ホームルーム
すごい勇気とすごい義務で、私は校門を潜りました。それから、教室に入るまでの記憶はあまりございません。ただ、建物入ったら階段上ってそっちいって数字見たらそこ。という記憶は、これからも残るでしょう。
私は、ロビーで待っていた教員に連れられて、職員室でお茶と和菓子を頂いていました。担任の先生は、男性でした。その人と少しお話をして、先生は校門前まで私を連れて行って、女性の事務員の方も一人ついて来ていました。そこから教室までの最短ルートをご案内頂きました。庶民の私が縄文土器なら、この学校は工業製品ぐらい、差があります。はい。
どうしてでしょうか。なろう的な異世界で現代知識が、ここでは最低限の生存の条件です。だって、同じ現代社会ですから。
担任の先生は、私に「呼んだら入ってきて」とだけ言って、教室に入っていきました。三分も無かったでしょうか。呼ばれました。
恐る恐る引き戸を開けて、入ったら、引き戸に向き直ってちゃんと閉めました。そして、ご学友の皆様に会釈して、教壇に上がりました。先生は、すでに脇に下がっています。私はど真ん中で自己紹介する事を強いられています。
「松本響です。祖父の逝去に伴う財産処理の関係で、ここに来ました。話を、終わります」
私は、平穏なお嬢様学校の生活を生きるにあたって、誰にも相談せずに、決断していた。これで、何も言われず、卒業まで学業だけで生存できるだろうと。だが。
「素晴らしい......ですわ......」
何が?
理解不可能な言葉に困惑していた時だった。
「松本様。質問させて頂いて宜しいですか?」
「はい。がんばります」
ふざけたら、相手が驚いた顔で黙った。どうしたんだろう。考えてると、お嬢様が喋った。
「......頑張れば、何事も成し遂げられますか?」
「いや、成し遂げるのと、実力が高いのは、別っすね。あ、別だと考えます。他の人の考えもありますから]
沈黙が流れる。その時。
「情報量が多い。君たちの悪い癖だ。話は終わりだ。では、ホームルームを終わる」
毅然!あーざっす担任!さっす!
「で、だ。北村。お前、今週、ちょっと松本の案内をしてやれ。構わんな?」
「はい」
見回すと一人、私を見て手を上げている生徒がいる。それが北村さんだろう。教科の先生が入ってきて、担任は出ていった。取り敢えず、たぶん、基本的には普通の学校かな。




