8-白ローブと視線
キョウは見た目のことを完全に忘れています。
「クッソ、滅茶苦茶視線を感じる」
フードを目深に被りながらおれは呟く。
あの後、プレイヤールームのベッドで寝た俺はまた草原へ行こうとしたんだが
「やっぱり真っ白ってのは目立ってダメだな」
街から外に出ようとする間に滅茶苦茶視線を受けていた。ってか何だよあのおっさん。涎垂らしながらハァハァいってんじゃねえよ。男に欲情するとかないわー。
「さっさと出ないとな」
こんな危険地帯はさっさと出るに限る。そう走り出したとき
「イテッ⁉︎」
「うおっ⁉︎」
男とぶつかって転けた。チクショウ。
「イタタタ……」
「あの、大丈夫?」
「大丈夫です。急いでるので、では」
ひとつ思った。イケメン爆ぜろ。
□■□■□
「結構簡単に狩れたな」
「そうだね〜。もっと難しいとおもってたよ〜」
クロイツ、クレイ、ディアの3人は草原のモンスターを一通り狩り終え、『始まりの街』戻ってきた。
「正直ログアウトできなくなったときは驚いたよね」
「そうだな」
「でも〜デスゲームじゃなくてよかったね〜」
「さ、早く素材を換金しに行こう」
そういうが早いか、クロイツは駆け出してしまうが
「お、おい!そんなに焦るt」
「イテッ⁉︎」
「うおっ⁉︎」
「はぁ、いわんこっちゃない」
前を見ていなかったからか小柄な少女とぶつかってしまう。
「イタタタ……」
「あの、大丈夫?」
「大丈夫です。急いでるので、では」
そのまま白いローブの少女は行ってしまう。
「ったく気をつけろよな」
「…………」
「おい、どうしたクロイツ」
「なぁ、クレイ、ディア」
「なんだよ」
「どうしたの〜?」
少女の駆けて行った方を見ながら、クロイツが続ける。
「天使がいた」
クロイツが少女の正体を知るのは、まだ暫く先のことである。
□■□■□
誤字・脱字等ありましたらお願いします。