、サボったも同然です。
なるべく投稿ペースを戻せるよう頑張ります。




