二人の大切
(れ)前回のあらすじ!まさかの正体バレ!?
(ふ)もう、麗姫くん!
(れ)ごめんごめん、真面目にやると学校に転入生として来た俺が文華ちゃんに麗姫だって事がバレちゃったんだよね。その後なんやかんやあって学校から人の気配が消えたり、なんか変なのが廊下ほっつき歩いてたり、変な奴が監視してるし……さぁ!どうなる第六話!
(ふ)全部言われちゃったぁ……
(れ)あっ……ごめん
アイツに出くわさない様に部屋という部屋を調べているがいかんせん学校ということもありある問題が起きていた。
それは………部屋が多すぎる!かれこれ数十分いや数時間確認に回ったけどまだ半分いったかいってないかくらいだ。
しかも、アイツに見つからない様に移動しながらだ。
なので今調べてる教室で文華ちゃんと一緒に休憩している。
「ふぅ……文華ちゃん大丈夫?」
「うん……でもまさか学校がこんな事になるなんて思わなかった……」
「大丈夫だよ。こんなのすぐに俺が解決してやるさ」
「ううん、私も手伝う。だから一緒に頑張ろ?」
うーむ……あんまり文華ちゃんを危険な目にあわせたくないんだけどなぁ……仕方ない、適当に承諾してそのまま流そう。
「うん、頼りにしてるよ文華ちゃん」
「うん!私、頑張るね!」
「よし、まずは現状分かってる事の確認だね。まずここは俺達の知ってる学校だけどそうじゃない。怪獣か怪人の能力によって創られた疑似世界だって事。それで廊下を徘徊してるアイツは教室内にいるなら危害を加えようとはしてこない事と、俺達の能力が大分制限されてる事の3つかな?」
まさか能力が制限されるなんて思わなかったな。
俺は能力任せの所があるから結構困るんだよなぁ……
「うん、そうだね……この手の能力は大体能力を使ってる人を倒せば解除されるんだけど、今回は能力を発動してる人が何処にいるか分からないんだよね。しかもこういう疑似世界にいる生物は絶対に倒せないから廊下を徘徊してるアレに見つからない様に気をつけないとね」
「いやはやぁ〜文華ちゃんが経験者で助かったよ」
「お兄ちゃん達と一緒に一回閉じ込められた事あるから」
やっぱり一輝達は凄いなぁ……色んな事を経験してて……
「へぇ~…取り敢えず二手に別れるのは危険だから手間だけど一緒に行動しよっか。そんで手っ取り早くこの疑似世界の主を倒して出る!……という訳でレッツゴー!」
「あっ!?麗姫くん!」
「ん?どうしたの文華……ちゃん」
俺が勇み足で教室を出ようとしたら目の前に巨体の異形がいた。
やべぇー…めっちゃこっち見てるー…あっ、マジでやべぇ…汗が止まらないんだけど……あのタコ怪人に殺されかけた時よりもヤバいんだけど!?
「スッー…デテナイヨ……オレマダデテナイヨ……………早く行けよっ!?」
俺の思いが通じたのか異形は俺から目線を外して通り過ぎて行った。
俺は危機から抜け出したのを感じてその場でへたり込み、地面に手をついてしまった。
「!?麗姫くん!!」
「?今度はどうしたの文華ちゃん?アイツはもう行ったんだから大丈夫……だ……よ……」
『フーッ、フーッ、フーッ』
目の前に息を荒くした異形がいた。な、なんで……!?俺一歩も廊下に出てない筈!
そう思って下を見ると手がガッツリ廊下に出ていた。
……ちょっと心狭過ぎない!?これくらい勘弁してよ!?
そう思って再び異形を見るとなんと異形は右手に持っている棍棒を俺に向かって振るう為に天高く聳え立たせてそして振り降ろした。
あっ、俺死ぬわ
俺はそう思って動けないでいると突然、ブレザーの後ろを思いっきり引っ張られる感覚と共に異形との距離がほんの少しだけ遠ざかった。
そしてすぐに背中から柔らかい感触がしたので後ろを見ると文華ちゃんが俺を後ろから抱き締めていた。
さっき文華ちゃんに引っ張られて教室に引きずり込まれたのか!
異形は振り降ろしていた棍棒を地面に当たる寸前の所で止めて構えを解いてそのまま今度こそ通り過ぎて行くのだった
俺は緊張が解けるのを感じたと同時に全然呼吸していなかったのを思い出した。
「はぁはぁはぁ……はぁ……はぁ……すぅ〜…はぁ〜」
「れ、麗姫くん、大丈夫だった?」
「全っ然……だいじょばない!すんげぇ死ぬかと思った。ありがとね文華ちゃん、後ろに引っ張ってくれて」
「ううん、ごめんね咄嗟だったからこんな形になっちゃって」
「えっ?いや、全然……」
今俺は同身長くらいの文華ちゃんに体を預けているので背中に2つの柔らかいものが当たっていてむしろ……
「むしろご褒美と言うか何と言うとか……」
「ん?何か言った?」
「ううん!なんにも!なんにも言ってないよ!」
「そう?ならいいんだけど」
っぶねぇ……文華ちゃんは純真無垢なんだから汚しちゃダメだろ!よし!そうと決まればさっさと退かないと!
俺はそう思って退こうと立とうと思ったら文華ちゃんが俺のお腹で組んでいる腕を退かそうとしなかった。
俺はその腕を退かそうとして触れると文華ちゃんの腕は微かに震えていた。
……そりゃそうか、目の前で俺が死にかけてたんだもんなぁ……そりゃ震えるよな。
「あー…文華ちゃん、このままでいいから聞いて欲しいんだけど……俺アイツを倒しに行きたいから腕退けてくれない?」
「なに……言ってるの?」
「だから、アイツを倒しに行きたいから腕退けてって言ってるの、分かる?」
「……分かりたくない」
文華ちゃんはそう言って俺を逃さない為か腕に力を込めて更に強く抱き締めて来た。
うっ……ちょっとお腹苦しくなって来た。
「まぁまぁ、俺を信じて文華ちゃんは隠れてていいよ」
「……意味が分かんないよ。なんで急に倒すって事になったの?アレを倒さなくてもこの疑似世界を創った人を倒せば終わるんだよ?」
「分かってるよ。けど、なんか嫌じゃん?このままアイツに怯えたままその創造主様を倒してもスッキリしないんだよね」
「だからって……それに言ったじゃん。この疑似世界の生物は絶対に倒せないって」
「うん、そうだね。だからこれは俺のプライドの問題かな。だから文華ちゃんには関係ないから隠れてて」
「……麗姫くんって一度こうって決めたら曲げないもんね。分かった、じゃあ私もついてく」
「!?ダ、ダメだよ、文華ちゃん!危ないよ!?」
「はぁ~…麗姫くん、これでもお兄ちゃん達と一緒に危機を乗り越えて来たんだよ?それにもしまた麗姫くんが私の知らないとこで危ない目に遭ったら嫌だから」
「で、でも!俺の我儘に付き合わせるのは……うん、やっぱり文華ちゃんは隠れてて!」
俺がそう言うと更に強く抱き締めながら文華ちゃんは対抗してきた。
うぅ……お腹「キュッ」ってなったぁ……
「いや!麗姫くんを危ない目に合わせたくない!」
「ぐ、ぐぬぬ……」
文華ちゃんはこうなるとてこでも動かない……しかもどんどん抱き締める力が強くなってきてる!
ヤ、ヤバい!このままだと俺がダウンする!ぐぬぬぅ……でぇぇい!あぁもう!
「わ、分かった!俺の負けでいいから!ついてきていいから!まずは離して!お腹苦しい!」
「えっ?あっ!ご、ごめんね!」
そう言って文華ちゃんは慌てて手を離してくれた。
「さて、気を取り直して……どうしよっか」
「そう言えば、麗姫くんはアレを倒す算段ついてたの?」
「ううん、アイツに会ってから探そうと思ってた」
「………」
「ちょっ、文華ちゃん?いた、痛いんだけど……」
なんか文華ちゃんに無言で叩いてきたんだけど……えぇ~…なんでぇ?
「ま、まぁまぁ!一応考えはあるんだよね」
「……本当に?」
「ホントホント!ほら、耳ちょっと貸して」
俺は文華ちゃんの耳に顔を近づけて小声で考えを伝えた。
「!それなら確かに可能性はありそうだね……」
「でしょ?さぁ!ゲームクリアと行こうか!」
どっかにいるゲームマスターさんに度肝を抜かせてやるぜ!
▼△▼△▼△▼
とある部屋にて、1人の男がニヤニヤとした表情で実に愉快そうにモニターを観ていた。
この男こそ麗姫達を閉じ込めた張本人であった。
正確には男の左腕にくっついているカメレオン型の怪獣の仕業だ。
男は黄昏の園の信者だ。だが、怪獣に対する信仰心などなくただ仕事をした時の金払いがいいからと言う理由で信者となった。
男は自分主義だった故に人を殺す事に最初から躊躇が無く、まるでゲーム感覚に人を殺す事を楽しんでいた。
今回も男は自身をゲームマスターの様に思いながら麗姫達が足掻く様を見ていた。
「さてさて……これでゲームオーバーだ!」
男はカメレオン型の怪獣を触り、パソコンのモニター越しに未だ足掻き続ける麗姫達を観てそう宣言した。
それもその筈、今麗姫と文華は別行動をしていたからだ。
そして、男がやったのは疑似世界のルールを少し変えて廊下を徘徊する異形『ギガドール』を2体ににした。
この仕事を確実に達成する為のダメ押しを惜しみなく使った男は自身の勝ちを確信しいた所に急な尿意を感じて急いでトイレへと向かうのだった。
だが、男はまだ知らない。帰ってきた時に麗姫達の手によって絶望させられる事を………
(れ)はいはい〜次回予告次回予告ぅ〜
(ふ)なんか今回喧嘩っていう喧嘩してなかったね
(れ)はいそこぉ!詐欺とか言わない!仕方ないでしょぉ……作者の文才が無いんだから
(ふ)ちょっ!?麗姫くん!?ダメだよ!?
(れ)まぁまぁ、そんな事より早く次回予告しよっか!
「クリア不可能のゲームをクリアする方法なんて一つしか無いだろ?」
(ふ)麗姫くんが言うその方法とは!
(れ)それは次回のお楽しみぃ〜
「文華ちゃん、悪の組織に入らない?」
(れ)まさかの勧誘!どうなる文華ちゃん!
(ふ)悪の組織ってなんですか?
(れ)それは秘密♪
「やはり巫女の力は絶大だな……」
(れ)なんだこのイケメン!?
(ふ)確かに、カッコいいね
(れ)はぁ!?男の時の俺の方が百万倍カッチョええんですけど……!!
(ふ)……次回、『やっぱり祝勝会はスイーツビュッフェに限る!』お楽しみに!
(れ)……泣くぞ!?