9-夜の狩と追いかけっこ
「まさかこんなに白いローブが目立つなんてな。びっくりだわ」
さて、俺は今また草原に来ている。ちなみにもう日も暮れ真っ暗である。どうにも夜になると夜用のモンスターに変わるようで、昼間のモンスター達はどこかに消えてしまっている。
「さあ、真夜中の狩りだ」
結果としては上々だったぜ。なんか鋼糸の使い方も徐々にわかってきたみたいで、落とし穴を使わなくても鋼糸を当てられるようになってきた。
この草原に出る夜のモンスターは、
まんま鶏のナイトコック。こいつからは羽とか肉とか嘴とか取れた。
1メートルぐらいのバッタのメガホッパー。素材は足とか羽とか。
朝のバニラビットの黒番のショコラビット。歯とか皮とか肉とか剥ぎ取れた。
狩った数としては、4:1:5といった感じだ。バッタ滅茶苦茶キモいんだもん。バッタの顔写真とか想像すればわかると思う。
「ふむ、いい感じに素材も集まったことだし、さっさと戻ろう」
また湧いてきたバッタを無視して俺は街に戻っていった。
そんなこんなで2、3日たった。何をしてたかって?そりゃああれだろ。素材換金したりとか防具を強化したりとか大型の罠を作ったりとか。
そうそう、所謂攻略班と呼ばれるグループが草原のボスを倒したらしい。
「はぁはぁ、はぁ」
突然だが、俺は今ある種のピンチに陥っている。
「はぁはぁ、……っくはぁはぁ」
「ハァハァハァハァ」
後ろを振り返れば血走った目をした無数の獣達の姿が見える。そう、今俺は大量の男性プレイヤーに追いかけ回されているのである。なぜこんなことになったかというと……
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掲示板
<こんな地獄で天使を見つけるスレ>
1:ユーレイン
ここはAEOの中で天使を見つけるスレだ。他のことは他の該当スレに頼むぜ
159:イロハ
なあ、さっき協会で狐耳フード被った天使を見つけたんだけど
160:イーライ
ガタッ
161:ロクウッド
ガタッガタッ
162:イズナ
ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ
163:イロハ
≫162 ちょwww落ち着けwww
さっき俺はパーティのメンバーと協会にバニラビット素材を換金しにいったんだ。そしたら協会のカウンターで背伸びしながら換金してるその子がいたんだ。
164:ロクウッド
詳しく
165:イロハ
≫164 おk
その子はもう換金を終えたらしく、振り返ったんだ。そしたら赤と青のオッドアイの白髪の女の子だったんだ!
文汚くてすまそ
166:イーライ
≫165気にすんな
≫162落ち着けw
で、フードの色はなんだ?
167:イロハ
白
168:スコップス
ああ、あの子だったらよく草原にいるぞ。ソロっぽかったけど
≫162落ち着けw
169:イズナ
落ち着いた(^ω^)
ソロって本当か?
170:イーライ
ソロか
171:スコップス
うんソロ
172:サウザン
PTに勧誘するしかあるまい
173:ロクウッド
それいいな
※以下似たようなことが続く
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「「「「キョウちゃーん!俺たちとパーティ組んでくれー!」」」」
「ふっざけんなぁぁああ!」
忘れてたわ!俺が女になってたの忘れてた!つかなんだこの人数。暇人かお前ら。
「つか………ちょっと……きっつ……」
『こっち……掴まれ……』
「⁉︎」
声のした方を見ると、路地裏から手招きする人影がみえた。あれが声の主か?
「えぇいままよ!ってうわ⁉︎」
俺は藁にもすがる思いでその手を掴むと、勢いよく俺の体は路地裏に引き込まれた。
10/16 一部訂正