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閑話・黒い黒幕

「あーあ、厄介な方が来ちまったな」


 教会を守っていた奴が最も簡単にぶっ飛ばされた。

 アースドラゴンのテラリアスナーズとグリズベアーのマギナズとニンゲンのショウカイが教会の中に入っていく。


 それを眺めるのは教会の近くにある建物の屋上のへりに腰掛ける黒い男。


「隠れ蓑に便利だったんだけどな。


 まあ、もう安全になったろうしもうちょい遠くに逃げればいいか」


 立ち上がって倒れるように建物から落ちる男。


 落下しながら黒い霧に包まれ男の身体が小さくなっていく。


「ふん、せっかくいいことを教えてやったのに結局バレてしまうとは使えん奴らだ」


 地面スレスレで翼を広げて空へと舞い上がる。

 左右3つの目を持つカラス。


 男の正体は人に擬態したシキだった。


「いつかあの赤い奴には痛い目を見せてやる……覚えてろよ」


 ーーーーー


 この事件の裏側には暗躍する魔物の影があった。


 せっかく作り上げた拠点を破壊され炎帝に追いかけられたシキは逃げるために他の魔物を利用することを考えた。

 魔物の世界で有名な魔物の居住地というものがある。

 シキもその点では名を上げつつあった。


 とりあえずどこかの強い魔物に炎帝を押し付けて自分は逃げてしまおうと考えたのであった。

 逃げて姿を隠すのにも都合が良く、なおかつ強い魔物がいる場所としてとある森に逃げ込んだ。


 ちょうどそのタイミングで一時炎帝も撒くことが出来たし上手くいけばこのまま森に隠れていても良いと思った。

 その時森の魔物の中ではある話題で持ちきりだった。


 森の魔物の頂点に立つアースドラゴンが卵を産んだという話であった。

 これは利用できる、そうシキは考えた。


 進化を重ねた魔物のシキは強力なだけでなく頭も回った。

 力を抑えて隠れることも上手いシキはこっそりと森の奥深くに忍び込んだ。


 テラリアスナーズの住む場所と卵のあるところを確認して周りを守るものや侵入出来そうな場所を探した。

 めざといシキはすぐに穴を見つけ出して卵を盗み出すことが可能だと確信した。


 けれどシキ自身が卵を盗んでどこかに持っていくのは非常にリスキー。

 ただでさえ追われているのにさらに追手を増やすつもりはなかった。


 しかしこれを利用しないのはあまりにも惜しい。


 考えたシキは思いついた。

 人間を利用してやろうと。


 多少のリスクはあるけれど自分で盗み出すことよりも小さく、しっかりとリターンもある。


 シキはどこに行くのが良いか考えてワダエに向かった。

 なぜなら炎帝がワダエの方から来たから。


 つまり逆をついて炎帝がいたと思われるところに行けば安全なのではないかと考えたのだ。

 幸い数日隠れていて他の魔物の話を聞いてみると途中ではぐれたヤタの方に炎帝は向かったみたいだった。


 図体ばかりデカく進化したばかりに目立ってしまって追いかけられたようだ。

 シキはワダエを上空から観察した。


 利用できそうな人間を探して町の暗いところを探す。

 そうしていた時に見つけた悪人がスパルタスの連中だった。


 「卵だ?」


 人に擬態したシキはスパルタスに近づいた。

 そうやってスパルタスにアースドラゴンの卵のことを伝えた。


 本当の話なら凄いことだ。


 ドラゴンの血や肉は人間の間で不老長寿の秘薬と言われている。

 その卵となれば価値は計り知れない。


 シキは言葉巧みにスパルタスの連中を説得して動かした。

 マヌケな人間どもはシキの狙い通りに動き始めた。


 自分で考えているようで全てがシキの提案した作戦通りになり、スパルタスの連中は森に向かった。


 シキも情報を持っているので付いていき、スパルタスを操った。

 森の端で騒ぎを起こさせて卵を守っていたテラリアスナーズとマギナズを離れさせた。


 そして森を回り込んでこっそりと卵を盗み出して魔法も使いつつ姿をくらましたのであった。

 途中追いつかれかけたが中でも囮にしか使えなさそうな奴を無理矢理囮にして事なきを得た。


 卵を得てホクホクのスパルタスにシキは追われているので警備が厳重な人の町に隠れたいという条件を出していて、それを実行させてスーハッフルスに潜入することが出来た。

 賓客扱いで高い宿に泊まらせてくれて何一つ不自由がなかった。


 スパルタスが危機に瀕してもシキには何も関係がなかったけれど面白そうだからと高みの見物をしていた。


 どうやって辿ってきたのかは知らないけれどアースドラゴンがスーハッフルスまで卵を探しにきていた。

 スパルタスに教えてやってもよかったけれどそれではつまらないので黙っていた。


 紆余曲折はあったけれど最終的にはスパルタスは滅んだ。

 卵について密告した犯人であるシキのことは誰にも知られることがなくこの事件は幕を閉じてしまった。


 部下のカラスに探らせていたところヤタはぼろぼろになりながら炎帝から逃げたらしい。

 遠くまで炎帝を引き連れて逃げてくれたおかげで見つかるリスクも少なく次の拠点にできそうなところを探し始められる。


「元々アイツが連れてきたのだし、感謝するまでもない」


 バレてはないが何からバレるか分からない。

 ワダエにもスーハッフルスにも今後近づくことはなく、出来るだけ遠くに逃げて、また一からやり直す。


 復讐はひとまず置いといてシキは冷静に今後のことを考えていた。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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