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十六日目:赤き覇者

16日目


【戦闘】家屋を破壊し、何者かに強化改造された巨大なゾンビ化ヒグマが猛然と襲来! 25のダメージ! この戦闘では「主人を失った忠犬」以外のアイテムの効果を受けられない!


 突如目の前の民家が爆発した。

「――ッッ!!!?」

 そこから現れたのは、優に3mを超す身長を持つ巨大なゾンビ化ヒグマだった。誰が名付けたのかは知らないが、通称“赤カブト”と呼ばれるそれは、間違いなくこの世界に存在する危険の中でも屈指に入るものだった。

 彼は品定めをするかのように勇人を眺めると、まるでかかってこいとでも言うかのように、手招きをした。

「(……どうする!? あいつはどう考えても自分より格上。最悪死、運が良くても重症は免れない。幸いにも待っててくれるみたいだし、できる限り準備をして挑むしかない!)」

 勇人は荷物を置いて深呼吸をすると、あろうことかその場でウォーミングアップを始めた。

 赤カブトはそれを興味深そうな眼で眺めながら、泰然自若と構えていた。

「……ふう。言葉が通じるかはわかりませんが、お待たせしてすいませんでした」

 赤カブトは気にするなとでもいうように一鳴きすると、臨戦態勢に入った。

「無嶽流免許皆伝、高崎勇人。いざ尋常に……参る!」

「ゴァアアアアアアアアアア!!!!!!!!」

 赤カブトと勇人が同時に駆け出す。速度と力は圧倒的に赤カブトの方が早いが、それを勇人は両手の刀を使って攻撃をいなし、お返しとばかりに一撃を叩き込む。

「ッ! 硬い……!」

 どんな体の構造をしているのか、赤カブトを切りつけた刀は、わずかに刃毀れしていた。

「ヴォオオオオオオオオオ!!!!」

 赤カブトはそんな勇人の動揺などお構いなしに、周りの家屋を蹴り、立体軌道を描いて次々と攻撃を放ってくる。

「(まともに受けたら刀が持たない!)」

 全ての攻撃を避け、いなしていくが、徐々に勇人を攻撃が掠め始め、劣勢に立たされていく。

「(……このままじゃ確実に殺される。こうなったらあれに賭けるしかないか)」

 一瞬の思考。それはコンマ秒でやり取りする死合いの中では致命的な隙だ。それを好機と見た赤カブトは、勇人に止めを刺すべく大きく振りかぶって攻撃を放つ。

 それを勇人はわざと左の刀の側面で受けた。

「グルッ!?」

 当然、膨大な圧力を受けた刀は一瞬で折れ、目標を失った赤カブトは地面に突っ込むことになる。そして勇人はその隙に距離を取り、一度刀を鞘に納める。

「はぁああああ……!」

 ――無嶽流抜刀術ノ鉢・天竜

 超高速で前進しながら抜刀することによって、刀による斬撃だけでなく、複数の真空刃を産みだし敵を切り裂く剣技だ。

 赤カブトはとっさに避けようとするが、叶わずに斬撃を受けることになる。

「グギャァアアアアアアアアアア!!??」

 しかし、それでも赤カブトを倒すことはできなかった。右腕は半分裂け、胴体にも無数の切り傷が残っているが、その瞳から光は失われてはいない。

「……まじかよ。これでも致命傷にならないのか。……もう、これ以上は――」

 赤カブトは満身創痍の勇人に近づいていく。無嶽流抜刀術ノ鉢・天竜は使用者の肉体を限界を超えて動かすため、使用後には筋肉が断裂し、しばらくはまともに動くことができなくなるという、大きな反動を持つ技だ。すでに勇人には走るだけの気力も残されておらず、あとは死を待つのみであった。

「ヴォルル……」

 しかし、何の気まぐれか、赤カブトは勇人に近づいて、満足そうに一鳴きすると、その巨体を翻して荒野へと去って行った。

「グルゥルゥ」

 ――また戦おう。言葉は理解できないが、何故か勇人には赤カブトそういったのだと理解できた。

「……へっ。あんなのともう一度なんて……二度と……ごめん……だ……」

 そうつぶやくと同時に、勇人の意識は暗転した。



――16日目

HP:63→38

食糧:68

Item:日本刀(銘:薄骨喰)/【戦闘】で受けるダメージ常に-2。最低1点は受ける

   治療薬(ゾンビ化しつつある者を元に戻す。使い捨て)

NoDateItem:拳銃(弾切れ)

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