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口封

 和維はクルトと迷宮にいる、まぁ、ミカが心配して先ほどからレーダー代わりの生体干渉波が度々和維の左目の球体ディスプレイにノイズを発生させている。そろそろウザくなってきたので生体干渉できないようにダミーをバラまくか、ステルスみたいなことしてやろうかと、和維はそう思いながらクルトへ気になっている質問をしてみる。


「暗殺ギルドとか、闇のギルドって抜けられないと思ってたよ。あんなんで良いの?」


「これも職業のうちの一つですからね、冒険者ギルドには頼めないようなことも請け負いますが、基本的には冒険者ギルドで斡旋を断られた依頼だったり、高い秘匿性を求める顧客が相手ですからね。ごくごくたまにですが、殺しなんてのもありはしますけどね。そんなこんなで誓いというか、裏家業が出来ない、しないという証を置いて行くんで。 あっしの場合はそれが自分の右腕だったってだけで、例えば、魔法のアイテムを置いて行くなんてのもいましたね」


 和維は、ふーんと頷くと言葉を続ける「ちなみにさっき、おじいさんが言ってたけど、裏ギルドにはまだ顔を出せるってことで良いのかな?」


 クルトは若干わかってるの? という感じで和維の目を見る。が、その目に何の曇りもかげりも無いのがわかると仕方ないという感じでそれに応えた。


「裏ギルドとして証を受け取っている以上、依頼などは出来るでしょうがね。“元”手下どもをただ働きさせて情報を受け取るようなことは出来ないでしょうな。冒険者ギルドで旦那の欲しいと言ってた情報が裏でしか手に入らないものだった場合、対価はそれなりに必要ですな」


「うん、大丈夫なんだね。当面はクルトの知識だけで良いよ。それ以外は裏ギルドに頼めるものは頼んじゃおう」と言ったところで和維の左目の中で閃光が走った「うおっ、まぶしい!」左目を押さえて、しゃがみ込む、痛くないし目を閉じたところで閃光の残像が残ったままなのだが…。


「ど、どうしたんで、旦那?」クルトは何とか立ち上がって左目を押さえている


 和維は球体ディスプレイの復元を想って、指を瞼から左のこめかみへとなぞった。


「いや、大丈夫……。ミカが左目に何か仕込んでたらしい。 っと。円満だったんだよね……?」


「そうだったんですがね。旦那、手を出さんで下さいよ?」


 クルトは小声でそう言うと肩の力を一回抜いて気を探る、どうやら誰もいなかったのではなく、誰もいない方に誘導されたようだったと気がつくのにさほど時間がかからなかった。血が足りなくて思慮もかけていたのかもしれない。主を守る忍びとしては今後いかんなと考えつつ、近寄ってくる気配に五感を澄ます。


 この世界の人間で魔法力のある者は大抵魔法に頼り、それを駆使しがちだが、このクルトという人間は感覚が若干異なっている、日本の特殊性ということもあるが、この西欧では完全に異なる考え方、感覚を持っていた。

 魔法を使用するということは発動時に少なからず魔法力を使用するので、魔法を使用した空間から魔法執行者側に魔法力が表面張力のように引っ張られる。熟練した魔法使い程、この魔法力の流れを読み相手の位置を探ったり、魔法を打ち消すということを行う事が出来た。


 クルトは修行の中で気=魔法力として、熟練した魔法使いのように気を読み、相手の位置を探ったり隠形に使用することが出来る。いまは目を閉じてあらゆる感覚を気の流れに集中して、心のなかで数をかぞえる。



 一、二、三、…四、五……。



 それを確認すると音も無く直刀を左手で抜き逆刃に構え、迷宮の回廊を気配に向かって走り始める。その足音すらも聞こえない。


 和維は言われた通り、その場から左目の視界を飛ばす事もせず、クルトの行った方向を見守った。すると、そこからカンっ! キンッ! と金属音と火花が散るのが見える



 音はそれから5分ほど音が続くとピタリ鳴り止んだ。和維は音がしてこないのと左目で生体反応が弱くなったのを確認するとクルトの所へゆらりと移動した。そこには倒れた人族とホビットの男たちが倒れていた。一応息をしているのを確認するとクルトに聞いた。


「知り合い?」


「知り合いではないですがね。知ってはいますよ。“元”依頼主のところの手の者ですな。口封じしないとと思ったんですかね。まぁ、知りすぎてますからね」


「ふぅん。逆恨みとかじゃないなら、このままで良いかな?」


「結構です。そのうち引き取りにくるでしょう。さっきの音で裏ギルドからも人が出てくると思います。別働隊が動いててもおかしくないので、さっさと帰った方が良いかもしれませんな」


「迷宮探検したかったな。初ダンジョンなのに」


 和維が本当に惜しい感じで言うと、クルトがクスっと笑って返答する。


「王都にいりゃ、いくらでも入れますよ。ま、ミカ殿が怒ってなければ、散歩がてらゆっくり帰るってのでも構いませんがね」


「そうしよう。怒ってるだろうけど、そうしよう。それと、元の依頼主さんの手下? だっけ、その人たちに街中で襲ってこられても困るし」






いつも読んで頂きまして、

ありがとうございます。


皆様の感想やご評価が、

 とても励みになっています。

お気に入り登録頂けますと幸いです。

 追伸、感想開放しました。


  デスマーチが鳴り止みそうです。


今後とも

よろしくお願いします。

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