終焉
「また、私、は・・・・・・・・・・・」
血があふれ出す腹部を押さえながら、水色の髪の少女は体を起こす。血を流しすぎて、その身体からは徐々に体力がなくなっている。いかに彼女の能力と言えども、これだけの出血と魔力の流出を防ぐことはもう、できない。
それでも何とか起こした身体を引きずるようにして歩いていく。目指すのは、数歩先に倒れている、一人の黒髪の少女。そのお腹は、膨らんでおり、彼女が妊娠していた、ということがわかる。
だが、彼女も、そのお腹の中の子どもも、恐らくもう生きてはいまい。
その腹部は血で溢れかえっている。ぐったりと頭を垂らし、その顔からは血の気はなく、真っ青である。
「エノラ」
少女の名を呼び、水色の髪の少女はぺたん、と地面に座った。そして、吐血する。
自分の吐いた血の海を見るが、目が朦朧としてきた。自分がもう、死ぬのだということを、少女は感じ取っていた。
「また、繰り返すのね・・・・・・・・・・・・」
手を伸ばす。黒髪の、もう死んでしまった少女の顔を胸に抱き、少女は懺悔するように天を見上げた。
忌々しいほどに、空は青い。その空の向こうに、何か一つの黒い点のようなものが見えた。
世界が、終わる。
「誰か」
少女は、力なく呟いた。
「誰か、この悪夢を終わらせて・・・・・・・・・・・」
そして少女も、力尽きた。