29,→肉団子が止まらない。
人体半壊中のケイちゃんが、「助けてくれぇぇぇ!!」と情けない声を仲間にむかって叫ぶ。
ところがケイちゃんの仲間たちは、あろうことか、「ひぃぃぃぃ!!」と叫んで逃げ出した!
あなたもご存じのとおり、わたしは友情にはうるさい性格。
人体半壊して悲鳴をあげているケイちゃんを見捨てるとは、断じて許せない。
「ケイちゃんうるさい」
ケイちゃんの頭部に〈皆殺しのドリルドライバー〉を押し付けて、ぐぉぉぉとした。
頭部が跡形もなくなった。
「ケイちゃんの無念を晴らしてあげるからね」
感情豊かすぎる千佳ちゃんが、涙を流しながら言っている。
「あぁお姉さまの倫理観の尊さに、千佳は頭がくらくらします。千佳の拘束スキルを、いつでも利用してくださいね♪」
駆け足。
逃げる四人の頭の悪そうな大学生──何よりもうちのケイちゃんを見捨てた薄情者たちを、追いかける。
自慢じゃないけど、かつて小学六年生のとき──運動会のリレー大会。わたしは補欠に選ばれたくらいには、足が速い。
しかし、さすがに息切れしてきたので、〈ローリング〉スキル解放。
ローリングして、大学生たちを追い越す。
「まーちなーさーい。はい、とまって。ケイちゃんの死体にむかって土下座したら許してあげるから」
「畜生! こうなったら殺せ!」
と、大学生の一人が、物騒なことを叫んできた。
殺すとは何事だろう。人の命は、地球より重いのに!!!!!
というわけで、その失礼な大学生の腹に〈ドリルドライバー〉叩きつけて、貫通穴を作った。
「うげぇぇえ!!」と、内臓を穴からぶちまけながら白目をむいて死んでしまった。
「分かる? 人の命は、地球より重いよ?」
安物の低ランク魔杖──ダンジョン入口にある武具店で購入したのに違いない──を装備した〈ウィザード〉の大学生その2が、
「こいつ、キ×ガイすぎる! さてはモンスターだな! 女装したモンスターだ!」
…………なんで、女の子のわたしが、女装するの???
こいつ、頭、ゆで上がってるんじゃないの????
〈ウィザード〉の大学生その2が、低級攻撃魔術〈ファイアボール〉を連射してくる。
こんな至近距離で火炎弾が被弾したら、どうしてくれるの?
こちら〈乱れ打ち〉スキル発動。
次々とファイアボールを、ドリルドライバーで撃ち落とす。
しかし一発だけ撃ち落とせず、わたしの顔面に命中した。
大学生たちが歓声をあげる。
「やった命中したぞ! 殺してやった!」
こちらはレベル185。
防御力5240なのに? レベル10程度の火炎弾でダメージをくらうとでも?
こっちが無傷なのに気付いて、大学生たちが凍り付く。
「ひぃぃぃぃぃ」「あぁぁぁぁ」「ぎゃぁぁぁあああ」
わたしは〈皆殺しのドリル・ドライバー〉のトリガーを引いた。
「しつこいようだけど、君たちに教えてあげよう。人命の尊さを! 地球よりも、重いということを!!」
肉団子三つ追加。




