次の物語の始まり
どこかの世界で。
その世界では、争いが絶えなかった。欲望に目がくらみ、利益を得るために侵略を繰り返す大国に、反抗する小国。そこにあるのは、ある一部の富める者の思惑のみ。弱き人々は、戦いに巻き込まれ、真っ先に死んでいく。命の価値など、ないかのように。
難民の少年も、今まさに命を奪われようとしていた。黒い鎧に身を包んだ敵兵たちが歩いてくる。火矢を放ち、家々を燃やす。
石に躓き、少年は死を覚悟した。父母、妹を葬り去った兵士たちは、その剣に少年までも手にかけようとした。
だが。
そんな敵兵の前に二人の男女が立ちはだかった。
一人は黒い髪の青年。髪と同色の黒曜の瞳は妖しく輝いている。歪な剣を片手に持ち、皮肉な笑みを浮かべている。
「まったく、人間ってのはどこ行っても変わらないな」
そう言い彼は隣の女性を見る。不思議な色の髪色が虹色に輝く。灼熱の太陽の如き瞳が、欲望に陰る兵士たちを見た。兵士たちは知らず知らずのうちに汗をかき、この目の前の二人の異常性を感じた。
剣を構える女性。彼女が剣に触れたかと思った瞬間、敵兵の武器がすべて使えなくなっていた。綺麗に切断された剣に、弓は矢もすべて破壊されていた。
「まだ、戦う？」
その問いに兵士たちは応えることなく逃げていく。その背を見て青年がハン、と鼻で笑う。
「大丈夫？」
呆然と二人を見ていた少年に声をかけた虹色の髪の女性に、つい彼は見惚れていた。そして、青年を見てハッとした。
「あ、あの、あなたたちは一体・・・・・・」
少年の問いかけに、青年は言った。
「俺たちは『祝福されぬ者』さ」
手を差し伸べる青年、アンセルムス。その瞳の中で燃え上がる炎に、少年は魅せられた。その手を握り、少年は立ち上がった。
ここから、新たな物語が始まる。
キャラクター一覧
〇１３人の神々の転生者
・アンセルムス（２４）
主人公。傭兵。『祝福されぬ者』
・クロヴェイル・ラウリシュテン（２４）
バラル帝国ラトナ騎士団団長。世界で最も有名な生きる英雄
・リクター（１９）
魔族国出身の魚人族の戦士。槍の名手
・クィル・アルゲサス（１８）
魔族国出身の人間とインヴォテール族のハーフ。竜化能力を持つ
・エノラ・アンスウェル（１９）
アクスウォード王国の王女。刀の使い手
・セラーナ・シャイア（１８）
旅の魔術師
・リナリー・アルミオン（１８）
グラウキエ大宗主国の少女。大宗主の世話係
・ゼル・マックール（２１）
バーティマの野心溢れる指導者。中性的な容姿の青年
・ミランダ・ライケ（２４）
クロヴェイルの腹心で副団長を務める。槍の名手
・キアラ・フォクサルシア（１８）
フォクサルシア族の少女
・ユグルタ・ヌマンティウス（３５）
ハンノ＝イヴリス連邦の軍人。中佐。狙撃手
・クローリエ・レンウェイン（１７）
転生の魔女と呼ばれる少女
・タムズ・ギャレッセン（１７）
イヴリス大陸の漁村に住む少年
〇アンセルムス陣営
・シャンクシーションク（２６）
ファーレンハイト一族の長。暗殺者
・ゼーレイア（１８）
シャンクシーションクの妹。密偵
・アセリア（享年２４）
ダークエルフ。
・レイド・タッカート（享年３１歳）
傭兵
・ネクロフォンドの魔術師
魔族の魔術師
〇『神』の陣営および『喪失者』
・『神』
父なる神
・ハザ
魔神。『狂笑』
・バルドバラス・ブラッケスト
セウス王期トローアの騎士。『黒騎士』
・セリーヌ・ミリシュア・セアリアール
セウス王の妻。『裏切りの王妃』
・アミテリア・アーデ・フォトン
翼の魔神
・ケルビム
『喪失者』の首領
・ワムピュール、ケレブネムリタ、アグラーメント
『喪失者』の上位個体
イヴリス大陸
〇エルフの国シレン
・ロクシュヴァー（約３２００）
エルフ王
・ネフェリエ（３１４）
放浪のエルフの女戦士
・ネルグリューン（１９）
魔神ハザに従うハーフエルフの少女
〇ハンノ＝イヴリス連邦
・ダラス少将（５５）
ハンノ＝イヴリス軍少将
・イーリオン・クライムシュバイン
カッシュファミリアのボスである少女。『北の魔女』
〇小ルーハン
・ランドール・クーン（享年３１）
騎士。ネフェリエの夫
〇商業国家パラメス
・アラン・ミード（５４）
パラメスの大商人
〇イヴリス大陸の魔族
・ドラッヘ・ガルファルム（４６）
オーク族の将軍
ファムファート大陸
〇バラル帝国
・黎帝（５６）
バラル帝国皇帝
・騎士ゼブーン
ラトナ騎士団所属の騎士
〇バーティマ
・エレナ（１７）
ゼルの幼なじみの少女
〇ゼレフェン王国
・魔女アテナ
ゼレフェン王国の王宮魔術師。実質の権力者。『西の魔女』
ラカークン大陸
〇魔族国
・ハズメット
魔神。『鉄壁』。魔族国の最長老
・ヨトゥンフェイム（４３）
インヴォテールの長。クィルの父
・トライトン（４６）
魚人族の長。リクターの父
・トロント（６７）
獣人族の長
・グラール（５７）
魔族国の長の一人
〇アクスウォード王国
・カッシート（３１）
第一王子
・ナウプリアモス（２８）
第二王子。カッシート派
・アレスター（２７）
第三王子
・モルガン（２５）
第一王女
・クラウシアス（２３）
第四王子。カッシート派
・エイセリオ（２１）
第五王子
〇セアノ王国
・アダマン・カリカルチュア（６７）
王宮魔術師。錬金術の使い手
クライシュ大陸
〇グラウキエ大宗主国
・ロイフォル・オーギュナント（約１１００）
大宗主
・レバンネン・アルミオン（４５）
大司祭。リナリーの父
・レグナ・コーンウォート（４８）
退魔局長
中央大陸
〇カラトナ
サヴォア元帥（享年６２）
カラトナの元帥。反乱の首謀者
地下世界オードヴェル
・レノックス
機械人形の青年
〇その他
・ミアベル＝ツィリア（１７）
虹色の髪の少女。存在しない二人目の剣聖、『希望の少女』
・ナターシャ（享年１７）
流浪の民の少女
・サーシャ（故人）
クィルの母
・クエンティン・ザード（享年５０）
傭兵王
・シュビリーク。アッピアー（享年３５）
傭兵王の副官
・タイロン大公（４２）
アルムッシャ公国の元首
・シャット・クロー（３２）
流浪の騎兵
・ディエゴ男爵（２０）
騎士
・ハーイア
魔神。『堕天』
・ハウシュマリア
魔神。『凶星』
・ジャヒーリア
魔神。『絶界』
・キュレイア
魔神。『慟哭』
・トラキア
魔神。『帝王』
・クラウギレス（死亡）
魔神。『魔王』
・ダウク
魔神。『月光』
・雷星
魔神。『雷星』
・サヴェッジ
魔神。『強欲』
・ズオウレイル
魔神。『腐食』
過去の人物、歴史上の人物
〇トローア王国期
・騎士王アノガル
セウスに仕えた騎士。アノガイール王国の始祖
・剣聖ツェツィーリエ
セウス王に仕えた騎士。剣聖の始祖
・ジュリアス・クーン
セウス王に仕えた騎士。ランドール・クーンの祖先。槍の名手
・反逆者エオス
セウス王と姉アテナとの間の不義の子
〇魔王ヴァレンダリオス・勇者の時代
・聖女クレシア
クライシュ大陸を救った聖女
・勇者クレオ
魔王ヴァレンダリオスを倒した勇者
・魔王ヴァレンダリオス
当時最強を誇った魔王
〇グラウキエ教国時代
・バウアー・エザヤ
枢機卿、のちに教皇。
・モンフォート伯爵
ベレフォール公国の貴族。
〇神話時代
・魔神ルクソール
アンセルムスに仕えた魔神
・クオヴァ－ゼ・ファーレンハイト
アンセルムスに仕えた一族の長。シャンクシーションクらの祖先
