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二十日目:死してなお釣りを続ける者

20日目


【探索】桟橋で黙々と釣り糸を垂れているゾンビに出会う。生前はよほど釣り好きだったのか? 無言で釣りたての魚をわけてくれ、食糧+5(もし「釣り竿」1つを譲ればさらに+7)


 勇人が川に沿って下っていくと、川が広がって湖になっている場所に出た。どうやらここも人々の憩いの場になっているようで、ちらほらと人の姿が見える。

 そして湖には桟橋がかかっていて、見るとその上で釣りをしている人の姿も見える。

「(釣りか、懐かしいな……あんまり邪魔しないようにしよう)」

 なるべく魚を逃がしたりしないように、振動や音を殺しながら近づく。

 近づいてみると、彼が普通の人間ではないことに気付く。服に隠れてはいるが、ところどころの肉体が腐り落ち、骨が見えているところもある。そう、ゾンビだ。

 しかし、何故か他のゾンビと違って悪い雰囲気はしない。

 ゾンビには生前に培った知識や習性というものがある程度反映される。例えば生前軍隊に属していた物であれば、銃器が扱えたり、集団行動をとったり、というようにだ。おそらく彼は生前から釣りだけをして生きてきて、何らかの要因でゾンビに成ったのだろう。ゾンビに成ってもなお釣りを続けるとは、どれだけ釣りが好きだったのだろうか。

「こんにちは。何が釣れるんですか?」

 勇人が問いかけると、男は答えずに、無言で隣のクーラーボックスを指さした。中にはハゼやヤマメといった川魚が何匹か入っている。

「ほぉ……ハゼですか。ハゼは好きですよ」

 男はそれを聞いて満足そうな雰囲気を漂わせると、クーラーボックスをこちらに差し出した。貰っていいのか、と勇人が問うと男は無言のまま頷いた。

「じゃあありがたくいただいていきます」

 勇人がクーラーボックスから袋に魚を移す。再度彼に礼を言って、勇人は桟橋を後にする。もちろん音を殺して。


「今日はここで寝ようかな。晩御飯はさっき貰った魚にしよう」

 湖から5mほど離れた平地にテントを立てる。湖の周りは草原になっていて、楽に野営が行える絶好の地域になっていた。そのためだろうか、テントが10張ほど湖を囲むかのようにして立てられている。これほどの数が一か所に建てられるのはとても珍しい。

「何にしようかな。基本的には塩焼きにするとして……ハゼはどうしようかなぁ。塩焼きは微妙だし、天ぷらはできないし……そうだ焼きハゼを作ろう。ちょうど時間もあるし」

 焼きハゼは宮城県の郷土料理で、ハゼを直火で丹念に焼いて乾燥させたものだ。焼きハゼは良質な出汁が取れることで有名である。

 この場ですぐ食べれるものではないが、どうせ魚は余っているのだから構わないだろう。

「よし、そうと決まれば早速料理開始だ! ふふ~ん♪」

「……そこの人」

 勇人に声をかける影があった。

「すまないが、しばしの間、これを預かってはくれぬだろうか」

 彼が差し出したのは一本の太刀。刀身を観ずともわかるほどに鋭さを発している。おそらく大業物に匹敵する出来だろう。

「……どうしてこれを私に?」

 当然の疑問だ。誰だっていきなりあらわれた人物に武器を預かってほしいと言われれば戸惑うに決まっている。

「理由までは深く話せないのだが……あなたはそれなりの武人と見受けられる。ならばこの太刀も大事に扱ってくれるだろうと思ったのだ」

「……はあ。わかりました。お預かりしましょう。ただし取りに来るまでに何か不慮の事故で失うことになっても責めないでくださいよ?」

「うむ。了解した。それでは宜しく頼む」

 そういうと太刀を置いて男は去って行った。

「さって! じゃあ料理の仕込みに入りますか!」



――20日目

HP:64→66

食糧:68→73

Item:日本刀(銘:薄骨喰)/【戦闘】で受けるダメージ常に-2。最低1点は受ける

   太刀(チェーンソー相当)/【戦闘】で受けるダメージ常に-3。最低1点は受ける←NEW!

NoDateItem:拳銃(弾切れ)/焼きハゼ←NEW!

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