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私、青井万理望です。

「ところで、今日は?」


「あの、実はもう1冊、本の注文をお願いしたいんです。あの....これなんですが」


美澄(みすみ)さんはジーンズの後ろポケットから4つ折りにしたメモ用紙を取り出した。


『虹色の上のセレナ 矢崎茂治』


「これ、童話なんですが、たぶんKADOWAKIから出版されていると思うんです」


美澄さんの注文は絶版になってたり、なかなか流通ルートに乗りづらい本が多い。

おそらくこの本もそうだと思う。


だからこの本もきっと再注文を何回かすることになるだろう。


この前の絵本も結局、流通に乗る可能性が低いという事で一度注文の取消しになってしまった。


私としては何とかして手に入れてあげたい気持ちではいる。

だから....


「あの、美澄さん」


「はい?」


「あのですね?その注文して情報がわかり次第連絡します。例えばうちで手に入らなくても他に手に入れる情報とかでもお知らせしてもいいですか?」


「あ、でも、それじゃ、申し訳ないです」


「あのですね。美澄さんの期待に応えられないことが多くて、だから、ネットにもないような何か良い情報が本業界にあるかもしれないので」


「 ..じゃあ、お言葉に甘えさせていただきます。」


「私、万理望(まりも)といいます。青井万理望です」


別に名前までいう必要はなかったかもしれないけど、知っていてほしかった。


美澄さんは、注文票に記入して、一応、4つ折りメモを置いていった。

私はそれをホチキスでとめておいた。


帰り際、美澄さんはこう言って店を出ていった。


『万理望さん、お願いします』


それがとってもうれしかった。

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