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14,処女にあって非処女にないものとは?

 


《視認》というスキルを、新たにスキルスロットに入れた。


《視認》スキルの効果は、『視界範囲を拡張する。拡張範囲は、移動速度の影響を受ける』というもの。


 現在、半永久に続く《ローリング》速度によって、通常のAGI 2では到底出せない速度で移動中。

 よって必然、視界範囲の広がりも大きいよね。


 普通なら不人気スキルっぽいけど、《ローリング》中の『まわりがあんまりよく見えない』問題を解決するためには、良いスキル。


 おかげでいまが40階層移動中ということも分かる。


 ここまでブラッド・スパイダーや、装甲ミノタウロスなど、噂にだけは聞いたことのある有名どころのモンスターも撃破してきたけど──


 厳密には、ローリング通過してきたけども。

 素材は一個も落としてくれていない。まぁ阿修羅王とやらでも素材を残さず消えてしまったんだから、仕方ないけども。


 だけど、わたしはひそかに期待している。


 この40階層にいるという、阿修羅王に続く、二体目の中ボスに。

 きっとその中ボスは、わたしの素材を残し、ローリング旅をここで終わらせさせてくれることだろう。


 だってー、ローリングはー、ずっとやるものじゃないー。


 《ローリング》解除。

 ちょっと気持ち悪っ。

 わたしの三半規管が鍛えられる。

 《ローリング》スキルが、『ローリング時の身体への悪影響』に対応してくれているはずだけど。きっとスキルができたとき、永続的に続けることは想定していなかったね。


 しばらく徒歩で移動。


 ふむ。

 さっきからモンスターたちが、壁ぎわによって、ガタガタ震えながら目をあわしてくれない。


「そんなに怯えないでよ。わたし、いい人間だよ。──あ、ごめん」


 〈竜殺しのドリル・ドライバー〉持った手を不用意に動かさないほうがいいなぁ。

 不用意にドリルビットが触れて、相手を消滅させちゃうし。


 やがて開けた場所に出た。通称、ボス部屋に違いない。

 巨大な球体構造であり、床ではなく毒の沼が広がっていた。


 毒の沼……《ローリング》できない?


 その毒の沼から、爬虫類と人間をかけあわせたようなモンスターが現れる。

 半身が蛇のようになっているのは、ラミアというモンスター種と似ている。だがこちらは背中には翼もあり、両手は鎌状になっている。


 視界には、蛇男爵というモンスター名が出た。

 レベルは102。

 おおレベル三桁に突入だ。


「貴様が、阿修羅王を倒したという人間か。だが貴様の快進撃もここまでよ。なぜなら阿修羅王は、中ボス最弱」


「うぅ。まさか本当にそーいうのを言うひとがいるとは。いやあなたはモンスターだけどさ」


「生意気な口を叩いていられるのは、いまだけだ。たかがレベル78の人間が、この毒地獄に耐えられるものか」


 レベル78?

 もしかして、わたしのこと?

 ローリングしてモンスターたちを大量虐さ、じゃなくて大量討伐している間に、経験値を稼いでいたということ? 

 わぁ。ステ振りしなきゃ。めんど。


「くらえ! 『防御不可』の貫通力、わが尾の一撃──《地獄貫き》を!!」


 防御力一桁台の身としては、これは回避一択。


 このときわたしは、必死のあまり、なかば開脚状態にして、《地獄貫き》を避けた。


「………あれ????」


 いま、無理な開脚をしたとき、何か起きたような。


「運よく避けたか。だが次はないぞ。《地獄貫き》は、その効力に『すべての防御スキルを無効化する』という文言がある。よって、貴様がどうしようとも、防御はできぬ。いつまで回避を続けられるかな? だが一歩間違って毒沼に落ちれば、解毒スキルがない貴様では、数秒で毒死。どうだ、貴様はもう逃げられぬのだ!」


 いやまった、そんなことよりも。


 いま開脚したとき。


 処女膜、破れたっぽいんだけど????



『処女膜は激しい運動でも破れることがあります』──保健体育の教科書より引用。


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